前穂の詳細

2012-09-16 13:31:49 | 山、登ってきました☆
前穂山行記録 改め。

■ 初めての穂高へ

上高地に着くと、お天気はあと一歩で晴天というような頃合だった。バスを2台見送ってからやっと乗り込んだけれども、意外にすんなり上高地入りし、ほとんどの人は大正池でバスを降りていった。ザックを抱えているのは私たちの他数名…山に登る人は少数派であるようだ。それとも山へ行く人はみんなもっと早いバスに乗っているのだろうか?

 

15日の上高地、河童橋付近から、岳沢方面を見る…。上は少々ガス。これから登る道はこのガレた沢沿いなのだけれども、ずっとこの見上げるようなガレ場を行くのだろうか?

登山届けを出し、早速歩き始める。3時間の運転のあとは少し運動したくらいがリフレッシュできていいのだ。一応、水場で水を補給する。二時間だからイラナイかもだけども…。午前中早い時間の上高地の空気は気持ちが良い。周囲の人も気分が良いようで、他愛ない話題で、声をかけられつつ出発する。

 河童橋付近は相変わらずの喧騒。人が多い。なぜ観光客と言うのはこんなにもうっとおしいものなのだろうか…観光という行動には何かしら目的意識が決定的に欠如している…楽しむのが目的なのか?写真なのか?記録なのか?どれをとっても曖昧で、だから、ふわふわと漂っている。と言っても登山だって観光の一形態に過ぎないのだけれど…カメラを持って写真を撮るだけ、見るだけという過ごし方がどうしても対象に対するアプローチの底の浅さを露呈する…いや河童橋という場所の扱われ方がいけないのだろうか?まるでパリのエッフェル塔とか、東京のスカイタワーとか、見てきたというだけが価値がある場所とされると…人はただの烏合の衆と化すのだろうか?主体的な対象への感じ方を自ら諦めて???

というわけで俗化した今日の河童橋は、単なるなんてことのない、つり橋でしかない。ので足早に通り過ぎ、登山口には10:15に着いた。 

朝は6:40頃に家を出て、渋滞の、のろのろ運転で9時にさわんど、10時に上高地着。山では早立ちが鉄則だが、今回の出発は決して早くない。上はもうすっかり人で込み合ってしまっただろうか…少々心配。

木道を辿り、美しい水辺を通過する。この淵の底はそんなに深くないのにエメラルドグリーンに見えるのはなぜなんだろう?この水辺はオンディーヌが流れてきそうだ… 

登山口に着くと熊出没の警告板が出ていた。日付を見ると前日の同じ時刻だ。


それでもここはむしろ野生動物の住まいであって、我々人間のほうが彼らの住まいにお邪魔しに来ている、といえる。出没した!と大騒ぎするのはむしろ一方的すぎるだろう。ただ出合いたくはないのだが。くまのほうで人間の気配を嫌い、避けてくれるのを期待する。

今回は同行者は後ろにマムートのザックを親子でおそろいで背負っている父子が。



岳沢登山口から歩き始めると、気分の良い森が広がっていた。こんな森なんだね。
今回はテント泊の予定で、夫とテントは分担して持ち、ザックは夫が12kg、私が8kg。これは一般的なテント泊の装備からすると、とても軽い。食料は一応2泊分を入れてある。

昔からの山屋さんや山岳部系の人たちはみんなザックが重い。重いほどエライのだ。以前「そんなに重くないよ、20kgぐらい」と言われてビックリした。矛盾と言う言葉を知っているのでしょうかと思いましたとさ(笑)

私たちは、これ以上重くしようにも重くならないんだけど、みんな何を入れていて重いのかなぁ? その山屋さんのザックにはなんと缶ビールが4人分1人2本もはいっていたのだった。

ただ、森の中の空気のおいしさもあいまって、背中のザックの重さが背骨にすごく気持ちがいい。これくらいの重さなら、苦痛に感じずに歩くことができる。

森の中のスポットライト。光の当たり具合が美しかった。
普段は神秘を纏っている森も、この連休ばかりは大勢の人の、ざわざわとした気で神聖さを失って、雑踏化してしまい、気高さはあまり感じられない。神様はお留守だ。

 岳沢原生林というらしい。上高地一帯の名前でなく、岳沢という沢沿いの森に特徴的な原生林が広がっているのだろうか?

