小さな翼で

2010年08月08日 18時30分11秒 | B地点 おむ

 

 

今夜は花火大会があるんだって。

でも、ちょっと遠いから、見に行けないや。
空を飛べたらいいのにな……。
そうだ、四つ葉のクローバーに、願いをかけてみようか?
クローバーよ、四つ葉のクローバーよ。

空を飛べるようにしておくれ!
……なーんてね。

ふふっ。まさかね。
いくらなんでも、空を飛べるわけないよね……。
そんなことを考えながら、僕はいつしか、眠りに落ちた。
一体、どれくらい眠ったのか……?
やがて……背中の、肩甲骨のあたりに……小さな羽根が生えてきたんだ。
その羽根を、はばたかせたら、僕は、ふわっと宙に浮いた。

おかか先生がオシッコしているところを、上から見おろしたような気がするよ。
僕はそのまま、夜空を飛んだ。どこまでも。

すると、不思議な、綺麗な光が見えてきた。
ああ、花火だ!
なんて綺麗なんだろう。
どういうわけか、あの、ドーンという、耳をつんざくような音は、聞こえない。
でも、夜空を飛びながら、間近で見る花火の迫力は、凄かった。
この世のものではないような、美しさだったよ。
これが夢なら……どうか覚めないで。

そんな風に考えながら、僕はいつまでも、ふわふわ夜空を飛んでいた……。