わしには,センス・オブ・ワンダーがないのか?

翻訳もののSF短編を主に,あらすじや感想など、気ままにぼちぼちと書き連ねています。

限りなき夏~クリストファー・プリースト①

2022-11-28 22:42:47 | 海外SF短編
過去と未来がひとつになり,現在は消え失せ,生が静止した。永遠の生へと。 . . . 本文を読む
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久しぶりに、百万編知恩寺の古本まつりに行きました。

2022-11-14 23:06:50 | 本購入記録
  今年の秋の百万編知恩寺の古本まつりは、10月29日から11月3日まで開催されました。  久しぶりにのぞいてみることにしました。前のブログ記事から見ると、8年ぶりということですね。    SFや怪奇幻想系がとんとなくなってしまったこともあり、今回は、雰囲気を楽しみに来たという感じでしたが、いや、やはり、私にとっての掘り出し物は残念ながらありませんでした。  ちょっと「におい」がした棚は、唯 . . . 本文を読む
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死者登録~ジョー・ホールドマン②

2022-10-31 22:08:11 | 海外SF短編
 「わたしにはしつっこい睡眠障害があり、生きていくにはなかなか辛いが、これは大事に持っていたいと思う。そりゃあ、大事にしたいとも。もとをただせば二十年も昔、ヴェトナムへとさかのぼるものだ。グレイヴズへと。」  ヴェトナム戦争時、米軍の戦死者の、なかにはバラバラとなった遺体は、それなりに縫い合わせ、遺品を整理して、棺に封印し、一定数たまると、飛行場へトラック輸送するという業務を担当する「死者登録所 . . . 本文を読む
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征たれざる国~ジェフ・ライマン②

2022-10-18 22:10:12 | 海外SF短編
「みんな<死者>なんだ、と彼女は思った。みんな彼岸へわたろうとしているのよ。そう思うと、平和でくつろいだ気分になった。彼女の親しい人はみんな<死者>だった。背後の街では、茶色い煙がもくもくと立ちのぼっていた。上空では、鳥たちがあいかわらず気流に乗って輪を描き、空はあいかわらず微妙に形を変え、光を散らして、それを通して巨大な影を落としている。空では、昼間の星のように、ちっぽけな白い光が動いていた。天 . . . 本文を読む
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26モンキーズ、そして時の裂け目~キジ・ジョンスン①

2022-09-27 20:51:30 | 海外SF短編
 「この一団を手に入れて三年になる。エイミーはかつて、ソルトレイク・シティ空港の離発着機の空路下にある月極めの家具付きアパートメントで暮らしていた。うつろだった。何かに身体を噛まれて穴が空き、その穴が感染してしまったかのようだった。  ユタ州特産市で猿の出し物があった。まったく彼女らしからぬことだったが、エイミーはふいにどうしても見たいと感じた。ショーが終わると、理由もわからぬままにオーナーに近づ . . . 本文を読む
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初めはうまくいかなくても、何度でも挑戦すればいい〜ゼン・チョー

2022-09-18 21:15:26 | 海外SF短編
「ひとりになると、バイアムは服を脱ぎ、きちんとたたんで岩の上に置いた。そして何年も自分自身にかけていた術を解いた。  地下鉄から地上に出て新鮮な空気を深々と吸い込んだときのようだ。バイアムは初めて、不完全な自分に対する愛情がこみ上げてくるのを感じたー脚がなく、角もなく、如意宝珠も持っていない、ありのままの自分。自分はできるかぎりのことをした。」  龍になる一歩手前の大蛇(イムギ)であるバイアム . . . 本文を読む
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ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル〜テッド・チャン⑤

2022-09-07 21:31:39 | テッド・チャン
 短編作家であるチャンにとって、短い長編並みのボリュームのある本編は、最長の作品となります。  仮想環境で生きているディジタル生物〜ディジエントを養育するという、ブルー・ガンマ社のプロジェクトの試みから物語は始まり、ディジエントが様々な人間と関わりながら、「人間」らしく育てられ、経験を積み、自ら選択を行っていく過程を描きます。  プロジェクトメンバーのアンとデレクは、ディジエントの進化、成長に . . . 本文を読む
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郷村教師~劉慈欣①