 夏には白い花を咲かせていたゴゼンタチバナが今は赤い実をつけていた。

神様はお留守だったけれど、その代わり、森の中を歩いていると親指の先ほどの小さな土色のかえるが警備員を務めていた。それから、中型のカエル。最後に大きなガマガエルにも会った。上高地ではよくカエルに会う。

途中すれ違った家族連れに「カエルみた?」「見たよ」と声をかけながらあがる。

 少しあがると崩落痕を歩くための簡素な木道が作られている。木道と言っても下の上高地の木道のように製品化されたものではなくて、丸太を割ったものを並べただけだ。木の上のほうが滑りやすいこともままあるので木道は慎重に。

天気予報によると、台風の影響で下界は夏日だというので、無論、山も暑いだろうと予想してウエアを一段軽くしたら、正解だった。台風は南の海の生暖かく湿った空気を日本に連れてくる。その生暖かい空気は標高1500ある上高地でも同じように生暖かい。時折、照りつける日差し、気温、湿度ともに夏日。最後の夏。

 開けた場所に出た。上を見上げるとこんな感じ。やっぱり山頂付近はガスが出ている。でも今日は上まで行かないから問題は無い。お山はなんだかよそよそしい感じだ。

登っていると高山植物が時折。これはトリカブト。形が独特だ。
 ホタルブクロ。山ではありふれた植物だけれど、下界にはいない。
 コップ洗いの様なサラシナショウマ。ミツバチのブンブン君が忙しそうに蜜集め中。
 秋の気配はほんのちょっと。気温が高いのもありまだ夏だ。秋と言うより、長引きすぎて、息切れしてきた、くたびれた夏という感じ。

 仰ぎみる天狗のコル方面…これを見た時点では、ここに天狗のコルへの登山道があるとは知らなかった。ガイドブックには紹介されていない。天狗のコル、という名称も出ていない。よって天狗岩という名前も知らない。ただハングした岩がすごいなと思って撮ったのだ。

 登山道を行く登山者。暑さでみなバテ気味だ。少し息があがるも、気にせず登る。のは、この道がたった2時間の行程と知っているから。すこしくらい有酸素運動しないと運動にもならないのだから。特に登りは肉体的なしんどさは脇において、ペースをあまり崩さないで歩いたほうが最終的には楽だったりもするのだ。

 ガスってます。上のほうに見えるであろうギザギザはよく見えない。明日はどんな道を行くのか…上はどんな風なのか、みたいような見たくないような。初めての穂高なんだが…ギザギザにはまだ憧れも圧倒もない。それはまだギザギザの手前に居すぎているから。ただギザギザの具合をちゃんと見たいと思う。

 こういう看板は登山者への愛とユーモアを感じさせ、なんとなく好きです。あと30歩とか、あと43分17秒、とか。

岳沢小屋が見えた。
 
この小屋は近年雪崩で崩壊し、再建した後なのでキレイです。 小屋が雪崩で崩壊って…ちょうど雪崩の通り道にあるってことで、やっぱり岳”沢”ってだけあるなと思う。この道は沢なのだ。人は沢を歩く。つまり雪崩が通るべくして通る道を歩く。そこに先着したのは、雪崩であり、水の流れであり、つまり沢であり…そこを人が歩いたからと言って事故と言えるのだろうか… とはいえ、また小屋を立て、またそこを歩いているんだけれども。

