「和宮様御留」 有吉佐和子著 講談社文庫 (08/07/05読了)
前々から読みたいと思っていた一冊。子どものころ、大竹しのぶ主演でテレビドラマ化され、予告編で大竹しのぶ扮する替え玉の宮様がお習字の練習をする場面が、今でも、鮮明に印象に残っています。ドラマ自体は、見たのか、見なかったのか-まったく記憶に無いのですが、とにかく、原作を読んでみたかったのです。正直、読むのには苦労しました。刷りを重ねているにも関わらず…昔の文庫本のように活字が小さい。多分、最近の活字の大きさに変えたら上下二分冊にできるぐらいの分量。御所言葉が多用されるなど、難しい言葉遣いでスラスラとは読めません。でも、それでもなお、面白い小説でした。
公武合体の大儀のため、徳川十四代将軍家茂に降嫁した皇女・和宮が実は替え玉であったというストーリー。主人公は、召使として和宮の居所に呼び出された婢(はしため)のフキ。ボロをまとい、水汲みの日々を送っていたのが、何の説明もなく、美しい着物を着せられ、和宮と寝起きを共にするようになる。声を出すことすら許されない不自由な生活の中で、和宮と時折かわす笑顔だけのコミュニケーションを通じ、もしかして、自分は和宮の身代わりになるのではないか-と察していく。フキは「和宮のためになりたい」という召使としての純な気持ちと、たとえ貧しくても外の自由な生活への渇望の間で揺れる。フキにとっての自由な生活の象徴が祇園祭であり、「コンコンチキチン、コンチキチン」と心の中で口ずさむ様子がなんとも切ないのです。我慢に我慢を重ねながら、なんとか、和宮の替え玉を勤めきろうとするフキも、ついに、心を病み、正気を失い、さらなる替え玉が仕立て上げられるのです。
果たして、これが史実なのか、フィクションなのか、よくわかりません。でも、こんなことがあっても不思議ではないと思えるほどに、江戸時代というのは、女にとって辛い時代であり、嫁ぐということが、囚われの身になるということだったのかということ思い知らされます。その一方で、表の男の世界とは別に、女の世界でも様々な政治的な駆け引きが展開されていたのが興味深いです。あまりにも古いけれど…大竹しのぶ主演のあのドラマ、再放送してほしいぁ…。
面白かったのですが、疲れので、次はスラスラ読める系にします。
前々から読みたいと思っていた一冊。子どものころ、大竹しのぶ主演でテレビドラマ化され、予告編で大竹しのぶ扮する替え玉の宮様がお習字の練習をする場面が、今でも、鮮明に印象に残っています。ドラマ自体は、見たのか、見なかったのか-まったく記憶に無いのですが、とにかく、原作を読んでみたかったのです。正直、読むのには苦労しました。刷りを重ねているにも関わらず…昔の文庫本のように活字が小さい。多分、最近の活字の大きさに変えたら上下二分冊にできるぐらいの分量。御所言葉が多用されるなど、難しい言葉遣いでスラスラとは読めません。でも、それでもなお、面白い小説でした。
公武合体の大儀のため、徳川十四代将軍家茂に降嫁した皇女・和宮が実は替え玉であったというストーリー。主人公は、召使として和宮の居所に呼び出された婢(はしため)のフキ。ボロをまとい、水汲みの日々を送っていたのが、何の説明もなく、美しい着物を着せられ、和宮と寝起きを共にするようになる。声を出すことすら許されない不自由な生活の中で、和宮と時折かわす笑顔だけのコミュニケーションを通じ、もしかして、自分は和宮の身代わりになるのではないか-と察していく。フキは「和宮のためになりたい」という召使としての純な気持ちと、たとえ貧しくても外の自由な生活への渇望の間で揺れる。フキにとっての自由な生活の象徴が祇園祭であり、「コンコンチキチン、コンチキチン」と心の中で口ずさむ様子がなんとも切ないのです。我慢に我慢を重ねながら、なんとか、和宮の替え玉を勤めきろうとするフキも、ついに、心を病み、正気を失い、さらなる替え玉が仕立て上げられるのです。
果たして、これが史実なのか、フィクションなのか、よくわかりません。でも、こんなことがあっても不思議ではないと思えるほどに、江戸時代というのは、女にとって辛い時代であり、嫁ぐということが、囚われの身になるということだったのかということ思い知らされます。その一方で、表の男の世界とは別に、女の世界でも様々な政治的な駆け引きが展開されていたのが興味深いです。あまりにも古いけれど…大竹しのぶ主演のあのドラマ、再放送してほしいぁ…。
面白かったのですが、疲れので、次はスラスラ読める系にします。