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燕岳 シーズン2登目の雪山に想う

2012-11-25 22:03:33 | 山、登ってきました☆
■ 11月の燕岳のこと

週末は11月最後の小屋締めの燕山荘へ行って来ました。 今回のヤマレコ
 モルゲンロートに染まる今日の燕岳。

燕山荘は11月は空いており、この時期ならば、山頂付近は冠雪するも、下の林道は普通に乗用車で通れます。スタッドレスは念のため履いたものの必要ありませんでした。

この時期を逃すと、クリスマスとお正月のみ小屋は開くのですが、ふもとの林道は閉鎖されるため、宮城ゲートからからの13kmの林道歩きを与儀なくされます。つまり雪山を林道歩きをしないで楽しむためには、厳冬期を外した初冬かGWとなるわけですね。GWは混むので11月がおススメです。

燕山荘のご主人によると、雪崩の懸念については、燕岳よりもむしろ、中房温泉までの林道で多発するとのこと…確かに崖を切り開いた林道で車で通っても落石など気になる道です。

むしろ登山道のほうは急ではあるもほぼ尾根の直登であり、あまり雪崩の心配など危険箇所がありそうには感じられません。

ちなみにふもとの中房温泉は通年営業です。こちらは温泉宿としても秀逸です。日本秘湯の会会員の源泉賭け流しを誇る湯の質の良いお宿である上、近代登山の父と言われる(なぜに?)ウェストンも宿泊したという歴史もある、由緒正しいお宿です。

まぁそういう訳で燕岳には去年から「積雪期に登りたい…」という思いがあり、今年のゴールデンウィークには雪山の講習会を予約していましたが、悪天候により流れたので、結局11月に自分達で登ることになりました。これはまったくの正解でした。難所が無いのです。

 予報どおり雨。

林道でおサルに会いました。幸先の良い旅です。

 登山者用の湯に宿泊者は宿泊中は無料、下山後は-200円の割引で入れます。

■ レジャーとしても秀逸な今年の2登目

今年はどこも雪が早いので雪山は期待できる年です。我々はサッサと11月初めの連休で今年のシーズン初の雪山は西穂独標で済ませたので、雪山はシーズン2登目です。登山経験としては今で3シーズン目。3年目の冬山です。

1登目の西穂独標は”登り3時間下山2時間の、計5時間の山”。燕岳は”上り4時間+下山2.5時間の計6.5時間、+ 2~3時間の稜線歩き”の山。

徐々に長い時間歩いて足慣らしという意味ではスムーズな移行です。その上、麓は温泉宿。レジャーとしての要素も強く、満喫度としては高い山です。アクセスも良い。レジャーと組み合わせられるという意味ではとても初心者向きです。

山としてみたときは、小屋までの登りが4時間あることから、2時間で小屋まで着く八ケ岳の天狗岳よりは体力そのものは必要ですが、歩きとしてみると楽々で、技術としては冬天狗のほうが厳しいと思いました。燕山荘から燕岳山頂まで、難所がない。 天狗岳は強風もあり、寒気も厳しく、道が少々悪い。往復1時間。

《比較》
          西穂独標    燕岳     天狗岳
アクセス      ラク      ラク      ラク
山小屋までの登り  1.5時間    4時間     2時間
山頂まで      往復2時間  往復1時間   往復2時間
山頂までの登山道  易しい    とても易しい   易しい
コメント      岩場・ザレ  花崗岩砂地    岩場のトラバースあり

ハラハラドキドキ度、としては西穂独標のほうが上ですが、山小屋までの登りがしっかり4時間あるので登ったなという充実感は燕岳のほうが上です。景色はどちらも秀逸ですが、燕岳は槍ヶ岳の姿がかなりはっきり見えるのがポイント高し!です。
    
■ 初日

今回は天候が予想通りで、非常に恵まれ、景色が最高でした。

初日は雨と聞いていたので中房温泉宿泊とし、温泉をただひたすら堪能。これは正解でしたが、
ただひとつ残念なのは、私が生まれて初めて財布の盗難にあった、ということです。脱衣所で鍵のかかるロッカーに入れたのですが…。財布は戻ってきたのですが、不思議な経験でした。これについては後ほど…

