温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

露天とガーデンの温泉 ほうおう庭 2018年秋再訪

2019年02月14日 | 秋田県
前回に引き続き秋田県大館市街の温泉を巡ります。


 
前回記事で取り上げた「ふるさわ温泉」を出た後は、再びレンタサイクルに跨って、大館市街の温泉をもう一軒訪ねることにしました。向かったのは以前も拙ブログで取り上げたことのある「露天とガーデンの温泉 ほうおう庭」です(以前の記事はこちらです)。



玄関を入った先に設置されている券売機で料金を支払います。2011年秋のオープン当初は当然のことながら全館どこもかしこもピっかピカだったのですが、それから7年近い年月が経った今回、館内は全体的に程よく使い込まれてこなれてきた感じが出ていました。
前回訪問時には気づかなかったのですが、休憩スペースの向こう側にはいろんなお花のテラスが設けられているんですね。お風呂と植物で心身を癒すというこちらの施設のコンセプトがよく伝わってきます。



さて、アットホームな雰囲気の休憩室前に掛かっている暖簾を潜って浴室へ。



お風呂の様子は前回訪問時と特に変わっていません。高い天井の室内は、明かり採りから降り注ぐ外光のおかげでとても明るく、また床には十和田石が敷き詰められているので、照度・感触などいろんな面で快適です。洗い場には14or15基のシャワー付きカランが用意されています(シャワーから出てくるお湯は真湯です)。



洗い場の反対側(右手)には、全国のお父さんたちが大好きなサウナが設けられており、そしてサウナの前にバスタブがポンと置かれていて、そこが水風呂になっています。この取って付けたような水風呂も以前のままですね。



内湯の主浴槽は全面タイル貼りで、その大きさはおおよそ4m×2.5m。湯口から注がれたお湯は浴槽を満たした後、サウナ側へオーバーフローするとともに、後述する露天風呂の方へも流れ出ています。ちょっとぬるめで長湯仕様なのですが、それでも後述する2つの露天風呂を併せた全浴槽の中では最も熱い湯加減です。この内湯は湯口がちょっとユニーク。といいますのも・・・



湯口の上には横になったカエルが置かれているんです。その名も「のんびりカエル」。説明によれば、お風呂で日頃の疲れを癒しのんびりして帰ってほしいという施設の方の気持を形にして表したんだそうです。なるほど、のんびりするのならば、熱いお湯ではダメですね。適度なぬるめのお湯だからこそのんびり帰れるわけです。



露天風呂には趣向の異なる2つの浴槽があるほか・・・



彩り鮮やかな花々が入浴客の目を楽しませています。これは以前の記事でも取り上げている通りであり、「露天とガーデンの温泉」という名前には欠かせない要素でもありますね。お風呂のともに花々に対しても精魂込めてお手入れなさっているのですから、施設スタッフの方のご苦労は相当のものかとお察し致します。


 
2つある露天浴槽のうち、ひとつは岩風呂です。2人サイズで(つめれば3人入れるかも)屋根掛けされており、新鮮源泉の投入と並行して、上述した内湯からのお湯も流れ込んできます。他の浴槽と比べてちょっと浅めかも。



もうひとつの露天浴槽は檜風呂。岩風呂とほぼ同じ大きさ(2人サイズ)ながら屋根はありませんが・・・



こちらは内湯の流れ込みが無い新鮮源泉100%のお湯です。しかもここの湯口は飲泉所を兼ねているのも大きな特徴。保健所が認可した飲める温泉ですから、新鮮で状態の良いお湯なわけです。私個人としてはこの檜風呂が大好き。私はこの「ほうおう庭」にこれまで何度か訪れていますが、なんだかんだで結局この檜風呂で長湯してしまうんです。先ほど内湯の湯加減は長湯仕様と申し上げましたが、露天風呂の両浴槽はそれに輪をかけた長湯向きの温度ですから、ついつい時間を忘れて微睡みながら長湯してしまうんです。

