かなりマニアックと言って良い赤岳沢(左ルンゼ)のアイスクライミング・・・・と言うか、とにかく自分たちでルートを探し、支点を作り、ひたすら頂上を目指す正統派アルパインクライミングに行ってまいりました。 最後に結構お節介なルート解説がありますので、あらかじめお断りしておきます。 (書きすぎ!のお叱りもうけるでな)
4/7(土) 入山日は、赤岳鉱泉のアイスキャンディでトレーニング 前回善五郎の滝で先端を折ってしまったアックスを研いだので、効き具合を入念にチェックします。 リードで外れてしまえば、おしまいですからな。 もの凄く発達してます現在のキャンディ ハングもいっぱいあります どーぞチャレンジしてください。
前日か当日朝、結構積もったようですね 左大同心、右小同心、縦に走る割れ目を登るのが小同心クラックですが、悪そうですね。 別働隊が明日登攀予定
大同心をバックにハング越えにチャレンジJちゃん
またかと言う無かれ、心なしか肉の質が、よりジューシーに厚くなったような鉱泉のステーキディナー なぜか今日はワインのサービスもありました (⌒¬⌒*)んまかった
4/8(日) 遅めの6時出発 頭だけ顔出した阿弥陀岳 素晴らしい天気だあああ!
行者小屋から眺める赤岳 3つあるピーク、左からショルダー、北峰、南峰、
このショルダーと北峰の間のルンゼが赤岳沢 こいつを詰めて稜線に出ようと言うわけ 左に見える小屋は天望荘
まずは文三郎登山道を軽快に登ります(そうでもないか、通常の登攀用具にアイス用具が加わり・・・重い(^(エ)^ ;)) 阿弥陀岳も間近に 今日あたり風も弱く、北稜、北西稜、どこへ行っても楽しいだろうなあ が、ワシらはもっと楽しいはず 何てったって、アイス付きのアルパインクライミング 一回で二度おいしいっつうわけ。
コースは、赤岳主稜を1ピッチ登って岩稜を越えたところのルンゼを下降気味にトラバースして取り付くことにしました。 雪が多くて下からだとラッセルが大変と読んだわけ
はい、スタート地点へ着きました! さあ、この氷をどう見るか?
「なかなか悪そうじゃん」と仰る貴兄 m9っ`・ω・´) かなり登っておられますな
そのとおり、この垂直部分5m程度と短いモノの、氷柱(つらら)の集合体でしかも所々裏は空洞です。
遠くから眺めた時は、良さそうな氷でしたが、近くで見ると大違い
つまり、スクリューを打てるところが少ない、尚かつ強く蹴り込むと氷自体崩落しちゃいます。
じゃあ、右側はどうかと言うと、これが写真ではわからないけど1cm下は岩です もちろんスクリューはダメだし、アックスもほんのちょっと引っかけるだけ。 が、ついつい力が入り、またもや研ぎたてのアックス先端折っちゃいました (つ(エ)`) 僭越ながらリードやらせて貰いましたが、この右の岩稜を右足、つららを左足で、途中まで登り、そこから左へトラバース後直上・・・と行きました
トラバースが ((゜゜((Д))゜゜))ガクガク 怖かった~ 核心近くで苦しんでいるところ、後続の主稜パーティAご夫妻他より多大なるご声援を賜りましてなんとか無事越えることが出来ました。 (主稜へのトラバース点から丸見えです) しかしその先も結構な傾斜のナメ滝が続きます やっと適当なビレー点が見つかりビレー解除! この120cmシュリンゲにピッタリの岩まで約40mでした
ビレー点から主稜側を眺めると・・・・
ナメと言ってもこれくらいの傾斜ですからね 後方の人だかりはOPANDAの登りを一目見ようと言うギャラリーです・・・・・・・・というのは勿論冗談で、これから主稜に取り付こうかと言う方々 ご声援本当にありがとうございました<(_ _)> これだけギャラリーがいれば墜ちられないですねぇ しかも知り合いの方々が多かったし
核心を越えたI講師 どうです、素晴らしい眺めでしょう?
2P目はI講師 左に見える状態が良ければ登ろうと思っていたF2 とても登れる状態ではないので右のルンゼを詰めます
雪面のように見えますが、ちょっと下は氷なので気が抜けない ちなみに本日赤岳全体的には状態が悪く、岩の上に薄い氷が張ったいわゆるベルグラで、ほとんどのパーティは主稜断念したそうです それどころか、あの易しい南峰リッジでさえ、悪くて敗退したとか
F2アップで見てください これじゃあ、登れないですよ
3P目 ナメが続く、つづく ふくらはぎパンパン ビレー点、支点は、100%残置ゼロなクリーンクライミングです
岩にシュリンゲ、スクリュー2本、リンクカム、アックス打ち込み、アックス埋め込み、ボディビレー、あらゆる確保方法の良い練習になります これぞアルパイン! そう言えば、木が一本も無かったなあ
岩も結構難しいところがあります。 おまけにルートファインディングが難しい 来る人も滅多にいないだろうから当然
こっちか? しかしデブリ(雪崩跡)が・・・今日は晴天のわりに気温が低く助かりました これで気温が上がれば絶対無理なルートです。 それでも、時々雪の固まりが落ちてきましたが。
こちらは雪崩の心配はなさそうだが、岩が難しそう
結局こちらのルートを取りました 右俣になります
ここは5P? 7P? とにかく一番狭いルンゼです 雪の下は硬い氷
上のビレー点で間違ってシャッター押した一枚 おもしろいのでそのまま載せます
ルンゼ中央でビレーしてると万が一の時、2人もろとも流されるので隣の岩にシュリンゲ巻き付け確保しています
(しかし今日はその心配がほとんどないような最高な条件ですが)
上の確保点の次のピッチ どうです狭いルンゼでしょう? 上から崩れてきた雪が一気に集まるところですね
しかし、嬉しいことに、上で確保しているI講師の右の青空に時々登山者の姿が・・・稜線だ!
