アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

アイヌ民族遺骨返還の指針策定?

2012-04-21 11:42:06 | インポート
今朝の北海道新聞に以下のニュースが載りました。 

大学保管のアイヌ民族遺骨 返還の指針策定へ 文科省
文部科学省は、全国の大学や研究機関が研究目的で保管しているアイヌ民族の遺骨を遺族に返還するための指針作りに着手する。しかし、発掘から半世紀以上たつ遺骨が多いことから、だれのものか特定する情報が少なく、指針ができてもどれだけ返還につながるかは不透明だ。
指針は年内の策定を目指し、遺骨の特定の仕方、返還する遺族の範囲、周知方法、申請手続きなどを明示する。返還が難しい遺骨については、アイヌ文化の拠点として胆振管内白老町に整備する「象徴空間」に集約することも盛り込む。
日本人類学会の調査ではアイヌ民族の遺骨,は北大や東大などに1500体あるとされるが、文科省はさらに増える可能性があるとして全国の国公立大などを対象に保管数や保管状況を調査している。指針は、調査で把握した遺骨の返還手順を示すのが目的。また道内のアイヌ民族が北大に遺骨の返還を求める動きもあり、他大学からも指針を求める声が出ていた。
しかし、同省によると、遺骨は発掘されてから半世紀以上たっているものが多く、その当時の情報が不足している。このため、遺骨調査でも「個人の特定に結びつくケースは少ない」(文化庁)とみられ、指針ができても返還につながるケースはわずかになる可能性があるという。 2012年4月21日(土)


過去ブログ(2011/11/15  http://pub.ne.jp/ORORON/?entry_id=4001660)に掲載したことを繰り返しますが、読売ニュース(2011年11月14日)で、政府のアイヌ政策推進会議が全国の大学に保管されているアイヌの人骨の状況を調査し、来年12月までに結果をまとめることを決めたと報道されました。
そして、「調査結果を踏まえ、北海道内に建設予定の慰霊施設に移すか、遺族に返還する方針」と。
さらに、朝日新聞記事「文科省 アイヌ民族遺骨調査」(同日)には、心配していた私立大の調査も行うとのこと。調査内容は、(1)収集の経緯 (2)大学の保管状況 (3)保管数、など。調査表はどのようなものだったのでしょう。特に(1)の「収集の経緯」は、いつ、誰がどこで、誰の遺骨を、どのように(遺族に了承を得たか)発掘したかなど、詳しく書くようになっているのでしょうか。

上の記事からすると、調査結果が大筋で出てきているということでしょうか。1500体がさらに増えていることもすでに出てきている可能性があります。
その上で、発掘当時の情報不足と「個人の特定に結びつくケースは少ない」(文化省)という発言があるのでしょう。

ここで疑問なのは、盗掘もあったとされる「発掘・収集・ずさんな管理」を実際に行った各大学の歴史性や犯罪性、そして補償に関することが問題にされていないことです。実際に盗掘をした学者や大学の責任や、ずさんな管理責任はどうなるのでしょう。
また、記事にあるように、北大によって盗掘された先祖のご遺体を速やかに返してくれと要望をしたアイヌ民族の三名に、情報がないからどれが該当する遺骨かわからないので返せないと言う可能性も出てきます。
北大の無責任さと同じことを国がやろうとしているのでしょうか。かつての調査では盗掘もあったと認めているのですから、国はもっと鋭く、丁寧に調査すべきです。

全国の博物館、図書館、各郷土資料館、個人所有、海外の調査について文科省はどう考えているのでしょうか。北大の副葬品発掘物の行方不明も加えて、それら副葬品の調査も同時に行うことを望みます。


石狩から留萌方面を望む。日本海沿岸道をいつも使って札幌の往復をします。写真では左端をさらに北上したところに留萌があります。


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