名古屋から発するブログつぶて・凡人のひとりごと

身の回り、世間のできごとをを日記風に記す(紙つぶてならぬブログつぶて)。

ハンドボールの五輪予選やり直し

2008-01-29 09:48:15 | Weblog
2008.1.29
 ハンドボールというスポーツ競技があることは知っていた。しかし、そのルールは何も知らない。また、ハンドボールが五輪の競技種目で、去年北京五輪のアジア予選があって、男子はクウェートが、女子はカザフスタンが一位となってアジアからの出場はこの二ヵ国となっていたことも知らなかった。
 ところが「中東の笛」と呼ばれるアラブ諸国有利の疑惑の判定が問題となり、アジア予選そのものをやり直すという事態になってにわかに騒々しくなり、ハンドボールに無縁の人々にまで関心を呼ぶようになったのである。筆者もまさにその一人だ。
 さて、そこでスポーツ競技の中で、不正はもとより不公平な判定があってはならないことはいうまでもない。それを問題として、日韓のハンドボール協会が国際ハンドボール連盟(IHF)に再予選の開催を要望したところ、IHFがそれを認めて極めて異例な予選のやり直しが実現してしまったのだ。これにはアジア・ハンドボール連盟(AHF)が猛然と反発した。
 その後の経過を見ていると、ここのところが事態をこじれにこじれさせ、AHFと日韓との関係を敵対的にまで悪化させてしまった要因があるように思える。日韓はIHFに提訴する前にもっとAHFの中で議論すべきであった。
 いま日韓は、再試合ができるようになって改めて北京五輪への出場の夢が広がったと燃えているが、AHFはやり直しが予定通り実施された場合、日本と韓国に処分を科すことを決めた。その内容は、日韓両国は資格停止となり、2月のアジア選手権(イラン)などへの出場を禁止される可能性が大きいと伝えられている。また、国際オリンピック委員会(IOC)の委員でもあるAHFのアマハド会長は、再予選が開催されれば東京都の2016年夏季五輪招致にも悪影響が出ると警告したそうである。一方、IHFのムスタファ会長はやり直し予選の勝者が五輪に出場資格があると明言し「資格停止などの処分をAHFが科しても無効とみなす」と述べて「中東の笛」と呼ばれる疑惑判定に端を発した問題は、ますます混迷の渦の中に深く入り込んでいく。
 その再試合のうち、日韓の女子対決戦がいよいよ今日(29日)東京・国立代々木競技場で開幕する。男子は明日(30日)行われる。
 そこでブログつぶての筆者としては、はたしてこれでよいのであろうかと疑問を呈する。いま、日韓の選手たちはもとより、競技連盟、マスコミ等々、この再試合に燃え立っている。オリンピックに出たいという気持ちは痛いほど分かる。この混乱の原因もAHF側にあることは認める。しかし、スポーツという場においてこのような決着で本当によいのか。AHFのアハマド会長は、「日本はこれまで友好国と思っていたが、もう信頼できない、敵国である」というようなことまで言っているそうである。しかも韓国よりもどちらかといえば日本を敵視しているともいわれている。アハマド会長が何を言おうが良しとして、これがアラブ諸国民に広がっていくことを考えると何か恐ろしい気がする。スポーツは一方で人々の気持ちを敵対的にする。
 どう考えても再試合が決まった時、その出場国が日韓の二カ国だけでなく、最初のアジア予選に参加した国の少なくとも多数の国の参加があるべきであった。そこまで話し合われるべきであった。それが駄目なら、たとえ問題があったとしても、それをAHFの現状として認め、次を待つべきではなかったか。正義は貫くべきであるという青臭い議論で突き進んできたような気がする。これがもとで、国と国との信頼関係に影を落とすことのないことを祈るばかりだ。

追伸
 その後、29日、30日の試合で、日本チームは男女とも韓国チームに敗れてしまった。北京オリンピックへの出場は夢と消えた。AHFと日本との敵対的関係だけはしっかり残ってしまった。