温泉クンの旅日記

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中ノ沢温泉 福島・猪苗代

2015-11-22 | 温泉エッセイ
  <中ノ沢温泉>

(今日はなんなら会津若松にでも泊るか・・・)

 きっとビジネスホテルなら空いているだろう。
 二本松から会津若松に向かう。
 時間が早いので高速を使わず下道を選択して、岳温泉まで駆け上がって安達太良山の中腹を逆時計回りに巻くように猪苗代湖に向かうルートをとることにした。

 東北には湯量豊富な温泉が多い。そして湯量が多ければ当然嬉しい掛け流しということになるのだ。
 日帰りで利用したここ中ノ沢温泉もそうだ。



 源泉は安達太良山の噴火口近くにあり、そこから直線距離七キロほど離れたこちらに引湯している。泉質は含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉で、湧出量が毎分一万三千四百リットルと、凄まじいほどの量である。
 火山特有の強酸性の温度の高い温泉である。かなり酸っぱい湯で、飲泉すれば胃腸病に特に効能があるというが、わたしみたいな高血圧にも効くそうだ。歴史は古く、文禄(1600年)のころ発見されて、以来湯治場として農民たちに利用されたそうだ。

 源泉近くの沼尻温泉には一度泊ったことがあるが、中ノ沢温泉は初めてである。
 内湯もいいが、絶対庭園露天風呂のほうが広くて百目鬼温泉ばりに屋根もなく開放的でいい。濁り湯で湯の花も多い、なかなかの温泉だ。



「どちらからですか」
 先客に声を掛けられた。
「横浜からです」
「そうですか、そんな遠くから。ここ、いい温泉でしょう、月にだいたい二度くらいはきています」



 わたしもたしかに気にいった。この温泉、部屋が空いているかどうか一応訊いてみるか。
 中ノ沢温泉の前に横向温泉に日帰り入浴して、褐色系の湯の花の多い温泉にひとめ惚れして宿泊できるかどうか訊いたのだが、あいにくですが満室ですとあっさり断られたのだった。



「今日ですが、ひと部屋空いてないでしょうか」
 どうでしたか、いい温泉だったでしょう。そう湯上りのわたしに眼で問いかけるフロントの優しそうなご主人に言った。
「今日ですか・・・ちょっとお待ちください」

 フロント裏の事務所に入っていく背中をみながら、もしかして脈ありかなと期待する。もう一軒途中の温泉で日帰りするのもさすがにきついし二度続けて断られたらもういい、スッパリあきらめて会津若松で探すとしよう。



「お待たせしました。ただ食事の用意はいまからちょっと無理で、素泊まりでしたら」
 よっしゃあ~と心で叫び小さくガッツポーズ。さきほど温泉街のなかに食堂を二軒、みつけてある。



「あ、それで、素泊まりでいいのでお願いします」
 やった。久しぶりの飛込み成功であった。
 翌日出発するまで、白濁の掛け流し温泉に何度入浴したのか数えきれない。



  →「百目鬼温泉」の記事はこちら
  →「続・平山温泉(1)」の記事はこちら
  →「当日予約」の記事はこちら
  →「玉子湯」の記事はこちら
  →「続・玉子湯」の記事はこちら
  →「岳温泉(1)」の記事はこちら
  →「岳温泉(2)」の記事はこちら


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