わしには,センス・オブ・ワンダーがないのか?

翻訳もののSF短編を主に,あらすじや感想など、気ままにぼちぼちと書き連ねています。

初めはうまくいかなくても、何度でも挑戦すればいい〜ゼン・チョー

2022-09-18 21:15:26 | 海外SF短編
「ひとりになると、バイアムは服を脱ぎ、きちんとたたんで岩の上に置いた。そして何年も自分自身にかけていた術を解いた。
 地下鉄から地上に出て新鮮な空気を深々と吸い込んだときのようだ。バイアムは初めて、不完全な自分に対する愛情がこみ上げてくるのを感じたー脚がなく、角もなく、如意宝珠も持っていない、ありのままの自分。自分はできるかぎりのことをした。」


 龍になる一歩手前の大蛇(イムギ)であるバイアムは、準備怠りなく、龍となって昇天するべく、奮闘します。
 大空に上っているときに、その姿を見た人間から、龍だと認められることが、大きな条件となっているのですが、バイアムは、千年に一度のチャンスを、三回続けて失敗してしまいます。

 自らの運命を受け入れ、龍になることを諦めたバイアムは、腹いせのため、三度目のしくじりの原因となった、天体物理の研究者レスリーを「食べて」しまおうと、彼女の研究室に現れるのですが、なんとなく心惹かれあった二人は、共同生活を始めることになります。

 まさに、タイトル通りのファンタジーです。
 とりわけ、何事かに全力を尽くして、それに懸けて頑張ってきたのに、報われなかった人にとっては、心に染みるストーリーだと思います。
 
 自分を否定し、世間の目に怯えるバイアムの姿は、共感を呼ぶものです。
 普通の展開であれば、レスリーをバイアムが支える話となりましょうが、この話は、バイアムの救済というところが面白いところです。
 また、バイアムも、レスリーも、なかなか思い通りの人?生を歩めないものの、共に少し、おとぼけなところが憎めないキャラクターであり、暗い話にはなっていきません。

 レスリーは、バイアムを見守りながら、バイアムに、何とか龍になることを諦めないでほしいと切に願っています。

 対して、バイアムが、龍になれなかった引目もあり、卑屈になっているところなど、痛さが伝わり、読み応えのあるところとなっています。

 心折れた人が、勇気を奮って、再度立ち上がろうとすることへの、応援ストーリーで、読後感もよく、よい作品だと思います。

 でも、努力が届かないこともあるのも現実なんですよね。継続するか、撤退するか。
 自分が後悔しない道を進むのは、自分のありのままを受け入れて、納得できるかに尽きるのでしょうね。
 
 挫折と葛藤を経て、得たものは、人への優しさや謙虚さも含む価値があるものと、読ませていただきました。
 
 If at first you don't succeed,Try ,Try again
前向きですよねえ。

 
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