「つるべ:かわりばんこにリード」で来たわけですが、最後稜線へ飛び出す幸運はOPANDAの元に 結局7P、9P?
とにかく稜線に出てからびっくり そのわけは・・・・・ (下の写真、稜線の一般登山道からビレーしてます、遙か下方に行者小屋)
赤岳頂上山荘の直下だったから つまりほぼ頂上直下に突き抜ける好ルートだったと言うことです
I講師のルートファインディング力に脱帽です 私なら右へトラバースせずに、左の岩稜に行く手を阻まれたかも知れません
快晴の稜線は素晴らしい 困難なアルパインルートを登攀して飛び出した稜線はもっと素晴らしい \(^(エ)^)/
富士山も祝福
せっかくだから山頂経由文三郎道を降ります バックは北アルプス 乗鞍、御岳もよく見えます
こちらは、北アルプス北部、鹿島槍、白馬方面と赤丸浅間山 頂上山荘
恥ずかしながら・・・・
手にしたピッケルは超軽量コルサ もちろんこれで登攀したわけではありません ほんの下山用です
さて、本日のコースを眺められる文三郎から下山 阿弥陀岳を正面に
主稜取り付きより下まで下ると、F1が見え始めます 赤丸が主稜1ピッチ目の取り付き
青線のように登り、見えている岩稜の裏へ降ります 青枠内がF1
デジタルズーム 下がバーチカル(垂直)部、上がナメです ここから見ると、これでナメ?
更に下から見ると、F1が良く見える
更に下へ降りた場所からの全体図
右手の緑丸が文三郎道と赤岳主稜トラバースへの分岐点 緑丸下の黒点は一般道の登山者 先ずここから青線のようにトラバースし、主稜基取り付きの青丸へ(50mロープでは足りません) ここをちょっと登り、見えてる岩の裏側へ降ります すると左に降りていくルンゼがあるのでそれをF1基部まで行くというわけ(ロープ出すなら50mで十分) F1はバーチカル後ナメを登って上の120cmシュリンゲ巻く岩写真まで40m F2登れる状態ならやや左に登るが、今回は右から回り込み、左側が岩の小滝を越えたところでビレー(アックス氷に打ち込むかスクリュー)50m、その後は基本的にルンゼを詰める(雪の下が氷)。 一カ所右か左か悩むところがあるが、状態が状態ならイヤな雪原をなるべく上部の岩稜に沿って右にトラバースすると、奥に上写真の狭いルンゼが見えてきます(OPANDAが間違ってシャッター押したルンゼ)。 つまり下からは見えない。 左に行くとショルダー右ルートにぶつかるのかも知れないが抜けられるかどうかは不明です。 この部分は下の赤線上部、「J字」の部分だと思うけど、結構適当ですからあまりあてにしないで下さい。
総合力が試される素晴らしい一級アルパインルートと思います。 へっぽこクライマーOPANDAなりにどのような人向きなルートかと考えると、アイスなら南沢大滝くらいを登れて、アルパインなら中山尾根や石尊稜OKで、それと支点は皆無なので、自分ですべて確実な支点を作れること、そして何よりルートファインディング力、とにかくクライミング技術をオールラウンドに身につけて、是非頂上へ突き抜ける感激を味わってください。 して、くれぐれも行かれる方は自己責任で! このルートは、氷と雪の状態でグレードが大きく変化すると思います、蛇足ながらご注意を。
では、御幸運を (^(エ)^)ノ
Yeti山行ブログ(http://yeti-houkoku2009-12.blog.so-net.ne.jp/ )より拝借、ありがとうございました<(_ _)>
F1:右の小テラス迄上がって一安心 これから左にトラバース&直上が核心
I関講師より写真を頂いたのでアップします。 ありがとうございました<(_ _)>
F1バーチカル部を抜けてやっと手を振る余裕
3P目か5P目です 上はこういう小フォールが続きます
さらに、さらに・・・・当日我々のすぐ後から赤岳主稜にのぞんだTsuji Hiroakiさんがフェイスブックに写真をアップしてくれたので、それを拝借致します。 <(_ _)>ありがとうございました。
F1右下にある黒い点2つです。 肉眼ではこの大きさです
凄いアップですねぇ
つららなので、通常よりも多めにスクリューを打ちます
下は雪なので墜落しても大したこと無いけど、ゴロゴロゴロンと行者小屋まで落ちるのはイヤなので一杯打ちます
アックス先端が変な方向いてますね、下が岩やスカスカ氷なので、良くかかるところを探しているところですね
ここからトラバース気味に左上するわけですが、バランス、足下悪く、核心です
>>>Tsujiさん、写真ありがとうございました。 また、どこかでお会いしましたら、宜しくお願いいたします。
(^(エ)^)ノ