むさしのけん

還暦を過ぎて剣道を再開した男の物語

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小手が泣いている

2012-10-31 15:59:35 | スポーツ

本格的な稽古に入ります。基本技の打ち込みでは、すぐに悲鳴を上げました。大人の打ちがとても強くて、すぐに右手が腫れ上がり、親指付け根の関節の軟骨はつぶれ、手首・腕は真っ赤に腫れ上がり、肘は曲がらなくなりました。学校の体操も休まなくてはなりませんでした。先生に事情を言って、腕を見せると許してくれました。さすがに体操の先生だなと、好きになりました。基本打ちでは逃げることができず、当たる前に腕を少し回して、痛みを減らしました。地稽古では、とにかく打たれないようにしなくてはならず、むさしは、あらゆる小手に対する技を研究・練習しました。お蔭で、右手は柔らかく、自由自在に使え、あらゆる小手に対する技が身に付きました。小手に対する技で、一番最初に覚えたのは、小手抜き面です。結果、これがとても、良かったのです。常に振りかぶる意識があり、技が大きくなりました。そして、引いて出る体さばきなので、フットワークもスピードも同時に、自然に身に付きました。

話が飛んで、10数年後、剣道を再開した時、愕然としました。とある警察署の社会人剣道クラブに入りました。更衣室で見た警察署員の竹刀が、みんな先を薄く、削られていました。嘘だろうと思いました。反対に重い竹刀を使って、稽古して、力をつけて、我々、一般市民を守るのが、普通の考えじゃないのか、と思いました。又、基本稽古でも地稽古でも、小手を打たれても、少しも痛くありません。昔のあの地獄の苦しみをした同じ小手なのに、なんと軽い打ちなのか。反対に、むさしが普通に打つと、すごく痛がられました。怒って、思いっきり打ってくる人もいました。お互いの竹刀が打ち合っても、すぐに相手の竹刀の竹がずれてしまう有様でした。これが剣道なのか、現代剣道の廃れるさまを垣間見ました。

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体当たり・ぶつかり稽古

2012-10-30 11:13:09 | スポーツ

むさしが、まず、防具をつけてやらされたのは、体当たり・ぶつかり稽古でした。道場の端から端まで、体当たりで、相手を動かすという稽古でした。ひ弱な高校生のむさしには、大人の剣道の猛者を、全く、動かせません。いくらぶつかっても、跳ね返されるだけで、どうしようもありませんでした。仕方なく、家で、小手をつけ、電柱相手に、ぶつかる稽古をしました。やがて数週間後には、相手を動かすことができるようになり、さらに、数年後には、どのような大きな相手でも、ぶち飛ばせられるようになりました。でも、もっと大切なことは、立ったまま、自然体でぶつかるので、腰の入り方・備えがすごく良くなったということです。下半身に気持ちが集中するので、上半身の余分な力が抜け、より自然な姿勢ができたということです。体当たりは、むさしが、剣道を人に教える場合の、絶対要素になりました。

出足・瞬発力そして強靭な足腰・自然体を作る手っ取り早い方法は体当たりぶつかり稽古だと、自分の経験からよくわかります。しかし、現代剣道ではあまり使われていないのが、残念です。ぶつかり稽古は、ぶつかる方も、受ける方も、体の備えができ、両方いい稽古になります。少年剣道においても、もっと、ぶつかり稽古をさせ、力の強弱の入れ方、使い方を教えるべきだと思います。

けがは備えのないときにおこります。その備えをつくるが、ぶつかり稽古です。

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石の上にも3年

2012-10-29 08:27:48 | スポーツ

むさしは、この道場で、就職する迄の3年半お世話になりました。この間、多くの試錬と、著しい成長を見せることになります。最初の半年間は、自転車で道場まで15分、帰りは疲れて自転車がこげなくて、休み休みに自転車をこぎ、1時間以上かかる有様でした。今覚えば、完全に脱水症状でした。けれどやがて、お蔭で、自分でも自覚できる位、3か月おきに、体力・スピード・パワーがついていきました。2年後には社内大会で優勝するほどのスタミナ・体力・スピードがつきました。今この歳になって、無理して、防具を買ってくれた親に感謝しています。また、栄養失調だったガリガリの息子の成長を喜んでくれていたんだなと、今、思います。そして、激しい試練の中から、多くの剣道の技を身につけていきました。剣先以外の技は、この時代にすべて身に付きました。又、この道場で、竹の試し切りを見せていただきました。日本刀の神秘さに魅かれ、いつか自分も、持って、切ってみたいと思うようになりました。

