東京顕微鏡歯科医院☆Advanced Care Dental Office ☆秘書・日本医療機器学会第2種滅菌技士aki

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高圧蒸気滅菌(2)

2017-07-30 13:41:51 | 医学情報
こんにちは
東京マイクロスコープ顕微鏡歯科アシスタントakiです🌷

今日も引き続き、高圧蒸気滅菌についてです。

滅菌の基本工程(器械・材料用滅菌処理工程が求める性能)

蒸気滅菌器は、研究の結果、多種多様な滅菌処理工程が開発・実用化されている。器械・材料を対象とした滅菌処理工程の目指す目標は、蒸気導入時の速やかな温度上昇と熱浸透、滅菌温度の均一安定、乾燥など、短時間の処理であろう。煮沸による消毒効果の発見以来、蒸気処理、より短時間で確実な滅菌を求めて高温が得られる圧力容器の採用、滅菌物保管のための乾燥など、蒸気滅菌器は進歩してきた。しかし、蒸気滅菌器の、その基本とするところは同一である。
ではここで、蒸気滅菌処理で行われる各工程に求められる性能と実際の工程がどのように制御されているか、以下に例示する。

1)プリコンディショニング
被滅菌物をあらかじめ加熱し目標とする滅菌温度に近づけるように温度上昇させる操作である。
冷たいものに触れた蒸気は、熱を拡散し凝縮して水に戻る。凝縮水の発生を防止できる温度まで予熱しておくことで熱浸透時間を短縮し、被滅菌物の凝縮水での濡れを回避でき、蒸気消費量の削減や滅菌時間・乾燥時間の短縮が図れ、効果的手法である。

2)空気除去/予熱4)8)〜10)
滅菌蒸気導入時には、空気が存在しない状態が理想であり、目標である。缶内残存空気の蒸気への置換量が缶内到達温度に及ぼす影響を図2に示している。缶内圧力0.212MPa(ゲージ圧力)の飽和蒸気温度は135℃であり、図2にみられるように完全排気では缶内の到達温度は135℃まで上昇するが、缶内に空気が50%残存した場合には129℃までしか上昇しないことがわかる。このように、空気はチャンバー内や被滅菌物内部に残存し、熱伝達が悪く、蒸気導入の際に凝縮や蒸気浸透の妨げになり、蒸気滅菌を行ううえで何かと邪魔な存在となる。
最近では、真空ポンプの高性能化や、空気除去の処理方法(プレバキューム方式など)に工夫をこらした工程が実用化されて、現在主流の一般的手法となっている。
しかし、水封式真空ポンプは供給水量と水温など条件が整ったとしても、1回の真空処理では数%の空気は除去されずに残存してしまう。そのため、いかに空気を除去し滅菌前に被滅菌物を予熱するかなど、安定した温度状態をつくるとともに、短時間での昇温を得る努力が現在も行なわれている。
なお、各種の空気排除法の特徴を知ることも必要であり、研究開発されてきた空気排除法を数例記載する。



(1)重力置換サイクル(図3)
被滅菌物を装填したチャンバーに蒸気を導入し、蒸気と空気の重さの違いによりチャンバーに残存する空気を排除する方法をいう。
(2)強制空気除去サイクル
付属する真空ポンプを用いて真空と蒸気導入を組み合わせて、より効率的に空気排除を行う目的で各種プレバキューム方式がある。
器械・材料を対象とした蒸気滅菌器の前真空処理として、現在多用されている方式である。
また、真空ポンプを用いてチャンバーの空気を除去し、蒸気の導入を促す例として図4-1〜4に示す方式がある。



3)滅菌
昇温昇圧が速やかに行われ、滅菌設定点到達後には温度変化(圧力変化)のない、安定した制御が望ましい。滅菌処理中に発生する温度の上下動は、目的とする滅菌の範囲、常に安定した滅菌の確保から逸脱するので好ましくない。

4)排蒸気
蒸気の排出速度が速すぎると、包装材としての滅菌バッグの破裂や破損、滅菌物にダメージを与えるといった支障もあり、適度な速度が必要となる。

5)乾燥
滅菌は完了したが、処理物品に湿りや濡れがあった場合、保管時に再汚染する可能性があるため、供給不可となってしまう。乾燥状態がよいということは、保管や搬送などで細菌の再汚染を防止でき、金属製品の防錆などの面からも大切である。そのため、乾燥への要求は強いものがあるが、蒸気を用いた滅菌処理であるがゆえに湿りや結露による多少の濡れは免れない。
短時間で乾燥効果を得ることは、短時間で滅菌効果を得ることとともに重要である。
なお、よい乾燥を得るための注意点としては
①メーカー推奨の被滅菌物積載収量をこえない
②1梱包に多量に収納せず、ゆとりをもった包装を行う
③処理前に被滅菌物をよき乾燥させておく
④供給される蒸気の乾き度に留意する
など滅菌を効率的に行う作業に共通する事項が多い。

参考文献 改訂第4版医療現場の滅菌

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