矢口記念大森ユニオン歯科

矢口記念大森ユニオン歯科 院長が綴る、ブログです。

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入れ歯はどれくらい長持ちするか?

2014-05-02 12:11:37 | 歯科

入れ歯にも寿命はありますが、人工的に作られた物としての耐久性という意味だけでなく、歯や歯周組織と一体になって咀嚼や発音などの機能を営むため、歯や歯周組織の変化や寿命に大きく影響されます。そのため、一つの入れ歯を使い続ける期間はそう長くなく、部分入れ歯の場合一般的には約2~3年と考えられています。健康保険制度の規則には、新しい義歯を製作する場合には、旧義歯を6ヶ月以上使用していなければ認められない、いわゆる「6ヶ月規制」があります。裏を返すと6ヶ月経過しないうちに、新義歯製作の保険請求がなされる事例がそれほど多いことを示していると言えます。
 一方、総入れ歯の場合は20年、30年と一つの義歯を長く使っておられる患者さんに出会うことが時々あります。私の経験では102歳の女性で40年以上使用している総義歯を拝見したことがありました。この方は、矢口静雄氏(院長ブログ2013.8月参照)のお母様で「百歳バンザイ」というNHKのテレビ番組に出演されたこともありました。総入れ歯の場合、ご自分の歯が全部ありませんから、変化するのは歯肉(その中の歯槽骨)だけであり、健康でご長寿な場合はその変化も緩やかで少なく、義歯をご自分の体の一部として実に見事に使いこなしているという印象でした。
 義歯の寿命を物としての耐久性という意味から考えると、壊れたりすり減ったりして使えなくなるという問題がありますが、健康保険の義歯では使用材料に制限があり、症例にふさわしい十分な強度や耐久性を与える設計は困難です。修理を何度か繰り返した後、作り変えることになります。義歯が壊れるだけでなく、自分の歯、特に義歯のバネを掛けた歯を虫歯や歯周病で失うことも、義歯を作り変える大きな要因になります。結果として、経年的に次第に喪失する歯の数が増えると共に、作り変える義歯は大きくなって行くことになります。通常、義歯は機能回復することは出来ても、歯を守ることは出来ません。
 健康保険外の、自費の入れ歯には金属床義歯がありますが、金属床義歯だからと言って必ずしも長持ちする入れ歯とは言えません。なぜなら、強度や耐久性ではなく、快適な装着感、味覚、発音、バネの見えない外観の良さなどに付加価値を求める場合も多くあり、金属床義歯イコール丈夫で長持ちする義歯にはなりません。義歯を支える歯を喪失すれば、やはり再製作になる場合もあります。咬み合せの力が強くかかる症例、歯ぎしりや食いしばりの強い症例などでは、さらに金属を多く使用し、構造的にも剛性の高い設計が必要になります。
 私たちは、部分入れ歯でも20年、30年と使い続けても壊れたりすり減って使えなくなることのない義歯を目指して金属構造義歯を開発してきました。金属構造義歯は剛性が高く、機能時の義歯のたわみを最小とすることから、残存歯の動きを押さえ、支台歯を固定する効果があります。そこで、さらに金属構造義歯の設計を発展させ、残された歯を出来るだけ守り、咬合(噛み合せ)を長期間保持する目的の義歯を設計するようになりました。これを金属リテーナー義歯(咬合保持装置)と呼びます(ホームページ診療案内、義歯の種類を参照)。残された歯を長持ちさせることは、義歯が長持ちする可能性を高めることにつながります。
 しかし、口腔内環境において、義歯が虫歯や歯周病と競合しつつ、歯と咬合を出来るだけ長く維持することは、決して容易なことではありません。そこには、人の死に向かって進む加齢変化への対応というさらに大きな問題があるからです。

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