温泉クンの旅日記

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白くまカーチェイス

2012-03-14 | 旅エッセイ
  <白くまカーチェイス>

 臼杵から高千穂に向かう。

 地図では近くみえるのだが、山々があちこちに立ちはだかっているため、大きく迂回するので思ったより時間がかかる。
 高千穂からは青島まで一気に南下するつもりである。かなりの走行距離となる。長距離運転のコツは、一定のスピードと充分な車間距離の保持、これに尽きる。

 豊後大野、竹田を通り阿蘇の麓を回り込む。
 途中から山道にはいったのだが、そこでとんでもない危機がやってきた。
 い、いかん・・・腹がゆるんできたのだ。

 あの・・・急坂の上にあった「五輪の塔」がいけなかった。
 臼杵の石仏をみたあと、喉が渇いたので売店にいって、よせばいいのに「白くまアイス」というのに飛びついた。あれが、いけなかった。
 古くさく言えば、猛烈に厠(かわや)にいきたい。

 だが、店もなにもない山の中の道だ。あの「白くまアイス」、容器がでかかったもんなあ。半分でやめておけばよかった。
 冷や汗がでてくる。
 ああ、やばっ。今すぐトイレいきたい。

 ふだん車間距離を充分とるのが自慢のわたしだが、思わず前の車を凶暴に煽ってしまう。
「早くいけ! もっと飛ばせコノヤロー!」
 車一台でも狭い山道だから、抜くことはできない。



 停めて山のなかに駆け込むことも考えたが、山道とはいえ県道だから通行量はそこそこにある。停めて渋滞させることは避けたい。それにマムシに尻咬まれてのばったり変死体と言う状況はいやだ。「横浜の会社員 山中で変死」の見出しがちらつく。
 こうなったら、学校でも店でもみつけたら飛び込もう。人家でもいい貸しもらおう。ところが、こういうときに限ってなんにもないのだ。
 いつものおっとり菩薩顔も引きつって、夜叉顔般若顔に変貌しつつあるのがわかる。

 ようやく国道に合流する。
 さあ、なんか出てこいや!
 もう、とろとろ走っている前の車抜いてしまおうか。ほれぇ、どけって!左曲がってしまえ。



 抜こうとすると、こちらから大量に放たれた殺気のようなものに気がついたのか、前の車がすこし飛ばし始める。
 沈着冷静な運転が自慢なのに、欠けらもなくなってしまった。
 無い、無い、人家も店も公民館もなーんもない。

「おっ、おおおおおおー、隊長! 前方右側に『ガソリンスタンド』発見でぇーす!」
 狂喜して、思わず自分に報告してしまう。
 よっしゃあー。地獄に仏じゃ。
 それっ、ハンドルを右に切って、スタンドに飛び込む。

「レギュラー、満ターン!」と叫び、トイレの場所を訊いて、指差す方向へ駆け出し、またもや必死の形相で飛び込むのであった。



    注)車の画像は映画「007」で使われた名車です、念のため。

  →「臼杵の石仏」の記事はこちら

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