釜石の日々

新種の桜

今月半ばを過ぎると九州でも桜が咲きはじめて来る。同じ東北でも気温が2度ほど内陸より高い沿岸部は来月半ば過ぎから咲いて来る。現代では各地の桜の名所が江戸時代に作出された染井吉野になっている。染井吉野は江戸彼岸桜と大島桜が交配されたものだ。この二種の他に、日本古来からの野生種には山桜、大山桜、霞桜、丁子桜、豆桜、高嶺桜、深山桜があり、これら9種が原種となり100種以上が自生していると言う。全国で人為的に植えられた染井吉野は原種の桜に比べて寿命が短い。原種の桜では何百年や千年を超える樹齢のものがある。染井吉野が交配種であるためもあるのだろうが、自生ではなく人為的に植えられているために、植えられた土地が桜に適した土地とは言えない可能性もあり、そうした人為的な環境が寿命を短くしている可能性がある。各地の桜並木は時期になると人の目を楽しませてくれるが、そうした並木は桜の1本1本にとっては生育環境としては好ましい環境とは言えないだろう。岩手では北上の展勝地や遠野の猿ヶ石川沿いの堤の桜並木が知られている。いずれの桜も根を見ると、隣接する桜と接し合っている。余裕を持って十分な栄養が吸収出来ているようには思えない。人為的な「美」を作り出したためにかえって寿命を短くしてしまっているのかも知れない。意外にも1本だけ孤立して咲く染井吉野の方が寿命は長いのかも知れない。茨城県つくば市にある森林総合研究所は、今年に入り、紀伊半島南部に群生している桜が野生種としての新種であると発表した。三重県熊野市、奈良県十津川村、和歌山県田辺市など、熊野川流域を中心に南北約90Km、東西約60Kmの範囲で自生しているのが確認された。新種が判明したのは1910年代の大島桜以来、100年ぶりだそうだ。。鮮やかなピンク色の花が咲き、熊野地方にちなんで「熊野桜」と名付けられた。和歌山県の古座川町の山では年に2回桜が咲くそうで、研究所が調べたところ、3月中旬から熊野桜が咲き、4月中旬から山桜が開花することが分かった。熊野桜は山桜や霞桜に似ているが、葉の形や花の根元にある花序柄が大きく異なっている。古座川町では霞桜は4月下旬に咲き、開花時期でも同じ地方で異なっていた。新種の熊野桜にとっての脅威は栽培品種である染井吉野だそうだ。熊野桜と交雑して、雑種が増える可能性が危惧されると言う。
白梅がようやく咲いて来た
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