無論今は雪崩の危険など無い夏なのだけども…でも岩が落ちたら、沢=ここを通るだろう。

岳沢小屋には12:10着。短い道なのでちょっと飛ばしすぎたかな?と思いつつ受付を済ませ、大急ぎでテントを張る。

テントサイトまでいく間でもなく、降りてきた人が「もう張るところが無い」と
自己申請している…「上、見に行っても無駄ですか?」「結構探したけど、どこも開いて無かったよ」

というわけでテントサイトの偵察よりも場所の確保が先だろうとテラスに張る。
お弁当をほおばっているグループがいるので、一応ゴメンねと断る。
「おいしいお弁当を食べているところなのにテント張ってすみません」
「いえ、いいのよ、お互い様」

こういう声かけが山では大事だ。だって絶対にむこうは「ちえっ」と思っているのである。目の前の景色のど真ん中に黄色いテントが来たら誰だって嫌だろう。
だって山に来るのは基本的に世間、つまり、人から逃れてきているのに。

そしてそこはテラスであり、そもそもテントサイトではないのだから、テラスとして利用している人に先権があるはずだ。しかし、我々も張らなくては今夜の寝床にあぶれることにならざるを得ない。

さっとテントを張ったら、さっきサイトが一杯だと教えてくれた人はまだのんびりグランドシートを広げていた。私たちがテラスの最前面に張ったので、また石垣沿いの奥から、やっぱり景色が一番近い前面に移動したようだ。そう、遠慮して後ろに張ってもどうせ誰かがここに張らざるを得なくなるのだ。今日はどんな隙間もみっちりテントで埋まるだろう。

テントを張り終わるとテキトーにシュラフをテントにかぶせて天日に干し、ザックは後でもどうとでもなるので適当にテントに投げ込んで、食堂へ急ぐ。まずはのどの渇きを癒さなければ。

まずは生ビール。 暑い日だったので…おいしいです!!というか喉が渇いていたので、早速回ってしまった。

 
 ソフトバンク、入ります。
 山小屋にしては珍しい、固焼きそばがあったので選んでみた。800円。生ビールも800円。2杯目は700円だそうだ。

食事を済ませ、テントに戻ると隣にやたらでかいサーカスのようなテントが張っていた。先ほどお弁当を食べていた人たちがいたところには、すっかりそのテントを張った人たちが荷物を広げていた。とりあえず挨拶すると、東京からの山岳会だという。

私たちは疲れたのとおなか一杯で眠気が襲ってきたので、昼寝しますと申告してテントに入る。ちゃちゃっとスリーピングマットなどを膨らまし…はあっと言って、どさっと横になると…あっという間に心地よい疲れに包まれ…お昼寝。となりの夫はもう寝ている。

けど、テントの中は暑く…正午過ぎの日差しは黄色いテントの中を蒸し焼き状態にし…寝れない…夏日でした。結局、30分も横たわっただろうか?テントからもぞもぞ出てくることに。

しかし、行くべき場所がない…というのも、折角テントの近くに石の椅子もテーブルもあるのに後から来た山岳会が独り占め中なのだ。そこで、色々と話しかけてみる。相手の偵察って所。

今年の冬にバリエーションを一緒に行った人が似たような名前の会に入っていたのでとりあえずその話をふってみる。思ったとおり違う会なのだけれど、普通ならその違いを教えてくれるだろう。けど話はそちらには進まない。
普通は山岳会に興味がある若い人は少ないので、自分達の会の紹介をしたくなるものだろう。それもなし。

仕方が無いので、自分の話をする。冬山が好きだと言ってみる。すると前穂の冬山ルートを教えてくれた。
今日は暑いですねととかすごい荷物ですねとかおだててみる。空木や百越の縦走で予想外に12時間も歩く羽目になった話をしてくれる。3人の中でも温度差があり、話したい人とそうで無い人がいるようだ。「ほんと皆さんにはあの時いびきで迷惑をおかけして」なるほど、今晩は覚悟ということか…。どうも話が弾まない。

この会のリーダーが憮然としているんだな。あまり話しに入ることに快くは思っていなさそうなので、世間話程度にしておく。たぶん、この人たちは自分達だけの世界に入りたかったんだな。テーブル、椅子、ぜんぜん空けてくれる気配もまったく無い。石垣のほうは落ちそうで危ないので夜になったら椅子側を空けてくれるという…夜になったら…(汗)つまりここは自分達だけで使うよ、ってことらしい…。はぁ…(溜息)そんなのアリ…ここはみんなが通過するテラスなのに?

