温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

トカラ列島 中之島 中之島東区温泉

2012年08月22日 | 鹿児島県

前回取り上げた「西区温泉」から海岸沿いの道を南下し、役場の出張所や郵便局など通り過ぎて100メートルほど進んだところに、中之島の共同浴場のひとつである「東区温泉」が、まるで白い屋根を道路に埋めこんでいるかのような姿で佇んでいます。西区温泉と同様に、防波堤が海側へ出っ張った場所に湯小屋が建てられており、防波堤のコンクリ擁壁を上屋の側壁代わりにしています。西区と東区、両浴場は同じような構造をした兄弟みたいなもんですね。近くまで来ると湯屋から硫黄の匂いが漂ってきます。


 
入口の掲示には、湧出量が少ないことや島民を優先することを理由として、夕方の16時半から18時半は島民専用時間となる旨が告知されていました。また島民専用時間が終わったわずか1~2時間後には清掃時間に突入し、入口には「清掃中」の札が提げられます。このため、外来者がこのお風呂で一日の疲れを癒そうとするならば、18時半から19時(または20時)までの僅かな間を狙うか、清掃後の深夜、または夜の入浴を諦めて午前中からお昼にかけての時間に入るしかありません。尤も、このルールは厳密に守られているわけではなく、比較的融通がききますから、島民時間内であっても地元の人に了承をもらえば問題ないかと思います(実際に私は了承をもらって夕方に利用しました)。



西区と同じく寸志箱が取り付けられており、備え付けの専用封筒に記名の上で1,000円以上納めると、寄付者一覧に名前が掲載されます。きっと今頃(あるいは数か月後)には私の名前も載っていることはず。



東区は奄美からの移民が多く住む集落であるため、奄美の言葉を忘れないようにという願いを込めて、奄美言葉が貼り出されていました。


 
浴室は脱衣所と一体型であり、これも西区と似たような造作ですね。脱衣所の棚の下段には常連さんのお風呂道具がたくさん並んでいました。集落の共有財産という意識が強いのでしょう、室内はとてもよく整頓されています。また棚の上には扇風機も設置されており、湯上がりにクールダウンしたいときにはとても重宝します。



西区とおなじく上屋は、コンクり擁壁の上に木材の柱と梁、そしてアクリル波板の屋根を載せただけで、一見すると簡単な造りですが、よく観察すると結構頑丈に作られているみたいですよ。



洗い場も西区同様、しっかりとタイルが貼られており、真湯が出るシャワー付き混合水栓が完備されています。なおこちらのカランの数は4基で、西区よりも1基少ないんですね。水栓金具は硫化して真っ黒に変色しています。


 
山側から湯口が伸びている西区と異なり、東区の湯口は海側から伸びており、その配管の真上のモルタルには成分の析出によるトゲトゲがたくさん発生していました。玄関で書かれていたように湧出量はそれほど多くないようでして、数回このお風呂を利用しましたが、いつも湯口から出てくるお湯の量はトポトポと滴り落ちる程度でした。でも湯使いは完全掛け流しであり、お湯は浴槽の切り欠けから排出されて海へと流れてゆきます。


 
湯屋の造りと同様、お湯の質も西区温泉と似ており、硫黄感が強い白濁のお湯なのですが、匂いも味も東区の方が断然濃く、砂消しゴムと卵黄を足して2で割ったような硫黄味+塩味+石膏味がそれぞれはっきり感じられ、上述のように硫黄臭は道路まで漂ってゆくほど強くはっきりとしています。またお湯のトロミもこちらのほうが濃く感じられました。白濁する程度は日によって異なり、左右の画像で比較すれば一目瞭然ですが、青白く濃く濁っている日もあれば(画像左(上))、底のタイルの目地まではっきり見えちゃうほど透明度を有する日もありました(画像右(下))。

寄付者の名札の数を比較すると、西区より東区の方が圧倒的に多く、そんな事情を反映しているのか、西区では夕方でも一人占めして利用できる機会が多かったにもかかわらず、東区ではかならず先客や後客がいらっしゃり、日によっては室内に5人近い利用者がいたこともありました。また先客がたっぷり加水するために、東区の温泉はいつもぬるめでした。お湯は濃いけど利用者も多い…。それが東区温泉の特徴なのかもしれません。



斜め前には自販機ありますので、湯上がりにどうぞ。長い暖簾ががぶらさがっているので、初めて見た時は「なぜこんなところにエロ本自販機があるのか?」と勘違いしちゃいました。