さて、こちらのお湯に関して、見た目はほぼ無色透明ですが、浴槽によってはごく僅かに黄色を帯びているように見えます。大館界隈の温泉はみな無色透明の硫酸塩泉であり、こちらもご多分に漏れないのですが、それだけでなく、食塩泉としての要素も兼ね備えているのが面白いところ。塩味もあり、出汁味もあり、かつ大館らしい硫酸塩泉の特徴もよく出ているのです。例えて言うならば、津軽平野の食塩泉に硫酸塩泉が加わったような不思議な泉質と表現できるかと思います(一部のマニア以外には余計わかりにくくなってしまったかも)。
また弱アルカリ性であり、かつ食塩泉のファクターもあるので、滑らかでツルツルする浴感が得られます。しかも周辺の他温泉と比べてぬるめの湯加減であるため体への負担が重くなく、それでいて、硫酸塩泉&食塩泉のパワーによって力強く温まります。各浴槽とも地下100mから汲み上げた源泉を完全掛け流し。
何度入ってもここのお湯は素晴らしいと実感致しました。


ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 42.7℃ pH7.9 120L/min(動力揚湯) 溶存物質7.894g/kg 成分総計7.901g/kg
Na+:2202mg(79.88mval%), Ca++:454.3mg(18.91mval%),
Cl-:1840mg(42.79mval%), Br-:6.2mg, SO4--:3294mg(56.54mval%),
H2SiO3:21.7mg,
(平成23年10月18日)
加水加温循環消毒なし

秋田県大館市観音堂393
0186-49-8547

5:30~21:00
400円(5:30~8:00は300円)
ロッカー・ドライヤーあり、石鹸・シャンプーなどは販売

私の好み:★★★

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ふるさわ温泉 光葉館

2019年02月09日 | 秋田県
前回記事では2018年秋に青森県の弘南鉄道・大鰐線を利用して大鰐温泉へ向かったことを述べました。そして前々回記事では、大鰐で泊まった温泉宿についてご紹介いたしました。話の流れとしては、その続きです。


 
大鰐で一晩過ごした翌日、私は奥羽本線の普通列車に乗って青森県から離れ、矢立峠を越えて秋田県に入り、県北の中心都市である大館駅で列車を降りました。


 
大館といえば秋田犬のふるさと。秋田犬といえば忠犬ハチ公。ということで、駅前ロータリーにはハチ公の銅像が設置されているほか、駅舎内には2009年に公開された映画「HACHI」を記念したかわいらしいハチ公のモニュメントが飾られていました。モニュメントは「かわいい」と言われることを目指して作られているのが明白なのですが、銅像の方は体つきがしっかりしているため、渋谷のハチ公に比べると可愛らしさに欠ける反面、秋田犬の本当の姿を現しているようでリアリティがあります。もっとも、リアリティを追及したところで、見た人に好感を与えるかは疑問ですが・・・。


 
大館駅の駅舎内にある観光案内所では、観光目的に限り無料で自転車を借りることができます。大館と言えば硫酸塩泉の宝庫ですから、私はこのレンタサイクルで市街の温泉を巡ることにしました。



既に廃止されている小坂鉄道の線路敷に沿って東へ東へと自転車を進めてゆくと、駅前を出発して10分もしないタイミングで、田んぼの先に浮かび上がる真っ白なドームが見えてきます。大館が誇るドーム球場「樹海ドーム」ですね。この「樹海ドーム」の手前にあるのが・・・



「ふるさわ温泉 光葉館」です。こちらでは宿泊も可能ですが、地元の方からは温泉銭湯としても親しまれています。今回は私も入浴のみで利用することにしました。



玄関の前ではモフモフした毛が綺麗な2頭のワンちゃんがお出迎え。うち1頭は「温(はる)」という雌犬で、お宿の看板娘的な存在のようです。駅前の銅像とは大違いの、とってもかわいい秋田犬です。


