origenesの日記

読書感想文を淡々と書いていきます。

柿沼敏江『アメリカ実験音楽は民族音楽だった 9人の魂の冒険者たち』(フィルムアート社)

2008-05-02 19:02:06 | Weblog
本書で言及されている作曲家は9人。
不協和音の作曲家カール・ダグラス、パーシー・グレインジャー、賛美歌を取り入れたヘンリー・カウエル、メキシコのロルカ的なシルベストレ・レブエルタス、ピート・シーガーの親戚であるルース・クロフォード・シーガー、自作楽器のカリスマであるハリー・パーチ、小説家としても有名なポール・ボウルズ、言わずと知れたジョン・ケージ、ジャワ・バリ島のガムランを取り入れたルー・ハリソン。
カール・ダグラスは不協和音によって「崇高」の概念を音楽に取り入れた。「崇高」はバークやカントの美学におけるキーワードであり、リオタールは「崇高」を美に代わる新たな基準としてポストモダン美術のキーワードとした。ダグラスは美術において重要であった「崇高」を音楽において表現しようとしたのである。
ケージは若い頃にウィリアム・ジェームズから影響を受けた。全体を統一的に構成するのではなく、モザイクのように部分部分を重視するというケージの思想はジェームズから来ている。ケージはジェームズを媒介にして禅を理解しようとしたのかもしれない。

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