翌日起きてみると、周囲は雨から雪景色に変わり、水墨画の世界になっていました。


朝の早い時間は雪がちらつくも…昼にかけて天候は回復基調にあり、登れば登るほど天候が
良くなるというなんとも登山意欲に湧かせる日でした。

 登山口の雪の様子。

大体、尾根というものは尾根の終点、つまりふもとのほうが急で山頂に向かうほど、緩やかになって行くものです。 今回の燕岳は日本三大急登と言われているそうですが、前回去年の11月
初旬に歩いたとき
は、急登というほどの急登とも感じられず登りやすい道でした。

 素晴らしい樹氷が張りました。

今回は、この登山の核心部はここなのではないか?という感じ。というのは、上はふかふかの
新雪でも麓は霜柱と氷。おまけに急。もっともアイゼンのありがたみを感じるのは第一ベンチから下でした。 



燕岳の登山道は、第一ベンチ、第二ベンチ、第三ベンチ、とベンチを通過し、合戦小屋に
ついたら、そこから少々上の三角点から森林限界を超えた尾根歩きです。
つまり第一~合戦小屋まではひたすら森の中を歩く。尾根歩きを展望のご褒美道と位置づけるならば、樹林帯の中はアルバイトともいえます。

そのアルバイトも第二ベンチ以上は雪道で、良く踏まれ、木漏れ日の中を歩く、快適な登山道です。アップダウンも緩やかに続きます。

ただ第一ベンチから第二ベンチの間だけは凍結…そして木の根と段差が大きな滑り安い道。
というわけで合戦小屋についたら、「こっちのもの」です((笑) ←何が?) 

そういう具合に、頭の中にペース配分が入っていたため、合戦小屋まではひたすら黙々と登りました。登るたびに衣類を脱ぎます。何しろ暑い!雪がふるとはいえ、登りはかなり暑くなるのが登山です。しかも11月気温はまだ高い。

今回は年配の人が多く登っていたので、結構な人数を追い抜きました。私達は8時に登り始め、12時に小屋の予定。 同じ中房温泉に泊まった人は7時くらいから歩き始めた人もいたようです…しかし天候回復は午後からと聞いていたのであんまり早くても…と思い8時開始。

合戦小屋ではすぐ上から稜線歩きと分かっているので、衣類を調整します。つまり防風のため樹林帯から上では着ます。
 こんな快適な尾根道です。

しかし道は上へ行けば行くほど雪が厚くなり、登り易くなりました。

三角点からは既に稜線上の小屋が見え、槍ヶ岳のお姿や富士山のお姿も雲間に見え始め、励まされる道です。傾斜も緩やかな尾根なので、風の少ない快適な日はあまり急いで登ることに意義を見出せない…ので、今回ものんびり写真を大量に撮りながら登りました(^^)。

■ 稜線ものんびり

冬の燕岳は夏道とは違い小屋の裏につながる尾根道を行きます。尾根を歩くのは雪崩を避けるためです。

しかしテッペンを歩くというのはなんと気持ちが良いのでしょう!本当に空中散歩です。 

しかーしそんなのんきな気分で入れるのも、小屋の直下まで。合戦尾根は小屋の東についているので、峠に出るまでは風下で山体に風がさえぎられ、そんなに強風は感じません。が小屋の脇についたとたん、強い風。一気に指先がかじかみます。そう、最後の10分がものすごく強風にさらされるわけです。

私達はこれを知っていたため、ゴーグルやバラクラバ持参で来ましたが、知らなかったらびっくり!の10分の小屋裏の小路です…本当に小屋の裏から小屋の玄関までがシビアに強風なのです。とはいっても10分なので晴れていれば、息を止めダッシュです(笑)

小屋に着くと…それはもう、ランチにケーキセットにコーヒーに…日本で一番人気がある山小屋と豪語するだけあり、サービスてんこ盛りです(笑)

 カレー
 ケーキセット950円

■ 雪山って言っても色々なランクがあります…

到着すると夫が「どうする?山頂?ランチ?」なんて、トンチンカンなセリフを…(汗)
初めて来た山でもないし、”4時間登って小屋でランチ後山頂”というのはとっくに下で打ち合わせ済みです。

つまりこのトンチンカンなセリフは彼が興奮状態にあることを意味しているんですよね…(^^;)。結婚10年目にして理解し始めた夫の言動…(笑) 