 
「温」に会釈しながら中に入り、番台で直接湯銭を支払います。玄関ホールの右手には食堂のようなスペースが広がっており、どういうわけか、まるで漫画喫茶のように漫画本がたくさん並んでいました。宿泊客が時間つぶしに読むのでしょうか。
なお玄関ホールには温泉が飲める飲泉場が設けられていたようですが、現在飲泉は中止されており、代わりにごく一般的な冷水器が置かれていました。


 
番台左側の狭く暗い通路を進んだ先が男湯の出入口。天井の低い脱衣室は昼間なのに薄暗いのですが、浴室とガラス窓で隔てられていますから、お風呂の中の様子を確認することができます。


 
浴室は内湯のみで露天などはありません。中間室を通って浴室へ入ると、訪問時の室内は湯気が篭ってムワッとしていたのですが、熱気に関してはその時々によって状況が異なるのかもしれませんね。床にはグレーの防水塗装が塗られているのですが、滑りやすいため、部分的に人工芝が敷かれています。したがってその上を歩けば滑ることはないでしょう。
脱衣室との仕切り壁に沿って洗い場が設けられ、カランが7基並んでいます。なお一部はシャワー付きで、7基のうち1基は訪問時故障中でした。カランから出てくるお湯は沸かし湯のようです。



上画像は洗い場の上に掲示された張り紙を写したもの。節水はどの施設でも心がけるべきことですが、ここにカッコ書きで書かれた「おかゆ」って一体何のことなんでしょう? お湯のことを方言でおかゆと表現するのかしら? あるいは蛇口を捻ったらトロットロのおかゆがドロドロと吐出されるのでしょうか? 興味津々です。


 
浴室の隅には上がり湯の跡のような小さいタイル張りの空の湯壺があり、その上には黄色いケロリン桶が積み重ねられていました。ちなみにここのケロリン桶は、温泉名が入ったオリジナル品です。



浴槽の大きさは計測し忘れてしまったのですが、窓に面して横に長い造りになっており、全面タイル貼りです。単に長いだけでなく左右で深さが異なっており、中央から湯口側は深い造り(というか一般的な深さ)で、その反対側は浅くなっています。



浴槽の端には打たせ湯らしき形跡があるのですが、いまは使われていないようでした。



お湯は獅子の口から吐出されています。大館界隈では「釈迦内温泉 泉湯」「花岡温泉」などでも、同じように焼き物の獅子が無色透明な硫酸塩泉と吐き出していますが、こちらの施設ではお湯に塩素消毒を行っているためか、お客さんが飲泉しないよう口に黒いネットを覆い被せていました。凛々しいお顔がすっかり隠れてしまっていますが、まるで病気にかかってマスクを被せられた犬みたいで、ちょっとかわいそう・・・。



でも黒いマスクをものともせず、獅子の口はしっかりとした量のお湯を吐き続けており、浴槽を満たしたお湯は贅沢にザブザブと縁からオーバーフローしていました。お湯は無色透明でクリアに澄んでいますが、湯中をよく見ると茶色っぽい浮遊物がチラホラ舞っています。お湯からは芒硝っぽい薬味と匂いが感じられます。紛うことなき芒硝泉なのですが、この手のお湯には珍しくアルカリ性であり、しかも炭酸イオンが一般的な温泉と比べて多いので(12.4mg)、湯中ではツルツルスベスベの滑らかな浴感が肌を包んでくれます。なお源泉温度が32℃なので加温して浴槽へ提供しているほか、上述のように塩素消毒していますが、循環や加水は無く、放流式の湯使いを実践しています。加温もほどほど(41℃程度)なので、入浴中は体への負担が軽く、ゆっくりのんびり入浴できました。無色透明だからと侮ることなかれ、なかなかいいお湯でした。


