名古屋から発するブログつぶて・凡人のひとりごと

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安全保障と防衛力に関する懇談会の報告書

2009-08-06 17:41:03 | Weblog
2009.8.6
 今日は64回目の広島原爆の日である。例年のごとく『平和祈念式』が営まれ、秋葉忠利広島市長はオバマ米大統領が掲げた『核兵器のない世界』を支持して、核廃絶実現のため市民が力を会わせるよう訴えた。
 麻生首相は『非核三原則を堅持し、核廃絶に向け国際社会の先頭に立つ』と挨拶したそうだが、自民党の一部議員やタカ派論客が非核三原則のうち、『持ち込ませず』は廃止し、核搭載の米軍艦の寄航を認め、核抑止力を強めるべきだと主張しているのを聞くと、何か空々しさを感じざるを得ない。
 ちょうどこの時期、政府の『安全保障と防衛力に関する懇談会』(安保懇)が、一昨日の4日に提出した報告書は、憲法に基づく防衛政策の基本方針の大転換を求めるものとなった。この安保懇は、麻生首相の私的諮問機関として設置されているもので、内閣総理大臣が開催するものとされている。
 現在の委員の顔ぶれを見てみると、座長に東京電力会長の勝俣恒久氏、そのほかは東大教授が二人、京大、慶応、早稲田の教授が各一人の計6人となっている。この教授らはいずれも改憲論者という。
 その他に専門委員というのが指名されていて、前駐米大使で、現プロ野球コミッショナーの加藤良三氏、元防衛事務次官で、現財団法人世界平和研究所副会長の佐藤謙氏、元防衛庁統幕会議議長で、現日航インターナショナル常勤顧問の竹河内捷次氏が就任している。
 これはもう誰が見ても政府の御用機関である。
 これまで日本の防衛政策は憲法で定める戦争放棄を基本として、自衛隊の役割も専守防衛に限り、他国防衛のための武力行使を封じるため『集団的自衛権』の行使も否定してきた。
 今回の報告では、その専守防衛の見直しを提言、集団的自衛権の行使にも踏み込み、自衛隊活用の積極論を展開しているという。さらに、外国への武器輸出を禁じた三原則緩和や、敵基地攻撃能力の検討なども盛り込んだ。
 恐ろしい動きである。麻生首相がこういう動きを指示しながら、原爆慰霊祭では『非核三原則』の堅持といっても空々しいどころか、詐欺行為に等しい。
 もっとも、この提言も政権が交代すれば陽の目を見ることはないであろう。しかし、民主党も防衛問題となるとあいまいであり、安保政策の転換が政治の裏でじわじわと進行していくかと思うと暗澹たる気持ちになる。