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今夜は花火大会があるんだって。
でも、ちょっと遠いから、見に行けないや。 |
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空を飛べたらいいのにな……。 |
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そうだ、四つ葉のクローバーに、願いをかけてみようか? |
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クローバーよ、四つ葉のクローバーよ。
空を飛べるようにしておくれ! |
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……なーんてね。
ふふっ。まさかね。 |
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いくらなんでも、空を飛べるわけないよね……。 |
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そんなことを考えながら、僕はいつしか、眠りに落ちた。 |
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一体、どれくらい眠ったのか……? |
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やがて……背中の、肩甲骨のあたりに……小さな羽根が生えてきたんだ。 |
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その羽根を、はばたかせたら、僕は、ふわっと宙に浮いた。
おかか先生がオシッコしているところを、上から見おろしたような気がするよ。 |
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僕はそのまま、夜空を飛んだ。どこまでも。
すると、不思議な、綺麗な光が見えてきた。 |
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ああ、花火だ! |
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なんて綺麗なんだろう。 |
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どういうわけか、あの、ドーンという、耳をつんざくような音は、聞こえない。 |
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でも、夜空を飛びながら、間近で見る花火の迫力は、凄かった。 |
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この世のものではないような、美しさだったよ。 |
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これが夢なら……どうか覚めないで。
そんな風に考えながら、僕はいつまでも、ふわふわ夜空を飛んでいた……。 |
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