ナトリウム-硫酸塩温泉 32℃ pH8.8 溶存物質2054.3㎎/kg 成分総計2054.3mg/kg
Na+:636.0mg(95.78mval%),
Cl-:192.0mg(18.13mval%), SO4--:1130.0mg(78.72mval%), CO3--:12.4mg
H2SiO3:26.0mg,
(平成18年3月22日)
加水・循環なし
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
消毒あり(衛生管理の為塩素系薬剤を使用)

秋田県大館市新綱27
0186-48-4295

6:00~21:30(11月~3月→6:30~21:30)
350円
ドライヤー有料貸出(宿泊者は無料)、ロッカーあり、石鹸類販売あり

私の好み:★★+0.5
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弘南鉄道大鰐線 今度はいつ乗れるかな

2019年02月06日 | 青森県

(2009年6月撮影)
前回記事で取り上げた大鰐温泉へは、弘前市街の中心部である土手町の中央弘前駅から、弘南鉄道・大鰐線に乗って向かいました。私は20年以上前から青森県へ通っておりますが、県内で行動するときには車を利用することが多く、特に温泉巡りは交通不便な場所を訪ねることが殆どなので、どうしても公共交通機関を使う機会には恵まれません。とはいえ、青森県の場合は、温泉の絶対数が多いために鉄道の駅付近にも温泉が点在していますから、「鉄」の血が流れる私としては、たまに不便を承知で鉄道で旅に出て、時刻表や地図とにらめっこしながら当地の温泉を巡ることもあります。
そんな時にしばしばお世話になるのが、冒頭で申し上げた弘南鉄道・大鰐線です。

※以下、カッコ書き等で撮影年月を示した以外の画像は、2018年秋に撮りました。


弘南鉄道・大鰐線の起点である中央弘前駅は、弘前の繁華街である土手町に位置しています。かつて土手町は街の中心部でしたし、その裏手の鍛治町は所謂繁華街ですから、昼夜を問わずこの駅から電車に乗って移動する旅客も多かったかと思われますが、商業の中心が郊外のロードサイド店に移ってしまった今、古くからある繁華街はすっかり寂れてしまい、起点駅が有していた立地的なアドバンテージはすっかり失われているようです。



20時過ぎの駅構内。この駅の終電は21:30ですが、当日はその1本前の20:30発で大鰐へ向かいました。出発時刻に近づいているというのに、構内にお客さんの姿は見られません。
ご存知の方も多いかと思いますが、この大鰐線は2013年に一度は廃止が決定されたものの、地元の要望を受けて存続されることになりました。とはいえ、路線存続の方針が発表されてからも旅客数は年々減っており、20年前の約4分の1にまで落ち込んでしまいました。このため一旦は白紙撤回された路線廃止も、またいつ発表されるかわかったもんじゃありません。


 
出札窓口はありますが、ここで購入するのは定期券や企画券、記念グッズなど。普通の乗車券は券売機で購入します。
いまや都市圏では見られなくなった昔ながらの改札ゲートで、切符に挟みを入れてもらって入場です。


 
改札からホームへの通路。最近になって顔出し看板も立てられたんですね。



ホームで待っている電車に乗り込みましょう。昭和63年に東急からやってきて以来、大鰐線の主役として頑張り続けています。現在大鰐線で働いている各車両を調べてみますと、東急で活躍した期間は22年から26年かと思われますが、大鰐線では既に30年以上も走り続けていますので、第二の人生ならぬ車生の方が長くなってしまったんですね。


 
寒冷地ですからドアは半自動。ドア車内側にある押しボタンで開閉します(押しボタンの画像は2011年1月撮影)。市販の部材でつくったような手作り感が何とも言えない良い味を醸し出しています。


 
東急で活躍していた当時を思い起こさせる車内。ワインレッドのシートは、経年劣化で禿げかかっていますが、基本的には東急時代のまま。弘南鉄道はいまだに冷房車が1両も無い鉄道会社であり、夏になると天井の扇風機が大活躍します。


