温泉クンの旅日記

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倉敷 美観地区(1)

2010-03-21 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <倉敷 美観地区(1)>


 長距離旅をしていると、見知らぬひととのちょっとした会話で元気づけられることがある。

「ほぉー、横浜から来たんかい」
 朝七時ごろ、倉敷のホテル裏のタワー駐車場で車がガラガラ廻って、わたしの車が出口のところで止まるとナンバーをみて、係りのオジさんが言った。
「あ、はい・・・」

「これから何処へ行くん?」
「えーっと、九州にいってきたんです」
 昨日は由布院温泉から倉敷まで戻ってきて、わりとスムーズだったので岡山後楽園まで足を伸ばして観光した。ざっと走行距離は五百キロだった。東京から京都までの距離をほぼおなじである。

「えーっ、九州までいったあ! それはまた元気やのぉ~」
 眼を丸くしているオジさんよりは多少は若いが、わたしもそこそこ年配者だ。目を丸くしてくれて、なぜかちょっと嬉しかった。
「今日は帰るのかい」
「はい、まっすぐ横浜に帰ります」
 今日は倉敷から横浜まで最短距離で約七百キロ、下手をして渋滞でもあれば、長野廻りとなって八百キロ以上は走るのだ。七百キロでも東京から青森とだいたい同じ距離だ。昨日以上の精神力が必要である。

「そりゃまた、凄い! たいした体力だなあ。気をつけて帰んなよ」
 豚もおだてりゃ樹に登る。
 心底感心してそう持ち上げてくれると、なんとか張り切っていけそうな気がしてくるから不思議なものだ。
 エンジンをかけ、見送るオジさんに挨拶をすると、はるか横浜を目指して走り出した。
 ・・・倉敷を思いだすとき、いつも風景の前に、まずこのオジさんとのシーンがでてきてしまうのだ。

 九州旅、最後の宿泊地。
 倉敷のホテルにチェックインすると、すぐそばの美観地区を散歩した。



 町並みのあちこちに江戸の風情が漂っている。
 川沿いの柳の並木も、いまではこの雰囲気に欠かせないものとなっている。



 天領となった倉敷は、児島湾につながる運河として倉敷川がつくられ内陸の港町となり、代官所がおかれ、年貢米の集積地として発展した。



 倉敷代官所は、商人を優遇したことで人口も増加、領地は名目五万石であったが、実質はその倍以上の領地と栄えていった。



 美観地区の蔵屋敷はこれによって富を得た商人の蔵である。
 地名の由来は、蔵屋敷が立ち並んだので「蔵屋敷」という地名が起こり、それが「倉敷」となったと云われている。

 びっしりと艶やかな緑の蔦に覆われた店も、この町にみごとに溶けこんでいた。



 あちこちでみかける白壁も手入れがいきとどいて美しい。



 こんな風景には温泉好きのわたしなどより、妙齢の女性たちのそぞろ歩きがよく似合う。



 いかにも由緒のありそうな店構えの酒屋である。



 寝酒用に地酒の四合瓶でもかっていこうかな。日本酒での数々の失敗をついつい忘れ、性懲りもなくそう思ってしまうのだった。



  ― 続く ―

  →「由布院温泉(1)」の記事はこちら
  →「岡山後楽園(1)」の記事はこちら

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