東京顕微鏡歯科医院☆Advanced Care Dental Office ☆秘書・日本医療機器学会第2種滅菌技士aki

顕微鏡だけの歯科医院。☆Advanced Care Dental Office 日本医療機器学会 第2種滅菌技士認定

滅菌の総合的管理 バリデーション

2017-05-31 21:55:04 | 医学情報
こんにちは
東京マイクロスコープ顕微鏡歯科アシスタントakiです🌷

今日は滅菌の総合的管理についてです。

 滅菌バリデーションとは日常の作業に先立ち、滅菌行程の適格性をバリデーション(検証)する作業の事である。無菌性保証における無菌性保証水準の概念の導入によって、滅菌行程の開発にあたっては10⁻⁶以下のSALの達成が求められている。
しかしながら、この10⁻⁶以下のSALの達成確認を日常の滅菌行程管理で試みることは困難であることから、物理亭および微生物学的方法を用いた事前の滅菌バリデーションが重要となる。
この点については滅菌に関連する国際規格(ISO14937:2009)において以下のような表現で述べられている。
「滅菌工程とは特異的な工程であり、滅菌処理後の製品の検査や性能試験では工程の有効性(すなわち10⁻⁶以下のSALの達成)を確認できない」ということが述べられている。
 滅菌工程におけるバリデーションとは、滅菌にかかわ作業場の構造設備、手順、工程、その他の製造管理および品質管理の方法によって10⁻⁶以下のSALの達成を検証し、それを文書化することである。
これによって目的とする品質に適合する滅菌物を恒常的に製造できるようにすることを目的としている。

1.滅菌物
滅菌剤による影響、滅菌チャンバー内の圧力や温度変化に対する耐久性、および滅菌の許容回数などに対して滅菌物が適格性を有することを確認し、その証拠に基づいて、それらが文書化されていなければならない。

2.滅菌バリデーション
滅菌バリデーションは据付時適格性確認(installation qualification;IQ)、運転時適格性確認(operational qualification;OQ)稼働性能適格性確認(performance qualification;PQ)からなり、PQは物理的PQおよび微生物学的PQからなる。
IQ/OQ/PQの実施は医療機関内の使用部門の責任者(以下、責任者)が担当者に命じて実施させる。
IQ/OQ/PQの実施項目の一部については滅菌器製造業者などに業務を委託することが可能であるが、その報告書を確認してIQ/OQ/PQが成功裏に終了したことを医療機関の責任者が確認する。

1)据付時適格性確認(installation qualification;IQ)
滅菌器があらかじめ規定した仕様に従って設置されたかを確認し、文書化する。
滅菌器の運転に必要な関連設備もIQの対象に含まれる。関連設備には水、蒸気、電気、圧縮空気、排水設備などか含まれる。滅菌器が据え付けられた場所でその機能を正しく発揮するには、設置に供給される水、蒸気などが要求される範囲内にあることが必要である。滅菌器および関連設備が要求される仕様どおりに設置、供給されているという証拠を得て、その結果を文書化する。

2)運転時適格性確認(operational qualification;OQ)
OQとは、IQが完了した滅菌器を操作手順どおりに使用した際、あらかじめ規定した範囲で滅菌器が作動するという証拠を得ること、および、その結果を文書化することである。一般的には滅菌器自動運転の動作確認、自動弁の動作確認、真空到達速度確認、リークテストなどを行う。
また、滅菌器を無負荷の状態にし、温度・圧力測定用センサを滅菌器内の複数箇所に設置し、温度分布と圧力を測定して結果を解析することにより、所定の威圧度までたっしているか、滅菌中の蒸気圧は適切か、その時の温度分布は規定値内に入っているかといった評価に加え、最低温度部位(コールドスポット;最も滅菌されにくい場所)の位置の特定とその許容水準を規定する。また、温度分布測定から特定した最低温度箇所における生物学的インジケータ(biological indicator;BI)の陰性判定、化学的インジケータ(chemical indicator;CI)の合格判定を確認する。

3)稼働性能適格性確認(performance qualification;PQ)
 PQとは滅菌物が滅菌工程に曝露されたときに10⁻⁶以下のSALが達成される条件を求め、日常の滅菌運転監視におけるパラメータを明確化することである。
PQはIQ、OQが成功裏に終了したことを受けて実施し、PQの段階では滅菌器に滅菌物を積載し試験を行う。
 PQは物理的PQと微生物学的PQから構成される。
(1)物理的PQ
 温度センサーなどを用いて滅菌器内の滅菌物の温度測定を行い、規定した滅菌条件の範囲内で稼働しているかを確認し、滅菌物の温度上昇の遅れを把握する。
(2)微生物学的PQ
 上記の物理的PQより得られた最低温度部位に、滅菌剤(蒸気、EOG、過酸化水素プラズマ)浸透性、および他の重要パラメータ(温度や湿度)浸透性を考慮した工程試験用具(prosess challenge device;PCD)などを用いて、これにBIを挿入し10⁻⁶以下のSALを確保できるように滅菌条件を設定する。