 
大鰐線に乗った観光客なら誰しもが目にとめるであろう、リンゴを象った吊り輪。青森と言えばリンゴ。とりわけ大鰐線が走る岩木山麓はリンゴの一大産地です。つり革の一部はハート型もありますが、あくまで遊び心であり、つり革としては握りにくいでしょう。


 
ちなみに↑画像は2011年1月に同じつり革を撮影したもの。まだこのころは葉っぱのフェルトがピンとしており、緑色も鮮やかでした。


 
東急時代のまま走っていますから、つり革の裏の広告は109や東急東横店の食堂など、青森県とは無縁のものばかり。このギャップも面白いところです。


  
(↑の両画像は2011年1月撮影)
運転台もほぼ東急時代のままですが、大鰐線はワンマン運転ですから、左右のドアの開閉スイッチ、そして車内放送や整理券発券機の操作装置が追加装備されていますね。一方、運転台の後部には、運賃表や運賃入れなど、ワンマン運転に欠かせない機器が設置されており、こうした点は東急時代と大きく異なります。



車端部の銘板も東急のまま。昭和39年製ということは、来年まで走り続けたら東京で開催される2つのオリンピックを跨ぐことになりますね。すごい!


 
さて、ここでちょっと寄り道をして、2012年8月に訪れた大鰐線・津軽大沢駅の様子をご紹介。


 
大鰐線は全線単線ですから、いくつかの駅には交換設備があります。津軽大沢駅もそのひとつであり、現在のダイヤでは多くの列車はここで行き違いを行います。


 
また駅構内には大鰐線の車両基地があり、いろんな車両が休憩中。


 
冬になるとラッセル車のお供になる古い機関車ED22。武骨でアンティークな外観が素敵です。大正15年にアメリカで製造され、まずは信州の地で活躍。その後国鉄の機関車となり、西武鉄道、近江鉄道、一畑電鉄と流浪の旅人のように各地の私鉄を渡り歩いた後、この大鰐線へやってきて今でも除雪の時に活躍しています。


 
こちらは元東急6000系。1つの台車に1台のモーターを装備させ、2軸を駆動させるという非常に珍しい独特の駆動方式を採用していますが、その特殊性が仇になったのか、東急ではあまり増備されず、弘南鉄道へ譲渡されてからも脇役程度の活躍しかしていません。


 
一方、こちらは大鰐線の主力である元東急7000系。日本初のオールステンレス車両でありますが、この車両が履くパイオニア台車も大きな特徴。見た目が独特ですが、乗り心地もある意味で独特。端的に言えばとにかく揺れる! 昭和の頃には、東急のみならず小田急や京王、南海など大手私鉄でも採用されましたが、それでも一部の車両にとどまり、大きく普及することは無かったように記憶しています。


ここで寄り道は一旦終了。時間軸を2018年秋に戻します。



中央弘前駅20:30発の列車は、20:58、静かで真っ暗な大鰐駅に到着。



隣のホームにはカッティングシートの帯を巻いていない無色の車両が止まっていました。この外観こそ東急時代そのもの。


 
北口は弘南鉄道専用の改札ですが、でも温泉街からは離れてしまい不便です。このため跨線橋の階段を上がって、JRの駅構内を経由して・・・


 
反対側の改札から駅を出ました。こちらは無人。


 
またまたちょっと寄り道。
津軽といえば雪国。2011年1月に撮った雪の大鰐駅です。東急の車両たちは、東京を走っていた頃は雪に難儀していたはずですが、当地では果てしなく積もる雪もものともせず、力強く走ってお客さんを運んでいます。それどころか、今や元東急の車両もすっかり雪と馴染んでいますね。


 
こちらも2011年1月の大鰐駅。引き込み線の奥では、上述した大正生まれの古参機関車が排雪車と連結して、お仕事の準備をしていました。


 
改めて時間軸を戻します。
こちらは2018年秋に大鰐温泉へ宿泊し、その翌朝に撮ったもの。駅前の大きなワニが印象的です。



ホームにかかる跨線橋。手前を左に降りたら奥羽本線。金沢・大阪方面と書かれていますが、現在その方面へ向かう列車は、この駅には来ません。かつての寝台特急「日本海」の名残ですね。一方、奥の細い通路を進むと弘南鉄道大鰐線。