私の夫は、とってもいい人なんですが、深く考えないって癖があります。興奮すると余計にそうなります(^^;) リラックスするとそうなってしまうんですね。だから夫がトンチンカンなことを言い始めたら彼が幸福感に浸っていたという証拠です。

夫は、いい意味で単純で屈託がない。悪いほうに出るとミーハーです。人のことをすぐ間に受け、見た目に騙されてしまう。気分が高揚すると、考えないでノリだけになってしまう…

山荘に着いたとき、玄関前にずらりと並ぶ冬山仕様の山男達の威風堂々とした姿に圧倒されたようです。 でもはっきり言ってこの日のこの山は、誰だって登れるから、衣装や装備がすごくても中身がすごいわけではありませんです(^^;)ハイ。 ピッケル?何の用?って感じの日なのです。

■ 成功者 燕山荘

燕山荘は山小屋ビジネスとして考えた場合、かなりの成功を収めたケースです。その秘訣はなんだろうか?と考えると、しっかり下界の段取りを踏襲したサービスというのが受ける元かな?と思いました。

到着すると、受付を済ませます。料金は前払いですが、しっかりと受付があるというのがまず好感持てます。何しろ、そういうのがない小屋もあります。

そして靴や持ち物をどうしたら良いかの説明があり、さらに部屋まで案内してくれます。コレもありがたい。番号だけ渡されて後はテキトーという小屋もありますから…

さらに部屋は寝台車みたいに人数ごとにプライバシーのある空間が割り当てられているのも好感です。

つまり案内が丁寧です。大抵のお客さんは宿泊先の気に入らないことをしようと思ってやってしまうのではなく、案内が無いために分からなくてやってしまう、というのが多いと思います。

例えば乾燥室には、名前を書ける札が容易されており、靴やウエアに結びつけることになっています…これで間違って持っていったり盗難の心配はなしですね!

コーヒーもあるし、ビールもあり、ケーキセットもあり、ちょっとあったらいいな、というものは全部答えているのが燕山荘なんですよね。
グッズも充実♪

そして特筆すべきは…なんとふもとの旅館、中房温泉より暖かい室内(笑)!! 中房温泉のお部屋の暖房が10分後とに切れてしまうせいですが…冬は暖かいことがなによりもてなしですねぇ(笑) それにしても、ふもとの旅館より稜線の山小屋のほうが温かいなんて。

■ 山頂へ散策

初日は登り4時間のあと、ランチ休憩し、その後燕岳に行きました。のんびりした稜線歩き片道30分です。

稜線上は風が強いので雪は飛ばされ、そんなに積雪量が無いので歩きやすいです。花崗岩特有の白い砂地の地形についた、えびの尻尾や、対岸?に見える北アルプスの山々の眺めを楽しみながら、のんびりと山頂に向かい、帰路は槍をバックに小屋を目差す、というような具合です。

 風で飛ばされて雪は少ない。カッカッという石と雪のミックスを噛むアイゼンの音が好き。

まぁ往復で1時間程度の散策なので、食後の腹ごなしにちょうど良いというところ。
山頂方面。 

燕岳は南峰と北峰があり、北も目差しましたが歩かれておらず、トレースが無いので踏むと腰まで埋まってしまいました。頑張れば歩けそうでしたが、そこまでする必要がある旅ではないので、今回はパス…。

それにしても稜線は特段に難所もない快適な道で、アイゼン無しのツボ足でもいけそうでした。下の温泉で情報収集したときの前日に登った人からの、事前情報では6本歯アイゼン以上要でした。

ワカンやスノーシューを持っている人を多数見かけ・・・一体どこで使うんだろう?…というのもこのトレースがない峰を目差したのは私達だけだったようですが…(汗)

ワカンなんて稜線に近ければ近いほど、人が入る山であればあるほど要らない。深い雪でラッセルとならない限り要らなさそうです…。

そして、1日目は終わりです。5時半の夕食までの数時間、思い思いに過ごすべし!です。
 夕飯はとてもおいしい夕食だった。

■ 2日目

2日目はぜひご来光を見たいところです。11月のこの時期はご来光は朝食前の6時20分前後。
6時くらいからコーヒー(500円)を飲みながら寒さに凍えつつ、朝陽の登る前の神聖な空気を味わいます。