2022-08-24 21:21:46 | 海外SF短編
 「きみたちがわかっていないことはわかっている。でも暗記しなさい。いずれわかってくるから。ある物体に生じる加速度は、加えられた力に比例し、その物体の質量に反比例する」  「先生、ほんとにわかったから。お願い、休んで!」  最後の力で彼は叫んだ。  「暗記しなさい!」  子供たちは泣きながら暗唱しはじめた。  「ある物体に生じる加速度は、加えられた力に比例し、その物体の質量に反比例する。・・・」 . . . 本文を読む
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時間飛行士へのささやかな贈物~フィリップ・K・ディック⑧

2022-06-30 23:04:24 | フィリップ・K・ディック
 「アディスン・ダグは、プラスチックのまがいアカスギの小枝を滑りどめにはめこんだ長い小道を、大儀そうにとぼとぼと登っていた。やや首をうなだれ、肉体の激しい苦痛に耐えているかのような足どりだった。ひとりの若い娘がそれを見まもっていた。彼女はとんでいって彼を支えてやりたかった。あまりにも疲れきったみじめなようすに胸が痛んだが、それと同時に、彼が生きてそこにいるという事実で心がはずみもした。一歩一歩と彼 . . . 本文を読む
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黄金律~デーモン・ナイト③

2022-06-26 21:35:34 | デーモン・ナイト
 「黄金律」とは、「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」との道徳の根本則であるが、本物語は、「黄金律」の否定型(silver rule)である「他の人からしてもらいたくないことは他の人に対してするな」がしっくりきます。  ミズーリ州チリコシ界隈のあるエリアで、他者に対する行動がそのまま自分に跳ね返るような奇妙な事件が続発します。  このことに、政府に関わるきな臭いもの . . . 本文を読む
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雨にうたれて~タニス・リー①

2022-06-19 22:34:26 | 海外SF短編
 町に警報が鳴り響く。放射能やあらゆる毒素を含んだ鉛色の雨が降り注いでくる危険を知らせているのだ。 . . . 本文を読む
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変革のとき~ジョアンナ・ラス

2022-06-14 22:25:51 | 海外SF短編
あのメッセージが送られてきたときユキは車の中にひとりでいて、ツー・トン式の信号を一生懸命解読したのだった。ノッポで派手なわが娘は車からとびだしてありったけの声で叫んだのだった。だからむろん彼女もいっしょに来なければならなかった。このコロニーが築かれてから、このコロニーが打ち捨てられてから、その覚悟は理屈の上ではできていたが、現実となるとちがってくる。実に怖ろしいことだ。 「男よ!」ユキは車のドアを . . . 本文を読む
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雪~ジョン・クロウリー

2022-06-07 23:04:12 | 海外SF短編
「それまでに、少なくとも八千時間分のジョージーを伝達済みだった。彼女の一日一日、一時間一時間、出かけたり帰ってきたりする姿、言葉や動き、生きた彼女そのもの—そのすべてが、ほとんど場所も取らずに「パーク」にファイルされている。やがて時が来たら、「パーク」に行けばいいのだ。たとえば日曜の午後、(「パーク」の売り口上によれば)静寂に包まれ、美しく造園された環境で、彼女専用の個人安息室を訪れる。そして、最 . . . 本文を読む
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ジャガンナート―世界の主~カリン・ティドベック

2022-06-06 21:02:59 | 海外SF短編
「偉大なるマザーの中で新しい子供が生まれ、<育児嚢>の天井に突き出したチューブから吐き出された。子供はビシャッという音を立てて生きた肉の寝床に落ちた。パパが足を引きずりながら分娩チューブに近づき、しなびた手に赤ん坊を抱きあげた。」  パパ曰く、「世界が駄目になったとき、マザーが我らを受け入れてくれた。マザーは守り手、ふるさとである。我らなくしてはマザーは生きられず、また、マザーなくしては我らも生 . . . 本文を読む
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失われた時間の守護者~ハーラン・エリスン⑦

2022-06-01 21:44:55 | ハーラン・エリスン
「もしもグレゴリウス教皇が、人々の心の中の時間を調整しなくてはならないという知識を啓示で受けていたならどうじゃ?もしも一五八二年の余計な時間が十一日と一時間だったらどうじゃ?もしその十一日は対処してきちんと消し去ったが、残った一時間がすべりぬけて解き放たれ、永遠にはねまわり続けていたらどうじゃ?ごく特別な一時間・・・決して使ってはならぬ一時間・・・決して過ぎてはならぬ一時間。もしもそうならどうじゃ . . . 本文を読む
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