おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「アナザー修学旅行」 有沢佳映

2010年10月08日 | あ行の作家
「アナザー修学旅行」 有沢佳映著 講談社 2010/10/07読了

 タイトル通り、本当の修学旅行ではない、別の修学旅行(?)の物語。
 骨折したり、保健室登校だったり、経済的事情-などで修学旅行に行けずに「お留守番組」となってしまった中学生7人の、わずか2泊3日間の友情と成長。「旅行には行けなかったけれど、私たちにとって思い出深い3日間だったよね」-っていう、チープなほどに無難な結末でした。

 講談社の第50回児童文学新人賞受賞作だそうな。確かに、中学生にとって、「修学旅行に行けない」という事態は、一生悔いが残るようなショッキングな出来事であり、十分にドラマチックなのだと思う。 しかし、物語の中で展開されているのは、「7人だけが置いてけぼりを食らった」という事実を除けば超超日常なのです。先生の目を盗んで教室を抜け出してアイスを買いに行ったり、自習時間は思いっきりやる気なくダラタラと過ごしたり、女子の関心事と言えば「誰と誰が両想い」だとか…。

 いくら児童文学とは言え、読者である小学高学年や中学生は、こんな超日常が綴られたストーリーのトキメいたり、心躍らせたりできるでしょうか。または、何かを学んだり、考えたりするのでしょうか。しかも、言葉遣いが美しくない…というか、中学生のしゃべり言葉そのまんまの文体で書かれていて、私は、ちょっとイラッとしました。もちろん、過去にも口語体で書かれた小説はたくさんありますが、ここまで稚拙な言葉遣いを活字で読むのは、あまり楽しいものではありません。これ自体は、ケータイ小説ではないのですが、いかにも、ケータイ小説時代の作品だなぁと思います。

 友人が貸してくれた本なので、一応、冷静に論評してみました。でも、自分で1300円払っていたら、もうちょっと口汚く罵り、「お金返して!」と言っちゃいそうな勢いです。
それにしても、こんなんが児童文学新人賞受賞作って… まあ、活字離れもやむをえないか。