ヨガでは朝陽が登る前の時間をブラフマムフールタと言って、宇宙の叡智がみなぎる時間と言っています。


 槍もこのように立派です。

ご来光を満喫したら朝食です。私は朝食が軽い人なので、今回は2日目の朝食は無しにして自分で持ってきたものを食べることにしました。これは大正解でした。時間も早く済むし、ゆっくりできる。夫は朝食を頼んだので時間に合わせなくてなりませんでした。

朝食後は軽く休憩…というのは、ランチでも朝食でも食べてすぐは血流が胃に行っているので
あまり寒気にさらされるには向いていません。食後は普通の状況のときより体が冷えます。つまり凍傷のリスクが高い。…と、去年やおとどしの雪山で学んだので、食事をしたら、しばらくは休憩です。

私達は今回は6時半の朝食で休憩して7時半から、お天井方向に歩き始めました。蛙岩のすぐ手前まで。ずっと槍を眺めながらの稜線歩きです。
 
神様はブルーとホワイトの造形を研究中…

この日は稜線だからもちろん風がありますが、私達が知っている最も過酷な風とは桁違いに違う
稜線の上としては微風と言っていいのではないか?という風で、ウエアを着込んでいればぜんぜん平気です。ただし防風性のグローブなどはもちろん要ります。


小屋にザックなどは置いて、ピッケルだけを持って歩きます。とはいってもピッケルの出番があるような道とはとても思えない、のんびりそのものの稜線道です。トラバースが続いているので
もし転んだら、と考えると少々怖いですが、斜面の角度がきつくない上良く踏まれているので
歩くところそのものは平坦です。

ただ初心者を連れた初心者と思しき3人組がトラバースの真ん中で山座同定をしており、とても危ないと思いました。足場がないところで立ち止まってすれ違いを発生させるのは危険です。
すれ違いでは結構危険を感じさせられました。というのは、すれ違いに向いていない場所ですれ違う人が多いからです。山が易しいだけにリスクを感じ取れる人があまりいないのだと思いました。どんなに易しくてもすれ違う相手が平坦な場所を歩けないような場所ですれ違いを発生させるのはよくありません…。

この蛙岩まで道は約1.5時間ほど。素晴らしい空中散歩を楽しみ、9時すぎに小屋に戻り、一服して9時半に小屋を後にしました。


 テント泊の跡…

■ サクッと下山

下山は2.5時間の道です。登り4時間、下り2.5時間と、登りと下りでコースタイムに差があるということは、それだけ登りがキツイ、つまり急だ、という意味ですね。

逆に言えば、下りは早いと分かっているので、むしろ早い時間に下山するのはもったない。
ので9時半までだらだらしていたわけですが、小屋の人たちはむしろ登山者にはサッサと帰ってもらいたいわけなので…「この談話室は9時半から掃除しますよ~」というプレッシャーも感じつつ…仕方無しに下山開始です(笑)

下山も合戦小屋までは空中散歩なのであえて舐めるようにゆっくり歩きます。下山はダブルのストックです。ダブルのストックで歩くのは初めて。なかなかうまく突けません(汗)むしろないほうがいいのでは?と感じたくらいでした…(汗)慣れが必要ですね。今回はこの旅のためにスノーバスケットを新調したのに、そのバスケットをアイゼンで踏みそうになってしまう…突く場所がイマイチなようです(汗)

 このような空中散歩です。

うーん、この尾根、どこでピッケルの出番があるのかイマイチ分かりませんでした。広い尾根で
転倒しても滑落のリスクはかなりなさそうです…

槍と富士山をお名残惜しく思いつつ…あっという間についてしまう合戦小屋。のぼりと同じでここで休憩したら、衣類を1段軽くします。どうせ暑くなるのです。

合戦尾根から第三ベンチ、第二ベンチ、第一ベンチ…軽快に降ります。

木漏れ日が気持ちよい樹林帯の雪道です。日焼けは気になりました(^^;)

■ 自分で課題を用意

今回の山は天候に恵まれたため、難所もなく、体力的なチャレンジもなく、楽々の山でしたので、それでは少々成長するための要素に不足するだろう、ということで、今回下山はスピードに
挑戦です(笑) 

と言っても、たまたま追い抜いていったおじさんが健脚者でガンガン降りるので、そのおじさんのペースに合わせて降りてみただけです。

上手な人にぴったりついて、同じように足を置いていたりすると、色々と盗めます(笑)