3.滅菌条件の設定方法
 滅菌条件設定には以下のいずれかの方法を用いる。
①オーバーキル法
②バイオバーデン法
  a. BI/バイオバーデン併用法
  b. 絶対バイオバーデン法
③ハーフサイクル法
 オーバーキル法は実際に使用する滅菌器でのD値を求め、D値の12倍(12D)の時間を滅菌時間と設定する方法である。オーバーキル法を採用するのであれば、主に高圧蒸気滅菌で採用される。
指標菌芽胞を一定量保有し、D値が概知であるBIを使用する。実施の際には菌数を控えておく。
複数(例えば10本)のBI PCDを最低温度部位に設置し、部分的な(不十分な)滅菌処理を行い、BIを培養する。確率論に基づきその培養試験の陰性率からBI 1本当たりの生残菌量を求めることにより、使用する滅菌器でのBIのD値を求める。
複数のBIのうち一部が陰性、一部が陽性を示さなければならない。すべてのBIが陰性あるいは陽性を示した場合は、滅菌処理条件を変更して再度実施しなければならない。滅菌前の菌数が10の6乗以下であれば、12Dの時間の処理によって12対数値(12Log)の減少が達成されていることになり、
10⁻⁶以下のSALが確保される。
バイオバーデン法は滅菌前の滅菌物に生存する微生物の菌数と菌種を特定し、その結果に基づいて滅菌物の滅菌条件を設定する方法である。
BI/バイオバーデン併用法と絶対バイオバーデン法に2通りの方法がある。
BI/バイオバーデン併用法は指標菌が滅菌物に付着している菌量の最大値と同数存在していると仮定して、滅菌条件を設定する方法である。オーバーキル法では菌数10⁶以上のBIを使用するが、BI/バイオバーデン併用法を用いると菌数の少ないBI(例えばバイオバーデンの特定の結果によっては菌数10³のBI)の使用が可能となり、滅菌時間の短縮が図れる。例えば菌数10³のBIを用いたオーバーキル法では9D〔9=3−(−6)〕の滅菌時間で10⁻⁶以下のSALが達成できる。
絶対バイオバーデン法は滅菌物から検出される菌数をバイオバーデンの最大数とし、検出された最大の抵抗性を示す細菌のD値を用いて滅菌条件を設定する方法である。BIの指標菌の菌数およびD値に比べて、滅菌物から検出されるバイオバーデンの微生物の菌数およびD値が低いことから滅菌時間の短縮が図れる。
ハーフサイクル法は特にEOG滅菌で採用される方法であり、オーバーキル法の一種である。これは既知のD値を有し、滅菌10⁶以上のBIを最低温度部位に設定し、BIが全致死する時間を確認し、その2倍の時間を滅菌時間とする方法である。このハーフサイクル法は実施と結果の解釈が比較的容易である。
医療機関ではハーフサイクル法または、オーバーキル法を用いるのが適切である。一方バイオバーデンの季節的な変動、滅菌物の構造や使用用途に基づくバイオバーデンの変動などを考慮すると、医療機関におけるバイオバーデン法の採用は困難かつ適していない。

4.日常のモニタリングと管理
規定した滅菌条件が達成されたことを機械的制御の監視記録、CIおよびBIを用いた日常の監視を行い、無菌性を保証する。日常管理の方法としては、①滅菌器付属の計測機器に表示・記録される温度、圧力および時間によって確認して記録する。②ISO11138-1に適合したBI(国際規格が制定されている場合)および/またはISO11140-1に規定されるクラス4,5または6(規定がある場合)のCIをPCDの形態で使用し、滅菌工程をモニタリングする。

5.工程の有効性維持
初期に実施した滅菌バリデーションを定期的(例えば年1回)実施し、図1のごとく、滅菌工程の有効性ご維持されていることを確認する。その際、各種付属計器の較正も伏せて行う。
図1に示す通り、滅菌バリデーションとはえらかじめ文書により期待される成果を規定し、それをIQ/OQ/PQを通じて検証し、規定した性能を維持・管理していく一連の作業である。



参考文献 改訂第4版医療現場の滅菌
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