アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

カニ ツンツン

2010-07-16 07:56:34 | インポート
14日は玉山神学院の皆さんと千歳で別れた後、留萌に帰宅。この間のふりかえりと報告のまとめをしました。

その前日の13日。彼女達を送って札幌に行った後に駅近くの本屋をのぞくと、知里真志保編訳「アイヌ民潭集」(岩波文庫)が目に止まり、即購入。夜に読み始めました。
すると、なんと、なつかしい節が最初の物語に出てくるではありませんか。
カニ ツンツン ピィ ツンツン 
カニ チャララ ピィ チャララ

これは真志保さんが古老たちから聞いて集めた十以上にもなる「ペナンペパナンペ ウエペケレ(物語)」のひとつ、「パナンペ放屁譚」に出てくる鳥の鳴き声。
物語のあらすじは以下の通り(正しくは660円を出すか、図書館で探して読んでください)。
昔あるところにパナンペとペナンペがいました。パナンペは山にコクワ採りに出かけると、可愛らしい小鳥が先ほどの鳴き声をあげて飛んでいるのを見て感心したところ、小鳥が口に飛び込んで来た。
家に帰ったパナンペはお連れ合いに「屁をひるから聞いてくれ」と言う。連れ合いは嫌な顔をするも、屁の音を聞いて驚いた!
カニ ツンツン ピィ ツンツン 
カニ チャララ ピィ チャララ

あまりにおもしろいので二人は笑顔が絶えなかった。
それを聞いたお殿様。彼を呼んで披露してもらって大笑い。パナンペはたいそうなご褒美をもらったそうな。
となりに住んでいたペナンペ。同じぐらい貧しかったのにどうしたことかと聞きに来ると、パナンペは丁寧に家に招いて食事を与え、おまえも同じようにやったら金持ちになれるよと教えてあげた。
しかし、ペナンペの反応は感謝と違って怒りが先に。「先におれがやろうとしていたのに俺を出し抜きよって」と捨て台詞をはいて、玄関先に糞としょんべんをかけて帰って行った。
同じように金持ちになろうと殿様の前に出たペナンペは、力みすぎて糞をまき散らして、殿様に懲らしめられた・・・という「花咲かじいさん」のようなお話。
このような話が続くのがとてもおもしろかったです。特に、おならやうんち、肛門であらゆる魚を吸い込む話や、尻滑りで竹に突き刺さる話など、なんと言うか、「下ネタ」というか、こどもが好きそうなリアルな話が出てくるのがいいですね。

kani=金、tun-tun=金属製の美しい響き。 kani chara-ra=黄金サラサラ、pii=小鳥の鳴き声だろうと知里真志保さんの解説(P237)。



この「カニ ツンツン ピィ ツンツン カニ チャララ ピィ チャララ」は、福音館書店の絵本「カニ ツンツン」(金関寿夫文・元永定正絵 福音館書店2001)に出てくるのです。福音館が出している360円だったかの「こどものとも」シリーズで初版を買って、我が家では息子三人とも想い出に残るほど好きな絵本でした。
単純なカニの絵が出てきて、「日本語」ではない言葉が響きつつ、話が進んで行くのです。そして、圧巻は最後の数ページ。言葉がなく、絵だけでこども達は物語に引き込まれて大笑いするのです。
URLにて検索するといろいろ出てきますのでご参考に(その後のハードカバー版で言葉の解説も付いてきました)。でも、最後の部分はこどもたちと楽しんでください。

ちかく遊びに来ているこどもたちに「カニ ツンツン」を読もうと思います。その反応を見たあとに、ペナンペ・パナンペ物語につなげてみます。こどもたちは「うんち」が好きですから、こちらのほうがはまるかも・・・・。


浜益の黄金山(登山が出来るそうですから時間を作って行きたいと思います)
昨日(15日)はこども達と模造紙に世界地図を真ん中に貼り、その周りにこの数日でここを訪れた人の写真を貼って、出身地い矢印をつけました。台湾のお姉さん達ともっと遊びたかったと言ってました。

帯広教会の長老が別の用事で留萌に来られていたので、お訪ねくださいました。感謝。


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