おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「闇の守り人」 上橋菜穂子

2011年09月14日 | あ行の作家

「闇の守り人」 上橋菜穂子著 新潮文庫  

 

「精霊の守り人」の続編。苦戦の末、半月以上かかって読了。

 

苦戦の理由は、登場人物がみなカタカナ名であること。しかも、架空の国の物語なので、そのカタカナが英語っぽくもないし、フランス語っぽくもない。私にとっては、手がかりの掴みようのない文字の羅列に見えてしまう。その上、登場人物が多い!!!3ページ読むたびに「これって、誰だっけ?」とページを逆戻り。なかなかスムーズに読み進めませんでした。

 

普段、私は、名前の響きや字面の印象から登場人物のキャラクターを頭の中で構築しながら読んでいるのだと思う。だから、カタカナ登場人物のストーリーはかなり苦手。主役は古代進/森雪とすると、たとえアニメ作品を見ていなくても、この2人の名前を見ただけで、キャラクターのイメージが湧いてくるし、作家がこの2人にどんなキャラ付けをしたいかも想像したくなる。でも、バルサ/カルナ/ジグロという名前から、主人公がどんな役割を担っているのかイメージを結べない。 

 

ただ、ストーリー自体は嫌いではない。「ナウシカ」「もののけ姫」のような、勇敢で、聡明なヒロインの冒険と戦い。ただし、この物語の主人公バルサは少女ではない。アラサーのヒロインという設定は、なかなか、渋くて好きだ。「ファンタジー」に分類されるのだろうけれど、フワフワとした夢物語というよりも、生きること、孤独に向き合うこと、権力欲とは何か、支配するとは何か、生まれもって与えられた運命をいかに受け入れるか―根源的なテーマに迫ろうとしている。どこか、哲学的でもある。「カタカナの名前が覚えられない」という壁さえ越えられれば、もうちょっとハマれそうなのだけど…。

 

ところで、女子サッカー五輪予選の時に、ツイッターのTLを眺めていたら「澤を見ていると、上橋菜穂子の“守り人”シリーズのバルサを思い出す」という書き込みがあり、妙に納得しました。