仕方ないので、明日の予定を話す。なぜなら彼らのテントがどけてくれないと私たちのテントは撤収するスペースが無いからだ。

「3時におきて4時に出ようかな」と言ってみる。それがたいていテント泊の人の行動パターンで一番早いものだからだ。「明日の日の出はもうすこし遅いらしいよ」と山岳会。「何時に出られるんですか?」「5時くらいかな」「それじゃ私たちは後ろをこっそりついて歩こうかな」会の先輩にはこれくらいは敬意を
表して兼ゴマすり。だってどうしても後にしかならないんだもん。これだけ出口をふさがれていては。

しかし、エスパース6kg。山を昔からやってきた山屋さんはなんだか担いでいる重さが違う。まるで下界を山上に再現することに挑戦中みたいだ。
それは苦しいほうが価値があるという美学があるみたいだ。

とりあえず必要なコミュニケーションはとれたので、楽しそうに宴会しているご夫婦のところで、あいている椅子に腰掛けることにする。「おいしそうですね~」
「今回は妻の接待山行なのさ」そんな話題で盛り上がる。こちらは飛び入り歓迎の模様だ。 奥様は完全日焼け防止体制…でもいいじゃない女性は日焼け誰だってきらいだ。「これとってもおいしそうなので写真とっていいですか?」

というわけで 突撃隣の晩御飯①
 豪華版。柳川丼。さんま蒲焼缶にごぼう。親子丼のフリーズドライを最後に投入して完成! すごいな~!!つまみも充実。

しばしの歓談。とっても楽しい山の時間。一瞬雨が降りかけるがさっと傘を出してきて防御。食事作りに問題なし。傘を差して人んちの晩ごはんのテーブルに、にこにこ顔で参加してたら山岳会の一員が不思議そうにこちらを眺めていた…顔は知り合い?と言っていた…違うけど…居場所が無いんだから仕方ないよね?
こちらのご夫婦は私たちと同じで、2人できて、いつも夫婦で2人でいるんだからいまさら2人きりでいなくてもいいってわけで、ちょうど仲良くできた。

彼らのテントの脇のほんの少しだけ空いた場所にブラックダイヤモンドの緑色のテントがやってきた…シングルウォールのテントだった。「どうですかBD?」「いいですよけっこう」「やっぱり結露します?」「うん結露しますね~」2人用テントに男性二人。うーん狭いだろうなぁ。しっかし、キチキチに張ったなぁ。

「ずいぶん、近くに張られちゃいましたね」「いいの、わざとスペース空けといたから」

そう、今日は満員御礼の、混雑に誰もがウンザリする日だものね。

「ほら、ヘリポートにも進出しているよ、人が」「5時以降は張っていいらしいですよね」

そうこういいつつ・・・お食事も終わったのでテントに戻る。 

「晩御飯何時にするの?」「あんまりおなかが減っていなくて」「それでも暗くなる前が楽だよ」「ですかね…うーん、そろそろ食べますか」

というわけでテントから質素な食事を取り出してくる。と隣の山岳会は米を炊いている真っ最中だった。 「生米ですか、さすが山岳会」 「写真とってもいいですか?」というわけで…突撃隣の晩御飯、その②。
コツは新聞紙で来るんで鍋をひっくり返すこと。
じっくり蒸らせば、おいしく炊けるらしい。レトルトカレーとウィンナーをプラスしてガッツリ食べる。レトルトの袋のほうにご飯を入れれば食器も不要だそうだ。なるほど。

比べて質素な我が家のごはん。袋飯はわびしい。けどそれは下界同様の献立の山岳会だって同じなのだ。食器の贅沢というのは下界ならではの贅沢の一つなのだろう。陶器のお皿で食べ、グラスのコップで飲む、それが下界の豊かさなのだ。見目麗しい食事。つまり食品の高級化には限界があるってことかな?