ホームに停車中の大鰐線。昨晩はお世話になりました。



大鰐の湯で旅の疲れを癒した翌朝、私は奥羽本線の普通列車に乗って大館へ向かいました。

さて、今度私は大鰐線に乗れるのはいつになるのでしょうか。
大鰐線はその頃にも元気に走っていてくれるのでしょうか。
廃止が決まってから応援しても遅い。葬式鉄なんてまっぴらゴメンです。
いつまでも元気に走っていてくれ!


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大鰐温泉 旅館きしもと

2019年01月30日 | 青森県

記事の時系列的には前回記事から続いております。2018年秋に青森県を旅した私は、前回記事の黒石を出た後、弘前のビジネスホテルに泊まろうかと考えていたのですが、せっかくですから弘南電車で足を伸ばし、大鰐温泉で一泊することにしました。駅を降りた私は駅前の通りを東に向かって歩き、温泉街の入り口にあたる青い橋で平川を渡たったのですが、この橋を私はいままで何度渡ったことでしょう。初めて渡ったのは今から二十数年前のことですが、それから幾度も当地を訪れていますので、もう数えきれません。目を瞑っても歩けそうな気がします(この画像は翌朝撮ったものです)。


 
この日お世話になったのは青い橋を渡ってすぐ左手にある「旅館きしもと」です。予め数日前に電話で予約しておきました。
玄関の上に掲げられている宿名の文字看板は、その半分近くが外れてしまい「さしも」としか読み取れない状態になっていました。申し訳ないのですが、この外観だけで判断すると営業しているのか不安になってしまいます。でも玄関を開けてお邪魔しますと、お宿を営むご夫婦が笑顔で温かく出迎えてくださいました。



さすが津軽だけあり、廊下には照明の扇ねぷたが飾られていました。青森県民にとっては常識ですが、ひとくちにねぶたと言っても地域により文化が異なります。全国的にも有名な青森市のねぶたは"NEBUTA"と発音し、大きな人形の山車を曳きながら跳人が「ラッセーラー」と掛け声を掛けながらぴょんぴょん跳ねて賑やかに盛り上がるのに対し、弘前のねぷたは"NEPUTA"と発音し、扇ねぷたと呼ばれる扇形の山車を曳きます。扇ねぷたの表面は勇壮な武将の絵が描かれる一方、裏には美人画が施され、参加者は「ヤーヤドー」と掛け声を掛けながら隊列を組んで上品に街を練り歩きます。この他津軽各地にあるそれぞれの街ではそれぞれの形のねぶた(ねぷた)があり、画一的な類型化ができないほど実は多種多様だったりするんですね。屁理屈、失礼いたしました。本題に戻しましょう。


 
女将さんに案内され、その晩お世話になる客室へ通されました。こちらのお宿には客室が5室しかないらしく、今回通されたのはそのうちの1室である「白樺」というお部屋です。夜9時に到着したので、既に布団が敷かれていました。畳敷きの室内には古いながらもエアコンが設置されており、暖房やテレビも備え付けられていますが、冷蔵庫はなくトイレや洗面台は共用です。この客室をはじめ建物が全体的にかなり草臥れているようです。
卓袱台の上に置かれた灰皿の上にはお宿のネームが入ったオリジナルマッチが用意されていました。私はタバコを吸わないのでマッチを使いませんでしたが、いまどきマッチを用意しているお宿は珍しく、そもそもマッチ自体を手にする機会もあまり無いので、貴重なお土産として1つ持ち帰らせていただきました。そういえば平成生まれの方はマッチが使えない方が多いそうですね。何でも便利になったいまの世の中で必要とする場面に出くわさないのですから、知らないのは当然でしょう。


