<宇奈月温泉>
峰に雪をいただいた山々に近づいてきた。
もう宇奈月は近い。
宇奈月温泉は黒部川の渓谷に沿ってホテルや旅館が立ち並んでいる。富山県のなかでは最も大きい温泉地だ。黒部峡谷鉄道のトロッコ観光の拠点でもある。
まっすぐ駅の横を通り、線路脇のホテルに辿り着く。
朝食付き一泊料金を先払いし、鍵を貰って部屋にいくと、荷物を置いてタオルを持ち、まずは温泉に向かう。
ここのホテルの温泉は日帰り客もかなり利用しているようだ。
先客が数人浴槽にはいっていたので、入念に掛け湯をすると隅のほうの湯に身体を沈めていく。
うぅむ・・・。このハードだった旅の緊張感がみるみるほどけ疲れが湯に溶けだしていくようだ。思わず満足の溜息を洩らす。
自慢の源泉掛け流しの温泉は、たしかにこの旅のなかでは一番のご馳走だ。
掛け流されている温泉は上流にある黒薙温泉からの引湯である。長さ七キロにも及ぶ引湯は全国的にも珍しいものだ。湯量豊富で、源泉温度は九十度以上と高温である。
「つべつべ美肌湯」と呼ばれる泉質は、弱アルカリ性で老廃物の排出を促す炭酸ガスが含まれ、最適のイオンバランスでミネラル豊富で、美肌の湯として優れている。
汗を流してさっぱりすると、部屋に戻って缶ビールをあけた。ビールは殆ど呑まないのだが、こういうときの一本は特別なのだ。
窓からは、トロッコ列車がみえる。
たしかこの連休で全線が開通したはずだ。この宇奈月からたくさんの観光客がこの列車を使って、急峻で日本一深いV字谷である黒部渓谷を昇っていくのである。宇奈月から欅平までは全長約二十キロ、片道約一時間二十分かかるそうだ。
缶ビールは一本で切り上げて、焼酎に変えた。
(暗くなるまえに、町にいくか)
前にも来ているので地理は大体頭にはいっているのだが、念のためにフロントで周辺地図をもらって、駅前のほうに歩く。
宇奈月温泉駅の前には温泉噴水がある。
この温泉噴水・・・は一度みたら容易に忘れられないものだ。宇奈月の地名を聞くとこの噴水を思いだしてしまう。
線路を渡ってすぐの商店街は人通りが少ない。
一周回って、ここかなと決めた店にはいった。
家族だけでやっている安心な店だが、ホテルや旅館に出前をしているせいか電話がジャンジャン鳴って落ち着かない。
そのうちに老若男女一族郎党みたいな大人数の客がはいってきたものだから、出前もあって戦場のような忙しさになって、常連も手伝うようなありさまになってしまう。
あきらめて、河岸を変えることにする。
赤提灯を点けた居酒屋は、さきほどとは打ってかわっての静かな店でゆっくりと呑めそうな店だった。
ふらふらとホテルへ戻る途中、静かな夜の底で盛大に噴きあげている温泉に、思わず足を止めて見入ってしまった。
峰に雪をいただいた山々に近づいてきた。
もう宇奈月は近い。
宇奈月温泉は黒部川の渓谷に沿ってホテルや旅館が立ち並んでいる。富山県のなかでは最も大きい温泉地だ。黒部峡谷鉄道のトロッコ観光の拠点でもある。
まっすぐ駅の横を通り、線路脇のホテルに辿り着く。
朝食付き一泊料金を先払いし、鍵を貰って部屋にいくと、荷物を置いてタオルを持ち、まずは温泉に向かう。
ここのホテルの温泉は日帰り客もかなり利用しているようだ。
先客が数人浴槽にはいっていたので、入念に掛け湯をすると隅のほうの湯に身体を沈めていく。
うぅむ・・・。このハードだった旅の緊張感がみるみるほどけ疲れが湯に溶けだしていくようだ。思わず満足の溜息を洩らす。
自慢の源泉掛け流しの温泉は、たしかにこの旅のなかでは一番のご馳走だ。
掛け流されている温泉は上流にある黒薙温泉からの引湯である。長さ七キロにも及ぶ引湯は全国的にも珍しいものだ。湯量豊富で、源泉温度は九十度以上と高温である。
「つべつべ美肌湯」と呼ばれる泉質は、弱アルカリ性で老廃物の排出を促す炭酸ガスが含まれ、最適のイオンバランスでミネラル豊富で、美肌の湯として優れている。
汗を流してさっぱりすると、部屋に戻って缶ビールをあけた。ビールは殆ど呑まないのだが、こういうときの一本は特別なのだ。
窓からは、トロッコ列車がみえる。
たしかこの連休で全線が開通したはずだ。この宇奈月からたくさんの観光客がこの列車を使って、急峻で日本一深いV字谷である黒部渓谷を昇っていくのである。宇奈月から欅平までは全長約二十キロ、片道約一時間二十分かかるそうだ。
缶ビールは一本で切り上げて、焼酎に変えた。
(暗くなるまえに、町にいくか)
前にも来ているので地理は大体頭にはいっているのだが、念のためにフロントで周辺地図をもらって、駅前のほうに歩く。
宇奈月温泉駅の前には温泉噴水がある。
この温泉噴水・・・は一度みたら容易に忘れられないものだ。宇奈月の地名を聞くとこの噴水を思いだしてしまう。
線路を渡ってすぐの商店街は人通りが少ない。
一周回って、ここかなと決めた店にはいった。
家族だけでやっている安心な店だが、ホテルや旅館に出前をしているせいか電話がジャンジャン鳴って落ち着かない。
そのうちに老若男女一族郎党みたいな大人数の客がはいってきたものだから、出前もあって戦場のような忙しさになって、常連も手伝うようなありさまになってしまう。
あきらめて、河岸を変えることにする。
赤提灯を点けた居酒屋は、さきほどとは打ってかわっての静かな店でゆっくりと呑めそうな店だった。
ふらふらとホテルへ戻る途中、静かな夜の底で盛大に噴きあげている温泉に、思わず足を止めて見入ってしまった。
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