中之島4号
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉(硫化水素型) 66.1℃ pH5.9 溶存物質5574.5mg/kg 成分総計5724.2mg/kg
Na+:1276mg(60.84mval%), Mg++:149.7mg(13.50mval%), Ca++:423.3mg(23.15mval%),
Cl-:1895mg(53.45mval%), SO4--:1326mg(27.61mval%), S2O3--:5.9mg(0.11mval%), HS-:1.6mg(0.05mval%) ,
H2SiO3:79.8mg, CO2:129.0mg, H2S:20.7mg,

鹿児島県鹿児島郡十島村中之島ゲロウ132  地図

24時間入浴可能(ただし16:30~18:30は島民専用、4~9月は20時頃から、10月~3月は19時頃から清掃時間です)
寸志
備品類なし

私の好み:★★★

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トカラ列島 中之島 中之島西区温泉

2012年08月21日 | 鹿児島県
 
トカラ列島の中之島には西側の海岸に沿って2軒の共同浴場が存在しており、外来者も利用することができます。今回はそのうち西区にある西区温泉を取り上げます。港近くの防波堤が海側へ出っ張っているところに湯小屋が建てられており、道路よりも低い海岸と同じレベルに基礎が築かれているため、道路からは階段を下りて浴場へと入ってゆくことになります。



浴室は地方の古い共同浴場でよく見かける脱衣所との一体型で、入り口の引き戸を開けると、スノコ敷きの脱衣所とともに浴室もいきなり目に入ってきます。



浴室を湯船側から脱衣スペースを見たところです。


 
使用料は定まっていませんので、各自でこの「善意の箱」に寸志を投入することになります。なお1,000円以上寄付した場合は、脱衣所の棚の上に掲示されている寄付者一覧に記名されます(備え付けの封筒にお金を入れ、名前を書いて箱に納める)。きっと今頃(あるいは数か月後)には私の名前も載っていることでしょう。



四角い建物の四辺のうち、一辺は道路に面していますが、残り三辺は防波堤に囲まれているため、この湯屋ではその防波堤を側壁代わりにしており、防波堤にコンクリアンカーを直接打ち付けて、配管類や水栓などを設置しています。また上部はコンクリ擁壁の上に木材の柱や梁、そしてアクリル波板の屋根を載せただけです。



こども会によるマナー喚起の注意書きが掲示されていました。子供にとって共同浴場は公衆マナーが学べる貴重な場所ですね。



湯屋の建屋こそ質素に見えますが、床周りは意外としっかりつくられており、床や腰部、そして湯船はなんとタイル貼りです。浴室の左手には洗い場が設けられており、シャワー付き混合水栓が5基も設置されています。カランからは水はもちろんのこと、湯沸かし器から供給される真湯だってちゃんと出てくるんですよ(このためお湯の配管は保温のためにラッキングされています)。かなり本格的でしょ。なおカランは硫化して黒く変色していますが、機能面は問題ありませんでした。


 
この臙脂色した耐熱塩ビのパイプから源泉が投入されています。投入量はそんなに多くないようでしたが、バルブを開ければ増えるのかな? 迂闊に手を触れて湯加減や源泉に悪い影響を与えてはいけないので、この湯口のバルブには触れませんでした。湯口と並んで天井からまっすぐ下りてきている配管は真水のものでして、私の訪問時は熱い湯加減だったことが多かったために、その都度この水で薄めさせていただきました。なお湯使いは当然ながら完全掛け流し。浴槽の海側にある切り欠けから、お湯はしずしずと溢れ出てゆきます。


 
湯船は3人ならゆったり、詰めれば5人は入れそうなサイズです。お湯の見た目は基本的に硫黄により白濁しているのですが、日によって濁り具合が異なり、お湯のコンディションによってはほとんど透明になることもありました。実際に左右の画像を比較すると一目瞭然です。
見た目以外の知覚的特徴としては、噴気帯のようなプンと鼻孔を刺激する硫化水素臭、砂消しゴムと卵黄を足して2で割ったような硫黄味+薄塩味+石膏味+苦みといったところでして、味覚面を簡単に表現してしまうとほろ苦いタマゴスープみたいな感じでした。尤も、見た目と同様、匂いも味も、日のよって濃淡が発生していました。ツルスベ浴感を有するトロトロとしたお湯です。本土でこのレベルのお湯が湧いていたら、人気を集めること必至でしょう。



湯屋の裏手の波打ち際へまわると…


 
磯の石の間からプクプクと熱いお湯が湧きだしており、その部分は硫黄で白くなっていました。西区温泉で供給されているお湯もこのお湯と同質でしょう。ただ磯で自噴しているお湯は量が少ないので、野湯はできませんでした。