 
窓を開けると、すぐ下に平川が流れていました。左手に見える青い橋は駅から歩いてきた時に渡った温泉街の入り口となる橋です。この橋の向こう側には、当地の共同浴場のひとつである「若松会館」があります。



こちらのお宿は基本的に2食付で利用するようなのですが、上述のように私は夜9時に到着したため、夕食は抜いてもらい、朝食のみお願いしました(税別5,000円)。1階の別室に移動していただきます。オーソドックスながら動物性蛋白質とお野菜のバランスが取れた美味しいお食事でした。



さて、お風呂へ向かいましょう。1階の奥に男女別のお風呂があり、宿泊中は自由に入れます。内湯のみで露天風呂はありません。



実用的で渋い趣きのお風呂には、窓側に浴槽がひとつ据えられ、反対側の壁に沿ってシャワー付きカランが2つ取り付けられています。カランから出てくるお湯はボイラーの沸かし湯。機器が古いのか、コックをひねってからお湯が出てくるまでちょっとタイムラグがあります。また洗い場にはボディーソープなどの備え付けあるのですが、個人所有の物のような雰囲気が伝わってきたので、私はそれらを使わず持参したものを使いました。



浴槽は4~5人サイズ。ゆがんだ台形のような形状をしています。一般的なお風呂よりちょっと深いので、肩までしっかり湯に浸かれて入り応えがあります。なお浴槽のすぐ上には窓がありますが、隣家が近接しているので、窓を開けてもその壁しか目に入ってきません。景色は期待せず、汗を流してお湯とじっくり対峙しましょう。


 
蛇口から激熱のお湯が浴槽へ注がれています。蛇口は硫酸塩の析出によって羊の頭のような白くてモコモコとした造形ができあがっていました。投入量は絞られているのですが、その絞り方が絶妙であるため、湯船では加水することなく適温がキープされていました(そのかわり上下で温度差があったので、しっかり掻き混ぜてから入浴しました)。全量掛け流しです。
館内には温泉分析表の掲示が見られなかったのですが、いわゆる大鰐の混合泉の特徴がよく出ているお湯であり、石膏感(匂いと味)、石膏甘み、そして硫酸塩ならではの薬っぽい感じがよく現れています。また湯中ではトロトロしながらも、肌にはキシキシする浴感が伝わり、かつ入りしなはちょっとピリっとするような感覚が走りました。

建物が全体的に草臥れており、またお宿のご夫婦もお年を召されているため、随所にマンパワー不足を感じさせる点があるのは仕方ありませんが、静かな環境でリーズナブルに泊まって存分に温泉入浴したい時には相応しい宿かと思います。また宿のご主人はとても人当たりが良く、明るく柔和。かつてはスキーのコーチだっらたしく、館内には合宿時の生徒たちの寄せ書きが飾られており、それらを拝見していると、生徒たちのメッセージを通じてご夫婦のお人柄が伝わってきました。心が温まる家庭的なお宿でした。


分析書見当たらず

青森県南津軽郡大鰐町大字大鰐字大鰐86-1
0172-48-3267

宿泊のみ

私の好み:★★


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黒石100円温泉(追子野木久米温泉) 閉鎖後の様子

2019年01月27日 | 青森県
温泉ファンから絶大な人気を得ていた黒石市の100円温泉。温泉分析書での名称は追子野木久米温泉ですが、その名前を言っても通じることは少なく、「100円温泉」として多くの方に知られていた温泉です。田んぼを埋め立てた更地に簡素なプレハブの平屋には、無人の温泉浴場が設けられ、その名の通り100円玉1つさえあれば、ツルツルの滑らかな掛け流しの温泉に入ることができました。