 質素に。夫はカルボナーラ&豚汁(どういう組み合わせ?!)。私は山菜おこわ&たまごスープ。 正直、ランチからそんなに時間がたっていないのであまり空腹でなかったりして…。

 今回のオヤツは、ソニプラで半額のプリングルス。気圧で蓋がふっくらしていました。これは筒状になっていて割れにくい、というメリットが。また私はフライシート、シュラフ、スリーピングマットを縦に並べてパッキングするので、縦型パッキングに収納しやすいのです、この筒。
 とりあえず、夜の楽しみ用に岳沢小屋のワイン1000円。赤はもう無かった。ガラス瓶。自宅からワインは持ってこようと思う。
 日暮れにはほんの少し夕焼けが。明日は晴れるかどうか。この日の夕方から夜は空は雲で覆われ、星はイマイチのようでした。小屋泊まりの人たちがテラスに出てきてあれこれと星を眺めている声が聞こえましたが、無視してテントから一歩も出ず…。そうそうに寝てしまいます。

以前は小屋泊しかしらないアチラ側の人だった。そう去年の今頃は小屋泊どころか夏の山は暑くてパス、くらいの勢いで、冬になるのを待つばかりの日々。堪らず山切れになり、出かけていったのが北岳だった。1人で上ってみると意外にそれはなんともないことで、なんだ・・・と肩の力が抜けたのだった。

今あっちのテラスでわいわいやっている人たちはやっぱり去年の私たちみたいに山に来ることそのものがとっても敷居が高い気持ちなんだろうか・・・

隣のテントからは話し声が聞こえる。聞いていると人生の話らしい。「そんなことは夢物語だと思っていた」「会を続けることは…」「まさか自分がそうしたことをやっていいとはおもっていなかった」… どうも遅れてきた人生の話らしい。 転機がくるまで生きなかった人生、それが本来の人生なのだろうかね…。というよりも山岳会と言うところは人生救済所のようなところらしい。まるでカソリック教会の告白の部屋のようだ…そんなことを隣のテントで聞いていいのだろうか…というかこういう話をするための山はもっと違う山域なんじゃないだろうか、南アルプスの深南部とか。こんなに俗化してしまった山でいいのだろうか・・・

夫がクラシック音楽をかけてくれる・・・アイフォンは素晴らしい…そろそろとや
っと寝る時間だ…そう思ったら同じく隣のテントから大音量のいびきが聞こえてきた…(溜息) 新しい人生にもいびきはついて回る。それが人間なのだ。コケティッシュでさえもありながら、人間は人間であることをやめられない。

とはいえ、体を横たえるだけでも休息になる、と自分に言い聞かせつつ…

…遠くのヘッドライトがこっちのテントを掠める…ああ…もうすぐ朝ね。なんてみんな早く発つのでしょう…もう歩き始めている人たちの声がする。

「てか満点の星空じゃん」という声とテントの近所を歩くざくざくと言う足音が。

満点の星空なのか…と見てみると満天の星空だった…朝の3時ごろ。ただ周囲はまっくらで目覚めにはまだ少し早い。頭をテントの出口のほうにして寝て、星空を眺めました。素晴らしい星空!