湯屋の近くには自販機があるので、湯上りの水分補給にどうぞ。



中之島3号
含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉(硫化水素型) 73.1℃ pH5.9 溶存物質2834.7mg/kg 成分総計2975.2mg/kg
Na+:704.5mg(67.70mval%), Ca++:139mg(15.42mval%),
Cl-:939.8mg(63.24mval%), SO4--:617.1mg(30.65mval%), S2O3--:11.3mg(0.48mval%), HS-:0.7mg(0.05mval%) ,
H2SiO3:102.3mg, CO2:129.6mg, H2S:10.9mg,

鹿児島県鹿児島郡十島村中之島ケブシ72  地図

24時間入浴可能(ただし4~9月は19時頃から、10月~3月は18時半頃から、清掃時間です)
寸志
備品類なし

私の好み:★★★
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トカラ列島 宝島を逍遥(その2)

2012年08月20日 | 鹿児島県
前回記事の続きです。
今回も温泉は登場しませんのであしからず


一旦集落へ戻り、今度は集落の西に向けて、鬱蒼と茂る緑の中を歩いていきます。


 
トカラはどの島でも同様ですが畜産業が盛んでして、ここでも牛小屋を見つけました。小屋の中では仔牛が怯えながらこちらを向いていました。



女神山と呼ばれる峠のようなポイントを通過。



トカラでは観葉植物であるサンセベリアの栽培も盛んです。


 
こちらの畑ではバナナを栽培中。


 
そしてこっちではイモ栽培。沿道にはトカラの農業事情がよくわかる畑が連続していました。


 
集落から歩くこと約25分で、海が見えてきました。左手に小径が分かれており…


 
その小径にかかる鳥居から伸びる道を進んでみると…


 
とっても宗教的な雰囲気が漂うエリアへとたどり着き…


 
その先には観音像が祀られている大鍾乳洞が大きく口を開けていました。十島村発行の観光パンフから説明文を抜粋させていただくと…
琉球石灰岩質の宝島にはたくさんの鍾乳洞があります。この鍾乳洞に、キャプテンキッドの財宝が隠されている伝説もあります。中でも、この「観音堂」と呼ばれる鍾乳洞がもっとも大きく、奥行きは400mとも500mとも言われ、かつて「トカラ神道」と呼ばれた信仰の島内最大の拝所になっています。

なんと奥行きが数百メートルもあるんですか。ではさっそく奥の方へ入り込んでみましょう。


 
天井からトゲトゲの鍾乳石が幾重にも下がっており、神秘的であると同時に恐怖感をもたらす光景です。万一そのうちの一本がポキッと折れて頭上に落ちてきたら、ひとたまりもなさそうだぞ。
洞内には特に規制線が敷かれているわけではなく、進もうと思えばどんどん奥へと行けそうでしたが、あいにくこの時はライトを持参していなかったため、開口部付近の光が届く範囲でしか行動できませんでした。


 
鍾乳洞の中から外を見上げると、眩しい光線の中に亜熱帯の植物が茂っています。横井庄一氏や小野田寛郎氏などは、こんな光景を日常的に目にしながら日々を過ごしていたのかなぁ、なんていう想像にふけたりしました。



さて、集落へ戻ってきました。



コミュニティーセンターの裏には「やすらぎ農園」と称する小さな耕作地があり…


 
その一角では水稲栽培が行われていました。トカラで戦前から水稲を栽培してきたのはこの宝島のみなんだそうでして、民俗学者である宮本常一の著書『生きていく民俗 ---生業の推移 (河出文庫)』でも、この島では稲作が可能であったのみならず、生活に必要な作物は大抵耕作可能であり、また島民は必要最低限の技術(大工仕事など)を持っていたため、かつてはほぼ完全な自給自足ができていた、と書かれています。まさに宝の島だったのかもしれませんね。


 
はて? ハイビスカスが咲くこのアプローチの先には何があるのかしら?


 
アプローチの先につながる階段をあがったところには、宝島小中学校の校門がありました。


 
夏休み中ですから誰もおらず、蝉の鳴き声以外は何も聞こえてきませんでしたが、それにしてもなかなか立派な校舎じゃありませんか。



行事予定が書かれる黒板には、大きく「夏休み」と書かれていますね。


 
校門の下では一頭のヤギが飼われており、私の姿を認めるや、ヤギさんは急ぎ足でこちらへとやってきました。生徒は夏休みで誰も来ないから、ずっと一人ぼっちで人恋しかったのかな。


 
宿の夕食です。献立としては、島で獲れたヒラアジの刺身、とんかつ、ゴーヤチャンプルなどなど。宿泊客は私一人だけだったからか、えらくボリュームが多く、失礼が無いように全て平らげましたが、食後はお腹がはちきれんばかりでしたが、いずれもとっても美味しかったので、途中で箸が止まるようなこちはありませんでしたよ。ごちそうさまでした。

