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高裁金沢支部、関電大飯原発差し止めを取り消す

2018-07-05 10:34:59 | Weblog

2018・7.5(木)
関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを住民らが求めた訴訟の控訴審判決が4日、名古屋高裁金沢支部であった。なお、3、4号機は2017年5月、規制委が新規制基準に適合していると認め、3号機は今年3月、4号機は5月からそれぞれ再稼働している。
報道によると判決骨子は次のとおり。
〇 一審判決中、関西電力の敗訴部分を取り消し、住民側の請求を棄却する。
〇 大飯原発3、4号機に住民側の人格権を侵害する具体的危険性はない。
〇 新規制基準や、大飯3、4号機が新基準に適合するとした原子力規制委員会の判断に
不合理な点は認められない。
 〇 関電が策定した基準地震動が過少だとは言えない。
 〇 2基の危険性は社会通念上無視し得る程度にまで管理・統制されている。

 2014年5月の福井地裁判決は「生命を守り生活を維持するという根幹部分に対する具
体的な侵害の恐れがあるときは、差し止めを請求できる。多数の人格権を同時に侵害する性質があるとき差し止めの要請が強く働くのは当然である」として、関電の地震対策には構造的な欠陥があるとして住民側の主張を認めていた。
 これに対して高裁金沢支部の内藤正之裁判長は「福島原発事故の深刻な被害に照らし、原発を廃止・禁止することは大いに可能であろうが、その当否の判断はもはや司法の役割を超え、国民世論として幅広く議論され、立法府や行政府による政治的な判断に委ねられるべきだ」と述べた。
 控訴審では、耐震設計の目安となる揺れの強さの妥当性、すなわち原発がどれほどの揺れに耐えられるかが最大の争点とされていた。
 元規制委員長代理で地震学専門の東大名誉教授の島崎邦彦氏は、証人喚問で、関電が採用した地震の揺れを算出する計算方法を巡り、事前に断層の形状などが分からないため、大飯原発の地震想定に使うのは誤っているとして「規制委の審査は不十分」と断言した、と報じられている。それにもかかわらず高裁は「高度な専門的知識と高い独立性を持った原子力規制委員会」が関電側のまとめたデータに基づいて下した判決をそのまま受け入れた。規制委と関電の主張を丸呑みしたに過ぎない判決である。
 そもそも原発は、人間の力ではもはや制御できないことを直接の被害者はもとより、多くの国民が体感し、原発否定の流れは世界的な潮流と言っても差し支えないところに来ている。
 今回の判決は三権分流の基本を放棄し、政治、行政に『忖度』した結果という何ともわびしい司法の結末である。
 なお、奇しくもこの日(4日)、間もなく40年の運転期限を迎える日本原子力発電の東海第二原発(茨城県東海村)について、原子力規制委は新規制基準に「適合」することを示す審査書案を了承した。東日本大震災で被災した原発の新基準適合は初めてである。再稼働にはまだまだ超える壁は高く、即稼働とはいかないが、ここでも『忖度』が働いているのではないかと疑いたくなる。

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