こんなに一杯の星空がいつも頭上にはあるんだなぁ…「ねぇねぇ、こっち向きにならない?」そういって寝ている夫を無理やり起こし頭と足を入れ替える。「ホラ星~」「ホントだ~むにゃむにゃ」夫は一目見て寝てしまった。私は流れ星が無いか目を凝らす…もう歩いている人たちがいるけれど、あっちのテントはまだおきている気配が無い。しばらく我慢するしかないな…。星がきれいだ。テントに寝転んで星を見るのが理想だった。だから理想の実現一個ゲット。

でもこんなシチュエーションでとは想像だにしていなかったなぁ…まぁあまり細かいことにこだわってはいけないのだ。夢の実現には。

夢って実現するときは、思いもよらない形で実現するものだ…これもその一つなんだろう。夫はまだ寝ている。私は頭を出してテントの隙間から星空を眺めている。背中の下は岩が当たってちょっと痛い。テントの結露が冷たい。まだ夜明けは遠い。

少し冷えたのでトイレに出る。ダウンを着て寝ているから出ても寒くない。ダウンは優秀なウエアだ。ヘッドライトは慎重にテントに充てないように足元だけを照らす。自分のライトを忘れてきてしまったので夫のライト。スイッチがどこか分からない。とりあえず、足元さえ見えれば大丈夫。トイレに行くともう何人もの人が前のテラスに朝ごはん宴会を囲んでいた。みんな元気だなぁ。私はと言うとトイレの後、お湯を沸かして飲んだ。

体が温かくなったらまた眠気が。一眠り。

■ 快晴の前穂

前穂アタックの日がきた。朝は5時に出発することにしました。というのも今回は私がヘッドライトを忘れた。ヘッドライトを忘れるなんて山ではアリエナイ失態なのだが、今回はどちらにせよ、明るくなってから出発だった。

朝ごはんを食べると前のテントも作業中の気配がする。とりあえず挨拶だけしてテントに戻る。前に張っていたテントが撤収するのをまつ。声が大きく騒がしい。済ませた気配がしたので、出てみるとちょうど出発するところだった。「いってらっしゃい」というとむこうは少しビックリしたようだ。朝の空気はいつでも清清しい。

テントとシュラフは小屋の裏の茂みにグランドシートでくるんで置いておく。

用意を済ませて、さて。岳沢小屋から上は重太郎新道と言う道だ。急登で知られる。ストックを用意する。靴紐よし、手袋良し。さあ行こう。周りのテントはまだたたみ始めたところ。みると昨日のご夫婦が朝食中。「ゆっくりしていけばいいのに」などと声を交わす。

 この日のモルゲンロート。控えめですね。

岳沢を渡り狭い登山道に入る。周囲にはほとんど人がいない。前を大きなザックの人が歩いている。若そう。ペースが速い。お花畑のエリアはあまり花はない。草紅葉のコバイケイソウが黄色く萎れている。そして虫が結構多い。

しばらくいくと狭い岩場に出てきたのでストックを仕舞い、手袋をはめる。岩と岩の間に挟まれるようによじ登る。子供なら得意な感じの道だけど、大人の女性はちょっとこうした道はあまり遭遇するすることがないなぁ登山以外では。

標高がぐんぐんあがり背中側には上高地がどんどん低くなっていく。カモシカの立場まではまぁ何箇所かよじ登るけれども、普通の山道だった。カモシカの立場まで出て一旦休憩。後ろから女性の親子が着たので休憩場所を譲る。

 こんな感じ。上高地は谷なのでガスが降りています。

日が昇ると山が美しい。朝早く出たので快適。午前中の低い位置から照らす光が山襞をくっきり浮かび上がらせ、山ってすごいなと特に何がそどうというわけもなく思う。その度に立ち止まって写真を撮るから、休憩はなくても休憩しているようなものなんだな(笑)山は午前中が勝負。勝負って何がって感じだけど。午後の山はなんだか寂しいのだ。

