~Agiato で Agitato に~

再開後約20年になるピアノを通して、地域やほかの世代とつながっていきたいと考えています。

想像力とゴム風船

2005年12月06日 13時38分34秒 | 家族・友人等
最近、下の子にせがまれてゴム風船をふくらませることが多い。
私は昔からこれが苦手で、うんうんいいながらも全然ふくらまない。
「もうだめだ、こちらの肺がもたない!」と思った瞬間、風船は一瞬にしてフワッとふくらむ。

そうなんだよな・・と思う。
子供が言葉をしゃべりはじめる時、歩きだす時、それは突然にやってくる(かのように周囲にはみえる)。
だけど、本人のなかではそれまでに大変な準備が行われていたに違いないのだ。

話は少しそれてしまうけれど、
想像力がふくらんでいく過程もこれに似ているように思う。
思春期以降、想像力は本人の自覚がどれほどのものかはわからないけれど、あっという間に膨張していく。
これを入れておく風船の品質が悪いと、破裂したり、穴があいてしぼんでしまいそうだし、
また口をしっかり止めておかないと、あらぬ方向に飛んでいってしまうこともありそうだ。
どうしたら、膨張を速やかに受け止め、かついくらでも膨らむことのできるゴム風船(これは子供本人でもあり、周囲のものでもあるだろう)になれるのか、
なかなか難しくわからないことではあるのだが。

今日たまたま目にした記事の中で、作家の小川洋子さんが「体験してしまうと想像力が働かない」と言っておられた。
これはどういう話の流れかというと、あるおいしい洋菓子屋を舞台に小説を書いた際、自分では食べずに小説の場面は客が味わう姿を観察してかかれた・・ということらしい。

若い頃は、私もさまざまな点で実体験を焦っていたし、またそれによって得られたものも決して少なくはないのだけど、
やはり想像している時間は、すべてのクリエイティブなことの(たまには逆方向の犯罪の)源であるし、想像しているあいだは完全に自由だ。
無限大の風船の中に、ありとあらゆるものを(あんなこともこんなことも)詰め込んでみればいいと思う。
これは人間の特権だと思う。

だいたいピアニストだって、もし頭の中が吹きだしのように見られたならば、
お客さん、ひいちゃうかもしれないじゃないか(笑)。


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2 コメント

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Unknown (おきあがりこぼし)
2005-12-07 12:32:40
ゴム風船、懐かしすぎです~!

結構、口とか耳とか痛くなったりしますよね。

あの独特な匂いが好きでした。

そっか、K姫はそういう遊びをしてるんですねー。

風船見て、喜ぶ姿が目に浮かびます。



未体験だからこその想像力!なんか励まされます。

私はこの年になっても、全然体験してないことが

多すぎて落ち込むことも。

でも、だからこそ、想像できる楽しさも

あるんですね!



昨日、葉加瀬さんのコンサート行ってきました。

初体験です。

気分が途中で悪くなったので、アンコール2回目で

さっさと帰ってきちゃいましたが、すごく

楽しかったです。

バイオリンとチェロとピアノで楽しませてくれました。

バイオリン弾きながら踊ったり、

色んな風に遊んだりして、もう見てる

だけで楽しい。



こないだはピアノサークルで、コントラバスを

ジャズベースにしてるの初めてきいたし、

今朝は、押尾コータローがアコースティックギターで

これまた色んなことして(これは才能でしょうが

1つの楽器で輪唱したり、パーカッションしたり)

楽器ってもっともっと

私が思ってる以上に遊べるものなんだ!って

きっと、ここにいらっしゃるみなさんはご存知

なんでしょうけど、私いまさらながら

、気がつきました。



私もピアノでもっともっと遊ぼう~。



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すごいですよね (仮装ぴあにすと)
2005-12-07 13:00:30
私もけさ押尾コータローさん、ちらっと紹介のところだけ見ました。

「ほ、ほんとにアコースティックギターなの?」と目をこらして見ちゃいました。



葉加瀬さん、いかれたのですね。

彼のコンサートはテレビでしか見たことないけど、ほんとにいきいきとして楽しそうです。

ここのとこ、上原ひろみさんのジャズピアノをテレビでみる機会も多いのですが、

体の中からリズムがほとばしり、まわりの空気中(?)からインスピレーションを授かって、音楽と奏者と聴衆が渾然一体となっている様子には釘付けになります。



クラシック以外の音楽を聴くと特に、

楽器って、かまえて弾くもんでもないし、ちょっとしたミスで命が縮むようなものでもない(爆)、ということを感じますよね。



もっともそう聴衆に思わせるまでには、すさまじい精進があることは想像に難くないのですけどね。
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