おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「雨ン中のらくだ」 立川志らく

2009年05月02日 | た行の作家
「雨ン中のらくだ」 立川志らく著 太田出版(09/04/30読了)

 「立川流とは新興宗教である」-と、改めて、確信する一冊。

 談春の「赤めだか」(扶桑社)も、談四楼の「煮ても焼いてもうまい人」(文庫)も、結局ところは、「俺の方が師匠のことを愛しているんだ!」自慢に尽きるわけです。そして、「雨ン中のらくだ」は、宗教色が一段と強まって、ほとんどカルト?僕の好きな師匠の落語18選を小見出しにして、「師匠のこんなところが好き」「師匠にこんなことを言われたのが嬉しかった」「師匠とのこんな思い出が忘れられない」というラブラブ随想が延々と続くのです。

 いえいえ、決して、ツマラナイと言っているわけではありません。その、ピュアな愛に心打たれ、小気味よい文章に乗せられて、すっかり、談志ファン気分(一度も聞いたことないのに、ゴメンナサイ)。その上、落語初心者にとっては、ちょっとした、落語教本にもなる。さすがでございます。
 
 それにしても、ここままで、愛して、愛して、愛し倒される立川談志という人はスゴイ人なのでしょう。だからこそ、「寄席に出られない」というとてつもない障害を超えて、人気・実力を伴う有望株を輩出しているのですね。

 で、十分に面白かったのですが… 談四楼師匠の圧倒的な文章の上手さに比べると、「もう一息!」と言いたくなってしまうし、「赤めだか」の大ヒットの後だと、どうしても、二番煎じの印象は否めませんな。

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