 山の形の陰。陰は本当に克明に山の姿を反映する。

 岩場までくると、イワツメクサが。可憐です。

 行く手。しかし折角稜線が見えてきたけど、岩場ばかりで気が抜けないのであまり上や後ろの素晴らしい景色ばかりを見ているわけにもいかない。

遠くで笑い声がして、振り返るとツアー客もいるので急ぐ。遠くても声がにぎやか。アレにつかまったらかなわないと思う。

 標高があがり、さらに霧が晴れてくる上高地。乗鞍岳まで見えてキレイだなぁ。焼岳はまるで引っかかれたように爪あとが生々しい。

 沿うこういっているうちに紀美子平。平というほど広くない。
 休憩。面白い岩の造形。ここでザックを置いて出る。荷物は夫のカメラケースのみ。

紀美子平から20分で山頂へ。
 山頂は混んでました。



 ずいぶん遠くまで見える日です。台風が来る前の晴れ。大気はよく動く。

 オクホ。ヤッホー!がむこうから聞こえる。
 槍。
 下を見る・・・

 富士山も見える。

前穂は山頂でもソフトバンク入ります。夫によると入るポイントは上高地のバスターミナルが見えるところ。

明神。
 燕岳方面。
 涸沢方面。

 山頂の岩にカメムシ。
 また槍… 槍って合掌みたいですよね。

山頂は広く、人は多かったけれども窮屈なほどではない。みんな好き好きにポーズをとったりして写真を撮っている。この日、この山頂。二度とない一瞬。でも、実は山頂に限らず、どの一コマをとっても、実は二度とない一瞬一瞬の積み重ねなのだ。けれども、この山頂の景色がそのことを念押ししてくれる。

長々と山頂を堪能して10時に下山開始。

 岩場は登るより降りるほうが気を使う。3点支持。

ほとんど座ってしまって片足を伸ばし、届いたところに降りる。振り返ると今歩いてきた山頂がすでに遠くなっている。うーん、穂高は本当に岩ね。
穂高の価値と言うのは岩登りをしない山登り派の人にも楽しめる岩場ということなのだろうか?

 青い空・・・岩。

降りてみると紀美子平は大混雑中だった。団体のツアーが入っているらしい。「○○クラブの方はあと5分で出ますよ~」などとかけている声が聞こえる。

 岩の形が面白いなぁ。

団体様には結構なおばさんもいて、ほんとに前穂は誰でもくるんだなぁと思う。わたしたちは問題なく登れたけれど今の体があるからであって、20年後は同じとはおもえないんだけど…みんなすごい。でも20人がいっせいに前穂に向かって登ったら、降りてくる人は一体どうすればいいのだろう?想像もつかない。

 そういう混雑を尻目に我々は下山、下山。 岳沢小屋が見えます。混む前に下りたい。

下山では梯子場で一時行列になった特に問題なく終了。降りる道は集中力が勝負。けれど、後ろに多くの人がいるのがわかっていたので、普段より心持早めに降りた。味わっている間は無い感じだったが山頂で長居したのでいいだろう。

「こんなに天気が良ければ徳沢で一泊していく?」「うーん、疲れたからもういい」ちょっと残念な夫の答え。徳沢園や小梨平は山ではなく平地のキャンプ。だた
寝そべっているだけなんだけど(笑)

12:00と予想より早く到着。朝のご夫婦は当然のことながらとっくに発っていて姿は無い。

早速ランチにします。 ラーメンを予定していましたが売り切れ。カレー900円です。帰りは運転があるので、ビールは我慢。

フランス人のカップルがお互い以外は目に入らないといった具合に鼻と鼻を突き寄せ合ってお話中で、それが混んでテーブルが空くのに行列を作っている日本人登山者の流れととても異質だった。岳沢小屋の真ん中にパリのカフェが出現したみたいで。恋人同士の語らい、ステキなんだけどね、ただし、パリが似合う。

 暑くて日陰を探すも日陰がない… 小屋裏の少しの日陰で休息。 でもだんだんと空は雲がちに・・・大気は良く動く日なんですよね、やっぱり台風の影響か。デポしていたテントを干していましたがそこそこで下山することに。テントをたたんで降りようとしていると山岳会のおじさんたちが暑さで真っ赤な顔をして降りてきていた。そっか行きに登りで追い越したんだった。とっても充実感のある顔をしていた。今度はうん仲間ね、って感じにうなづいてくれた。ただの軽さと若さの結果のスピードだと思うけど。

