-畑沢通信-

 尾花沢市「畑沢」地区について、情報の発信と収集を行います。思い出話、現況、自然、歴史、行事、今後の希望等々です。

桑の実

2013-06-28 20:20:09 | 思い出

 

 写真では大きく見えますが、実際は1.5cm程度の長さです。左が熟したもので、右の白いものがまだ未熟な桑の実です。私たちが畑沢で最も多く食べた果実です。桑の以外にはアケビや栗なども食べましたが、甘い思い出は、桑の実が最高です。しかも、無尽蔵でした。桑の葉は蚕にやる餌です。

 畑沢など東北の農村では、稲作の忙しい時期の合間に、養蚕が盛んに行われていました。年に何回も繭を取ります。蚕が小さいうちは、さしたる忙しさもないのですが、蚕が大きくなると食べる量が極端に多くなります。朝から晩まで、畑から桑の葉を掻き(畑沢語では「クワコギ」)だしてきます。さらに繭を作る時期になると、蚕を一匹ずつ手で拾い別の場所に移します。その時は食事する時間もないほどでした。

 養蚕そのものはこのように忙しいのですが、桑の実の美味しさは別物です。特に小学校の1、2年生のころは、桑を掻きだすことに関してあまり手伝いになりませんので、少しは自由時間がありました。そんな時に桑の実を飽食するのです。小さい実を一つ一つ取りながら口に入れるのが正しい食べ方ですが、猿よりも少しだけ賢い我々は工夫をしました。一つずつでは口の中が寂しいので、まとめて食べよう。家に戻ってアルミの弁当箱を持ち出しました。それに桑の実でいっぱいにします。さらに、一工夫です。手拭いで包んで、果汁を絞り出します。ジュースを一気に飲みました。手の平と口の周りは、果汁で黒っぽい紫色に染まりました。以下にも「桑の実を食べたぞう」です。でも、二度と同じ「工夫」をした覚えがありません。猿並みのほうがおいしいようです。