付箋をつけた歌より
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「奇跡的に全壊でした」と答えたり全壊の上に流失ありて 逢坂みずき
掛け金をことりとはづせば寒がりの小さな箱がのばらをうたふ 若山雅代
「こちょこちょ」というだけで子は笑いだし我の空白色づいてゆく 王生令子
柿わかば朝の雨に濡れてあをり読まるるまへのページは翳り 岡部かずみ
防波堤しぶきに濡れてどの町の本屋にも谷川俊太郎 奥川宏樹
呼び捨てに俊郎と言うは此れの世に九十八の惚けし母のみ 坂下俊郎
こねあげてゆく水餃子三十個みんな味方の三十個なり 星亜依子
午後の陽のひかりの粒に吹かれをり「ゆ」の字の暖簾の紫は褪せ 栗栖優子
おづおづといふ感じにて昇り来てわたしひとりのものとして月 高橋ひろ子
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「奇跡的に全壊でした」と答えたり全壊の上に流失ありて 逢坂みずき
掛け金をことりとはづせば寒がりの小さな箱がのばらをうたふ 若山雅代
「こちょこちょ」というだけで子は笑いだし我の空白色づいてゆく 王生令子
柿わかば朝の雨に濡れてあをり読まるるまへのページは翳り 岡部かずみ
防波堤しぶきに濡れてどの町の本屋にも谷川俊太郎 奥川宏樹
呼び捨てに俊郎と言うは此れの世に九十八の惚けし母のみ 坂下俊郎
こねあげてゆく水餃子三十個みんな味方の三十個なり 星亜依子
午後の陽のひかりの粒に吹かれをり「ゆ」の字の暖簾の紫は褪せ 栗栖優子
おづおづといふ感じにて昇り来てわたしひとりのものとして月 高橋ひろ子