おじさんは私が多少うっとうしかったらしく、どうしてついて来るんだ?!と思ったのでしょう…「女性なのに早いね」と漏らしていきました。後ろをぴったり歩かれては高速道路で煽っている後続車がうっとおしいのと同じなので、あまり無料で先生にしてしまうのは悪いと気が引けたので、第三ベンチから第二ベンチの間だけおじさんをお手本とし、第二ベンチで後続の夫を待ちました(笑)。

夫は「早いね~!!」 いや彼がのんびり派なのです。思うに無理して早く降りなくてもいいけど、早く降りたい、と思ったときに降りれるようなスキルがあることは大事だと思う。

体力も同じで、人より体力があることを自慢する必要はないが、自分がやりたい!と思ったことが実現できるだけの体力を維持していくのは大事だと思う。だからのんびりしているのが好きだから、と言って体力トレーニングやスキルアップが要らないというのとは違う。

夫はそういう面では欲がないのです。欲がないのではなく、自分に対する期待値が低いのだと思う。でも、本当は彼だって”やればできる子”なのです…彼は赤ん坊のとき未熟児で生まれたせいで親からは生きているだけで親孝行と、あまり期待を受けなかったのだそうです。

でも中年を過ぎようとしている今も生きているだけでOKって…そこはちょっと自分に甘いだけかもしれません。親の期待はうっとおしく利益と害では害が大きいものかもしれませんが、自分で自分の期待値を低く設定するのは単に自尊心が低いだけです。低い自尊心は害になります。なぜなら達成度が低くても他人には認められたいわけですが…それは無理って相談だからです。

一般的には高すぎる目標を課して1人で勝手に挫折する人が多いわけなので、そんな理想主義に自分を当てはめたり、ストイックに漠然とした上ばかり目差す必要は無いけれど、課題を設定すること事態をやめてしまってはいけませんね。どんなに小さなステップでもいいから、踏み続けることが大事です。さらに言うと、課題は具体性があるべきです。

■ テント泊と小屋泊

今回は、冬用のテント泊装備はまだ持っていないので相変わらず小屋泊でしたが… 小屋で泊まる山旅に限界を感じました。



何しろ小屋に入ってしまえば外の状況はまったくわからないのです…自然を味わいに来たのに。

小屋の外に張ってある色とりどりのテントが羨ましい…とはいえ、夜はどれほど寒いことでしょう…。

(寒さ)と(背負わなければならない重荷に耐える体力がない)と…恐れをなしつつ、でも、小屋泊では不満と言う微妙な地位にいます…なんてわがままな…(^^;)

なんというか、小屋というものは保護されすぎている…トイレも快適、暖房も快適、寝具も快適…寝るときなんか、暑いほどです。 外はマイナス10度だったというのに。

山登りと言うのは不思議なモノで、自然を味わいに出かけるくせに、自然から身を守ることに
力が入りすぎる。…過保護すぎるものなのです。

何しろ、山登っていたら、暑いんです。だったら薄着にすればいい、って思うでしょう・・・しかし、そうすると風が吹いたら冷えて寒い… 簡単に言うと、暑すぎるか寒すぎるかの永遠の振り子状態を繰り返しているわけなんですね。過剰装備と過信の間を。

その振り子状態が物質の二元性の世界に住む人間の存在そのものを思わせます。

その振り子のために…人間にとって快適な状態を維持するために…費やす装備への投資、衣類への投資…多額です(汗)

たぶん、登山になれてくると、どれほど高価な装備をそぎ落とせるか、が完成への一歩になっていくのでしょう…最初は誰もが初心者で山での生活能力もないですから、初心者ほど装備が過剰でオーバーなわけです。知らない人は南極探検隊みたいなウエアの人が山慣れした山男と思うわけですが、実はホントの山男は装備が質素です…

まぁそんなこんなわけで”高機能”つまり徹底的に人工的で人為的なウエア類を駆使して、山と言う大自然へ分け入る。愛しているのか?それとも敵視しているのか?

しかし、そうした過保護といえるものに”身を守られなければ生きていけない”のが人間でもあり、しかし、そのため肝心かなめの、自然に対する適応能力のほうは、甘やかされ、どんどん鈍化、退化てしまう…という自己矛盾を永遠に抱えています…

ああ、まるで人類の縮図…が登山という行為そのものですね!

