オレンジな日々

広島在住のシンガーソングライター&ピアニスト
三輪真理(マリ)のブログです。
音楽大好きな日常を綴っています。

映画『この世界の片隅に』(ネタバレあり)

2016-12-06 | おすすめ映画

今日は話題の映画『この映画の片隅に』をやっと見ました。
『君の名は。』と並ぶ今年を代表するアニメ映画。
あまり下調べをせずに映画館に行ったんですが、いつもの八丁座がほとんど満席の状態。
それもちょっとご年配の方が多い。広島ならでは?と思いながら映画を見ました。


以下公式HPに紹介されたストーリー。

【転載開始】

18歳のすずさんに、突然縁談がもちあがる。

良いも悪いも決められないまま話は進み、1944(昭和19)年2月、すずさんは呉へとお嫁にやって来る。呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と謳われた「大和」も呉を母港としていた。
見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作の妻となったすずさんの日々が始まった。

夫の両親は優しく、義姉の径子は厳しく、その娘の晴美はおっとりしてかわいらしい。隣保班の知多さん、刈谷さん、堂本さんも個性的だ。配給物資がだんだん減っていく中でも、すずさんは工夫を凝らして食卓をにぎわせ、衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、毎日のくらしを積み重ねていく。

ある時、道に迷い遊郭に迷い込んだすずさんは、遊女のリンと出会う。
またある時は、重巡洋艦「青葉」の水兵となった小学校の同級生・水原哲が現れ、すずさんも夫の周作も複雑な想いを抱える。

1945(昭和20)年3月。呉は、空を埋め尽くすほどの数の艦載機による空襲にさらされ、すずさんが大切にしていたものが失われていく。それでも毎日は続く。
そして、昭和20年の夏がやってくる――。 

【転載終了】


少し感想を書いてみます。
以下ネタバレあります。


徹底した時代考証とリサーチで生み出された原作とアニメーション。
まるでそれはリアルなストーリーのように心に迫ってきます。
特に馴染みの広島の地名がたくさん出てくることと広島弁で語られることでまるで知っている誰かの話を聞いているようです。
ただ、それがアニメであること、のんの淡々とした柔らかい声、コトリンゴの音楽が添えられ、戦時中の苦しい毎日が少し和らいだ印象で、感情をそれほどえぐられずに見ることができました。


すずさんは特別ではなく当時の日本のどこにでもいた普通の女性で、 きっとそれは世界中のどこにでもいる女性。突然の縁談にお嫁に行った場所で淡々と生きていく暮らし。
「ぼーっとした性格」のすずさん。
唯一あったのは絵の才能。
貧乏でも絵を描いていれば幸せというつつましい性格。


「お前は普通やな。ずっと普通でおってくれな。」同級生の水原の言葉。
戦争という非常事態の中で普通でいることの貴重さ。でも最後にすずさんは唯一の才能であった絵を描ける大切な右手を、晴美さんの命とともに爆弾で失ってしまいます。そして終戦が来て。


「良かった、良かった、って何が良かったんやろう。」
「最後の一人まで戦うんやなかったんですか!?」
 

誰もが胸のうちに抱えた敗戦の苦しみ。 
でも明日が来て、明後日が来て、5年後が来て、10年後が来て、そして日本は戦後70年を過ごしました。


忙しい毎日、豊かになった暮らし、娯楽、食べるものの有り余る生活。
あの時代からすれば天国のような暮らし。
これを求めてみんなが走ってきたのに、ここへ来て何か見失ってきたことはなかっただろうか?
ちょっとだけ立ち止まって考えさせられる映画でした。


何にも特別なことのなかったすずさんの人生ですが、最後の最後に特別なシーンがでてきましたね。
すずさんと周作さん、元安橋の上で人さらいのカゴの中で出会ってたのね〜って(笑)。 
なんだかほっこりとさせられました。
 

「悲しくて悲しくてとてもやりきれない。」
そう思いながらもささやかな幸せをのどかに生きていくこと。
そうやって生き抜いていくことの大切さをつくづくと感じます。


クラウドファンディングで集められた制作資金で作られたこのアニメーション。
「100年先に伝えたいアニメ」だそうですが、本当にそんな映画だと思います。
できればもう1回見たいです。




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