 下りは気楽に歩いた。たった1時間半の道だし。何人かの登山者が追い越していく。追い越されるに任せる。登ってくる人たちもいるけれど、多くは無い。午後だもんね。先ほどのパリのカップルに声をかける。フランス語でしょう、というとそう、という。東京からだそうだ。じゃあねと声をかけて追い越す。二人は熱愛中らしい。
さらにドイツ人青年と立ち話する。室堂から歩いてきた!?そりゃすごい。今日はどうするの?というと松本までと言うので、甲府の自宅に誘ってみた。でもホテルを取ってしまったという。「日本の山は山頂からホテルの予約が出来るのがすごい」それは(笑)去年のクリスと言い、ドイツ人はハイテクツール活用派だ。

途中足をひきづっている登山者を見かけ「大丈夫ですか?」と声をかけてみる。「今日は北穂から歩いているから」の返事ですべてを察する。「あと少しですよ!」「それが何時間もの道のりに感じますよ…ちょっと休憩していきます」「水、持っています?」「持っています」

「あと少し。頑張って」それしかいえない。北穂から歩いてきたら、岳沢までで、ダウンだったのだろう、でも岳沢小屋も一杯だったんだろうな、既に。でも上高地まで降りても、まだ空きがある小屋はあるだろうか…

14:30下山終了。カッパ橋にて。ガスっている山頂を見る。やはり山は午前中に山頂に立たないと。

海外の人は、ダッシュで登ってダッシュで降りる日本の登山をバカにするけれど、それは日本の山がいかに移り気かを知らないからだけなのではないだろうか?
日本の山は急峻だ。それだけは誰にも分かる。

この日は下山後、バスに乗れたのが16:00(涙).ものすごく混んでいたのです。

岳沢から上高地までの下山は1時間半なのに行列に同じくらいの時間並ぶ。これならテントを小梨平に張って、昼寝でもしたほうが良かったんではないかと思う。河童橋付近は都会で夕飯だって食堂で済ませられそうな具合だ。

暇なので並んでいる人の山ウエア観察をするけれど、結局登山の人はそんなにいない。一般の人がほとんど。

せっかく早くに下山したのに、沢渡には16:40着だった。目の前の沢渡温泉で汗を流したら、その温泉はハズレの温泉だった。小さく、混んでいて、サービスも雑巾みたいなタオルを渡される始末だった…。

混雑の気配を察して、そそくさと帰るのだが、上高地から松本の道ものろのろ運転。高速道路も混んでいた。夫と運転の交代で諏訪湖SAに入ると停めるところが無いほど。2人で半分この焼きそばを食べて、元気を出し、私が運転担当になる。
夫が運転のとき私は寝るけど、彼は決して寝ない。なぜなんだろう?

そうこうしてやっと帰ったら20時…下山開始が12:40位なのになぁ…。

運転と同じくらいの時間山に登っていたんだけど、もう少し山そのものを味わう時間あってもよかったのかもしれない。けれど今回のたび、お山の神様は雑踏と俗化を避けてお留守だったのだと思う。見せてくれた大展望はお客様向けの顔だったのかもしれない。

帰ったら、前穂の北尾根で墜落死のニュースが入っていた。そういえば前の日にヘリを見た。あれだったのだろうか?

思いがけず楽な山だったので、むしろ色々と帰ってから調べものに忙しかった。重太郎新道は下りは初心者には奨められていないとか、色々。

山は山から教わるということもあるけれど、自分で教わるって部分も欠かせない。
そういう風に教わることをどこかで山は監視していてサボると、ちょっとこけさせるとか、雨にしちゃうとかどこかで警告してくると思う。


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