ベランダ蘭

灼熱と強風のベランダで健気に育つランの観察

富貴蘭 「鯱甲龍」(Vanda falcata 'Shachi Kouryu')

2018-05-23 | 富貴蘭・フウラン
富貴蘭(フウラン Vanda falcata の登録品種)の無地葉変わり品種、鯱甲龍(しゃちこうりゅう)です。
2016年6月にヨネヤマから購入。



勇猛な漢字が並んだ銘どおり、力強く捻り狂っています。
富貴蘭の昨今の主流では整った葉型が好まれていますが、こういうマイナーな品種にマニア心がくすぐられます。



甲龍(甲竜)とは葉の形態変異の一種で、このように葉身部分から「ひだ」のように二次的な葉縁が形成されます。
最も有名なのはオモト(万年青)の羅紗品種ではないでしょうか。
(いかんせん私はラン科至上主義なので、キジカクシ科のオモトに手を出す気は全くないのですが)

甲龍形成のメカニズムについては、甲龍に似た表現型を示すトウモロコシのleafbladeless1変異体の研究から、
葉表の中肋部分に葉の裏側の組織が入り込み、表と裏の境界が葉縁の性質を獲得すると提唱されています。
Timmermans et al. (1998). Leafbladeless1 is required for dorsoventrality of lateral organs in maize. Development 125: 2813-2823.
論文のPDFファイルはフリーでアクセスできるようです。

さて、富貴殿の時に書いたように、狭いベランダでの富貴蘭栽培において日射条件には注意が必要です。
この鯱甲龍と同じ品種と考えられる獅子甲龍に関して、堀内一博氏は『ポケットカラー事典 富貴蘭』において、
「陰作りで徒長させるとだらしなくなるので、日作りが良い」と説明しています。



そこで購入した初年度によく日に当てた結果、一発で親木は凝り(2枚の小さな葉が痕跡をとどめている)、
子に至っては芯止まり(成長点の枯死)してしまいました。
異変に気付いてから即座に暗いエリアに移動させ、どうにか回復すると共に新しく芽吹いた子も育ってきました。
堀内氏と私の栽培環境で、日作りや陰作りの基準が違っていて然るべきなのに、安直すぎました。

フウランは成長が遅いので、条件を変えてもなかなか反応が現れず、変化が見えた時には既に手遅れということがありえます。
少しでも早く異常に気付けるように、一鉢ずつこまめに観察することが必要です。
ジャンル:
植物
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