この100円温泉。元々は地元建設会社の保養施設だったのですが、いつの頃からか一般にも開放され、やがてマニアの間にその存在が知れ渡るようになりました。かく言う私も5回近くは利用を重ねていたでしょうか。拙ブログでも以前に取り上げております(その時の記事はこちらです)。私のような酔狂なマニアが全国からやってきて、皆さんそのお湯の良さと独特の佇まいに感動し、口コミによって知名度が徐々に上がって、とうとう2016年にはNHKのドキュメンタリー番組「72時間」などマスコミでも取り上げられるに至りました。
しかし、何があったのか、それとも既定路線だったのか、2017年3月末を以て閉鎖。その後営業再開の報は聞こえてきません。大好きだった温泉が過去帳入りしてしまう悲しさは筆舌に尽くしがたいものです。閉鎖から1年半が過ぎた2018年秋の某日、黒石市内を車で走っていた私は、その後の姿が気になってしまい、別れを告げられても未練たらたらで泣き縋ろうとする弱い人間のように、気付けば100円温泉の跡地へと向かっていたのでした。



霊峰岩木山が聳える津軽平野のど真ん中。
黒石市の某所へとやってまいりました。



閉鎖から1年半経った2018年秋の某日。まだ建物は残っており、100円温泉の看板も掲出されたままでした。



しかし、かつては軽トラや乗用車などいろんな車がひっきりなしにやってきた砂利敷きの駐車場に、いま車の姿は見当たらず、ただひたすら空虚な更地に成り下がっていたのでした。



湯屋だったプレハブに近づいてみましょう。
男女両入口の横には「夜 終わり」と手書きされています。刷毛に含ませた余分なペンキを落とさないまま書いて、文字の先端に滴の跡が残っちゃった手書きの案内は、この浴場の大きな特徴でしたね。「夜」と「終り」の間には8時と書かれ、その上から白いペンキで塗りつぶした形跡が残っているのですが、なぜこのような中途半端な消し方にしたのか、よくわかりせん。
男女双方ともドアは堅く閉ざされており、中の様子も窺えませんでした。


ここから先は2010年8月に撮影した画像で以前の様子を振り返ります。

 
温泉浴場というより倉庫かバラックと表現したくなるほど簡素なつくりで、整然という概念からも少々離れているこの無人の浴場の壁には、100円と手書きされた金属製の湯銭入れが括りつけられ、客は自分でまずそこに100円を入れてから入浴します
無人施設という性質上、どうしてもズルをする輩が一定数いるらしく、あらぬ疑いを掛けられないよう「100円をみんなにみせる」と、これまた黒いペンキが滴る刷毛で書いたと思しき注意喚起が館内の壁に書かれていました。凶悪犯が現場に殴り描いた犯行声明を彷彿とさせるこうした数々の手書きメッセージは、他の温泉浴場では滅多にみられるものではなく、この100円温泉を語る上では欠かせないエッセンスでした。ここを訪れた温泉ファンの皆さんは、こうしたボロい佇まいや手作り感といった特徴に惹かれているようでしたが、湯巡りを趣味とする人間には共通して頽廃美を好む傾向があるのかもしれません。



100円の無人施設ですから、一般的な銭湯に設けられている入浴に便利な設備なんて無し。安普請の室内に浴槽が1つ据えられているばかりでした。でもそこに注がれているお湯が極上そのもの。琥珀色のお湯からは芳しい木材のような香りが漂い、湯船に入るとヌルヌルという表現がふさわしいほど大変滑らかな浴感に包まれるのでした。もちろん完全掛け流し。

私がこの温泉を初めて訪ねたのは今から十年以上前のこと。初回訪問時にはただならぬ佇まいに腰が引け、利用をためらってしまったのですが、勇気を振り絞って中にはいってみたら、そこで入れる温泉の素晴らしさに感動し、以来すっかりファンになってしまいました。

でも、もうこのお風呂には入れません。

固く閉ざされたドアの前に立ちすくみ、想い出に浸りながら感傷的になってしまった私。
もうこの温泉は復活しないのでしょうか。
いまさらですが、とても残念です。


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