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体が沈む

2012-10-27 10:02:21 | スポーツ

むさしが剣道を始めたのは、高校2年の夏でした。新設高校で、剣道部がなかったので、後輩のお父さんが、ある会社の剣道部の師範をされていたので、無理に頼んで入れてもらいました。ひと月後、防具をつけて稽古するようになり、基本稽古で面を受け、衝撃を受ける事になりました。師範の面を受けると、脳への衝撃の反動か、体育館の床が浮き上がり、むさしの体が沈んでいくような感じでした。また、もう一人の先生の面を受けると、今度は反対に、体の方が浮き上がっていくような感じがしました。決して、大げさではなく、50年近く経った今でも、その衝撃感覚は忘れられません。むさしの剣の根幹をなす体験となりました。お二人とも間違いなく、一刀両断、斬る剣道でした。

今、思えば、全身を使って打つ打ち方だけでなく、きっと重い竹刀を使っておられたのだと思います。現代の竹刀で、それだけの衝撃を与えるのは難しいかと思います。軽い竹刀と重い竹刀と、試合をすれば、当然、軽い竹刀を使う人が勝つのは自明の理です。軽い竹刀を使う人や、全く、日本刀を扱えない人が、剣道界で偉くなっていけば、剣道界がどうなっていくかは、現代剣道を見れば、結果を見れば解ります、悲しい現実です。

この厳しい道場で、3年半習って、10年後剣道を再開したとき、小手や面を打って、みんなに痛がられました。反対に薄く削った竹刀で打たれても、何も感じません。剣道の違いを理解ができると同時に、時代の流れ、剣道の無力化を切実と淋しく感じられました。昔、痛みに耐えきれず、手を回して同じところを打たれないようと、苦労していた、同じ古い小手なのに、打たれても、痛みも何も感じませんでした。けれど、むさしが打つと、痛がられるので、むさしも次第に、相手に痛みを与えないような打ち方に、徐々に変わって行きました。極真空手では、試し割りが試合の一つの要素になっています。剣道でも、試し切りを試合の条件にするぐらいの、大英断をしない限り、もう、廃れ行く剣道を、せき止めることは不可能でしょう。不可能だと、ブログに書き記すぐらいしかできません。

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急がば、回れ

2012-10-23 11:22:00 | スポーツ

居合では、自分の不得意な部分とかを、繰り返し反復稽古できます。従って、誰でも、全体的に伸びていく事ができます。指導に従い、自分でも考え、人に聞き、年期経験を重ねれば、特別不器用な人でない限り、年齢体力を問わず伸びていきます。継続は力なりそのものですね。

しかし、剣道においては、かなり違ってきます。体力スピードにおいては、より多く稽古できる環境の人が伸びるのは当たり前ですが、実践の技・呼吸・間合い等においては、環境の問題で解決できるものではありません。個々の、稽古に対する考え方やり方で、ずいぶんと変わってきます。

相手との勝負にばかりこだわる人や、自分の長所(身長・器用さ等)ばかりで、一本調子で稽古する人は、やがて、大きな壁にぶつかります。反対に、あまり、勝負にこだわらず、自分の不得手を無くすことを考え、稽古する人。打たれてもいいからと、どんどん、打って出て、出足をつける稽古をする人。特に、敢えて、打たれるのを覚悟で、相手の得意な技や相手十分の間合いで勝負する人。又、常に、基礎体力を高めようと、稽古以外の素振り・肉体鍛錬の努力する人は、時が経つと、見違えるように変わって行きます。

常に自身のレベル状況に応じて、テーマを持って稽古・鍛錬をし、目の前の小さな壁を一つ一つ超えていくことが一番大事です。実力は後からついてきます。小手先の勝ち負けの稽古ばかりに、目を奪われてはいけません。むさしも、師からいただいた「急がば、回れ」を常に心に刻んで、基礎鍛錬・稽古しています。まずは自分を知り、欠点を補い、体を作る、考えた稽古・鍛錬をしましょう。

Sunappusyotto試し切り、飛び込み面

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