同じことが小屋泊&テント泊にいえるわけですね。小屋泊は過保護です。でもその過保護が必要な場合とか必要な人もいるんですよね。

例えば初心者とか高齢者とか…。問題であろうと思えるのは、そういう、いわば弱者に値しない人たち…若い人や壮年期の人、健康な人…をも最近では、すっかり小屋の快適さに丸め込まれ(つまり現代生活の快適さに溺れ)、”自然に向かい合う”という本来の意図をすっかり棄権して、山が山上の宴会地と化してしまっているってことですね…

つまるところ自然という名の友人を訪ねておきながら、その友人そっちのけで内輪でビールで盛り上がってしまう…・という矛盾する事態に陥っている。それでありながら、そのことにまったく気がつかない…。その無自覚さは山に真摯に対峙する古い山人たちの神経を逆なでしても仕方ありません。要するに自然そっちのけ。なので。あえて自然の真っ只中にいながらにして…

そういうことを感じずには入られないのは、本当に小屋が快適だからですね。自然の厳しさを
忘れさせてしまうほどに。そしてみなで下界の仲間と愚痴をこぼしあって下界のストレスを開放するわけです。

それで山っていいね!って言われても、山のほうも複雑な心境でしょう…山の存在はあまり介在していない…ただ山でも島でも、外国でも非日常ならいいって話になってしまう…

まぁそれだけ現代人がストレスにさらされている、ともいえるわけですが。山は包容力があるからそういう形でも受け入れてくれますが。

■ 美しさと厳しさの両面性

自然は本当に美しいです。 その美しい自然を前にして、美しさだけを見て、その厳しさを見ないのは、自然を半分だけしか理解したことにならない。そう思います。

美しい自然も自然。厳しい自然も自然。どちらも同じ自然の両面の顔です。どちらかがなくては
どちらをも成り立つことができない。

美しい自然を見ていると…なぜ人類はこんなにも美しく神が作りたもうた世界を、汚染し、壊し、陵辱してしまったのだろう????と普通の感性の人なら誰でも思うはずです。

自然は美しい。そして、人は自然の一部であって、自然が人間に属すものではない。

どう考えても、人類は自然という名の神の一部であって逆ではありません。

なのに自然をコントロールできると考えたこと自体が、とてつもなく大きな間違いなのに、そう考えてしまったとしか思えないような状況、事態を引き起こしているのが、現代という時代です。その半ばおろかだと思える、現代と言う乗り物に、同時代に生を受けてしまった人間は一応に翻弄される。

もし、政治家にしろ、行政のお役人にしろ、企業のエライサンにしろ、現代のリーダーと言われる人たちが登山を義務付けられており、いかに美しく神がこの世界を作ったのか?この世界の美しさを見たならば、決して、夜空に星の見えない空を子供達に残すべきだとは考えられなかったでしょう…

けれども、人類は、自然の厳しさから逃げ、自然の美しさをも代償として差し出し、厳しくて美しい代わりに、快適で醜い世界を選んだのです…星空の変わりに、街頭とネオンにあふれる街を。循環型の自然素材できた家の変わりに、自然から略奪した石油をガンガン燃やして寒さをしのぐ暖房完備の家を。

快の追求の結果が、原発であり、自然破壊であり、手間無しの家庭生活…そして、”醜”ですね。

自然と比べ人間世界の醜さは誰の目にも歴然としています。だからこそ、美しい自然に会いに人は山に登り、海にもぐるわけなのですから。

人は自然の中で生きていく術を忘れ、そういった快適装備なしには存在すら自信なくなってしまったってわけなのです。私自身を含め…

そう、この暖かな装備が意味するものは人間として人が弱くなったってことでもあるのです…
昔の人はこんなもの無くても山に登っていたわけですから。

とはいえ、テント泊、やれと言われてできます!と即答できないヤワな現代人の1人である自分が妙に悲しい…そんな燕岳でした…。山は本当に懐が深いですね。

今回の山では歩いている間中、頭の中にベートーベンが…交響曲第7番、第2楽章です… この曲、歩きやすかったですよ(^^)

ベートーヴェン - 交響曲第7番~第2楽章



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