今回は高軌道部です。おおむね静止軌道から上全般に当てはまる説明になると思います。高軌道部にステーションが設けられるとすれば、その役割や機能は、低軌道部とそう変わらないのではないかと思われますが、最大の違いは「天地が逆」ということでしょう。
静止軌道より上の高度では、重力よりも遠心力=地球の反対方向へ外側へ飛び出そうとする力の方が大きくなります。このため、高軌道のステーションで人間が立とうとする場合は、外宇宙の方へ足を向け、頭上に地球を仰ぎ見ることになり、この状態は静止軌道より上のすべての場所に当てはまります。
このほかには、前回紹介した投射機能を必然的に備えているので、高度に応じて、宇宙船や探査機の発着基地を兼ねることになると思われます。静止軌道における無重量状態の環境を利用して大型の宇宙船などを建造し、遠心力を利用して(つまり輸送エネルギーはゼロで)この発着基地へ運び、投射という手順を取ることになるでしょう。
反面、どこかから帰って来た宇宙船を高軌道部に接舷というか係留のようなことをした場合、カウンター質量が増えることを意味するので、大量に駐機したらバランスが崩れてしまうし、接舷時の相対速度の差次第では角運動量が変化することもありえます。
このため、静止軌道より下で質量を移動や増減させたりしてこの差を打ち消して、軌道エレベーター(OEV)全体のバランスをとる必要が出てくるかも知れません。とはいえ、これは昇降機の上下運動ですら生じる問題なので、あらゆる部分で色々と調整されることになるはずです。それにOEVが巨大化すれば、相対的に無視できるほど小さくなるかも知れません。
これは私の勝手な独創なのですが、上記のような理由から、OEVを利用して宇宙船の運用を行う場合は、(1)静止軌道部で建造 (2)完成後は高軌道部に遠心力で運び、投射機能を利用して加速させそこから発進 (3)宇宙船が帰ってくる時は、静止軌道部まで降りてそこへ係留 (4)発進する時は、再び高軌道部に運んで投射──というサイクルが良いのではないか、と考えています(ほかにも、宇宙船の推力は限られているから、帰ってきた宇宙船をOEVでひっかけてやるというのも手だとは思います)。
もしこうした使われ方になるなら、高軌道部のステーションは、船か飛行機の港か、あるいは首都高と地方高速道のジャンクションにあるサービスエリアのような場所になるかも知れません。この場所自体を目的に来る人はあまりいないでしょうが、遠い将来、中継点としてにぎわうのかも知れません。
次回のカウンター質量兼終点のステーションをもって、この「図解」を終わりにしたいと考えています(「豆知識」は続きます)。どうぞよろしくお願いします。
静止軌道より上の高度では、重力よりも遠心力=地球の反対方向へ外側へ飛び出そうとする力の方が大きくなります。このため、高軌道のステーションで人間が立とうとする場合は、外宇宙の方へ足を向け、頭上に地球を仰ぎ見ることになり、この状態は静止軌道より上のすべての場所に当てはまります。
このほかには、前回紹介した投射機能を必然的に備えているので、高度に応じて、宇宙船や探査機の発着基地を兼ねることになると思われます。静止軌道における無重量状態の環境を利用して大型の宇宙船などを建造し、遠心力を利用して(つまり輸送エネルギーはゼロで)この発着基地へ運び、投射という手順を取ることになるでしょう。
反面、どこかから帰って来た宇宙船を高軌道部に接舷というか係留のようなことをした場合、カウンター質量が増えることを意味するので、大量に駐機したらバランスが崩れてしまうし、接舷時の相対速度の差次第では角運動量が変化することもありえます。
このため、静止軌道より下で質量を移動や増減させたりしてこの差を打ち消して、軌道エレベーター(OEV)全体のバランスをとる必要が出てくるかも知れません。とはいえ、これは昇降機の上下運動ですら生じる問題なので、あらゆる部分で色々と調整されることになるはずです。それにOEVが巨大化すれば、相対的に無視できるほど小さくなるかも知れません。
これは私の勝手な独創なのですが、上記のような理由から、OEVを利用して宇宙船の運用を行う場合は、(1)静止軌道部で建造 (2)完成後は高軌道部に遠心力で運び、投射機能を利用して加速させそこから発進 (3)宇宙船が帰ってくる時は、静止軌道部まで降りてそこへ係留 (4)発進する時は、再び高軌道部に運んで投射──というサイクルが良いのではないか、と考えています(ほかにも、宇宙船の推力は限られているから、帰ってきた宇宙船をOEVでひっかけてやるというのも手だとは思います)。
もしこうした使われ方になるなら、高軌道部のステーションは、船か飛行機の港か、あるいは首都高と地方高速道のジャンクションにあるサービスエリアのような場所になるかも知れません。この場所自体を目的に来る人はあまりいないでしょうが、遠い将来、中継点としてにぎわうのかも知れません。
次回のカウンター質量兼終点のステーションをもって、この「図解」を終わりにしたいと考えています(「豆知識」は続きます)。どうぞよろしくお願いします。