名古屋から発するブログつぶて・凡人のひとりごと

身の回り、世間のできごとをを日記風に記す(紙つぶてならぬブログつぶて)。

薬害エイズ禍 元厚生省課長の有罪確定

2008-03-05 21:50:21 | Weblog
2008.3.5
薬害エイズ事件で、エイズウイルス(HIV)に汚染された輸入非加熱血液製剤の回収などを怠り、患者を死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた元厚生省生物製剤課長松村明仁被告(66)の上告審で、最高裁第二小法廷は、被告の上告を棄却した。禁固一年、執行猶予二年とした一,二審判決が確定することとなった。とるべき措置を取らなかったという行政判断の『不作為』を理由に官僚個人の刑事責任が確定するのは初めてのことである。
 松村被告の容疑は、★大阪府内の病院で1986年4月に旧ミドリ十字の非加熱製剤を投与された肝臓病患者(ミドリ十字ルート)★帝京大病院で85年5~6月に非加熱製剤を投与された血友病患者(帝京大ルート)―の二患者の死亡について、HIVに汚染された輸入非加熱製剤の販売中止や回収措置を取らなかった過失責任があるとして起訴された。
 『国は製剤を承認する立場にあり、回収を製薬会社任せにせず、危害発生を防止する義務が刑法上も生じた』 と指摘した。
 松村被告は『組織の一員として行動したに過ぎない』などと主張していたが、決定は『被告は血液製剤のエイズ対策の中心的立場にあり、他部局と協議して対応を図る義務があった。責任は免れない』とした。
 薬害事件では、サリドマイドやスモン、C型肝炎などで多数の被害者がでた。こうした行政上の責任は旧厚生省に限ったことではない。
 旧郵政省所管の『かんぽの宿』などのリゾート開発などは、各地で数千億円に上る巨費を投じて建設したが、あちこちで経営が破綻した。
 また旧厚生省の厚生年金会館や旧労働省の勤労者福祉センターなども各地で経営が破綻し、タダ同然で地方自治体や民間に売り渡している。結果として巨額の税金が浪費された。これらの責任について問われたことを聞いたことがない。
 今回の薬害エイズ事件では、多くの人命に係わる出来事であったこともあって個人の責任まで追及されたが、間違った施策で巨費を無駄にしたということについては誰も責任を追及されない。不作為の責任もさることながら、結果責任についても今後はもっと追及されてしかるべきである。