翌日は朝7:15出港の上り便で中之島へ向かいました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トカラ列島 宝島を逍遥(その1)

2012年08月20日 | 鹿児島県
※今回の記事に温泉は登場しませんのであしからず。

 
悪石島の次に私が向かったのは、トカラの有人島では最も南に位置している宝島です。フェリーが港へ近づくと、まず目に入ってくるのがコンクリの擁壁に描かれた巨大な壁絵でした。


 
今回宝島でお世話になったのは老夫婦が経営する「民宿とから荘」さんでした。2階建ての2階に10室近い客室があり、今回はこの中でも最も勝手口や洗面所に近い部屋をあてがってくれました。6畳の和室で冷房完備ですが、他のものは何もありません。


 
客室にテレビは無いので、もし視聴したければこの大広間でみることになります。といってもこの日の宿泊客は私一人だけでしたし、スケジュールの都合上、この島では1泊しかできなかったので、時間が許す限り島内を巡ることで精いっぱい。あまりこの広間で寛ぐ時間はありませんでした。窓からは海を一望でき、日が暮れれば海から涼しい風が吹き込んできます。



宿のお爺さんは民宿経営の傍ら、薪で釜を焚く塩造りも行っています。天候によって釜の焚き方(薪のくべ方)が違うらしく、この日は好天に恵まれて釜を焚く好機でもあったため、お爺さんは晩も早朝も問わず、頻りに釜へと出かけていました。


 
今回お世話になった「とから荘」を含め、宝島の民宿はみな港近くの集落に集まっています。さっそく細い路地がウネウネと延びているこの集落を歩いてみましょう。平家の落人伝説が残っているこの平島の住民は圧倒的に平田姓が多く、民家の間に立つお墓を見ると悉く「平田家之墓」となっていました。


 
こちらはコミュニティーセンター(村役場出張所)です。フェリーの切符もここで購入しますが、いつでも窓口が開いているわけではないので、所定の時間を狙って出向く必要があります(これはトカラのどの島でも共通ですが)。私は翌日の早朝に出港する上り便で経つ予定でしたので、前日の昼下がりに切符を購入しました。


 
コミュニティーセンターには自販機が2台あり、コカコーラ系の他サントリー系のドリンクも購入可能。また夕方からオープンする売店(食料品や雑貨などを取扱)も併設されています。



こちらは宝島郵便局。島唯一の金融機関でもあります。トカラ列島で郵便局がある島はこの宝島以外では、中之島と口之島だけです。


 
郵便局の近くから海岸へ下りてゆく何の変哲もないこの坂道はイギリス坂と呼ばれており、十島村発行のガイド(パンフレット)から説明文を抜粋すると…
文政7年(1824年)イギリス船が宝島沖に現れ、数人のイギリス人が小船で上陸し、食用の牛を求めましたが断られ、逆恨みしたイギリス人は銃を乱射して牛3頭を強奪しました。その後藩庁から島に来ていた役人らが応戦し、イギリス人の一人を射殺しました。その現場一帯はイギリス坂と呼ばれ、このことがきっかけで、翌年に「異国船打払令」が出されたといわれています。
とのこと。私はフェートン号事件が異国船打払令の大きなきっかけだと思っていましたが、たしかにこの頃はナポレオン戦争のために勢力をすっかり失ったオランダに代わってアジアの覇権を握るようになったイギリス船が次々に日本近海にやってきていたわけですから、この宝島で発生した事件はそうした流れのひとつとして起こったのであり、長崎や宝島などで起きた事件の数々によって幕府は異国船打払令へ発令しようとしたわけですね。



イギリス坂を下りきると発電所を発見。


 
発電所から海岸に沿って東方向へ歩くと「がっこうのうえん」と書かれた札が立つ場所を通過しました。夏休み中だからか、特に何かを栽培しているような形跡はみられませんでした。



さらに東へ進んで、途中に突き当たった分岐を海の方へ行ってみると…


 
小さな馬小屋に遭遇。在来種と思しき小型の馬(おそらくトカラ馬)が一頭だけ屋根の下でのんびりしており、その馬は私を見つけると、興味津々といわんばかりに元気よくこちらへ近づいてきて、愛想をたっぷり振りまいてくれました。


 
さらに奥には、白い砂浜の大籠海水浴場が広がっていました。天然の入り江を活かしながら、安全に海水浴が楽しめるよう人工的な設備も施工された海水浴場です。この上ない天気なのに、この時は誰もいませんでした。



無人ながらちゃんと男女別のシャワーもありますよ。


 
入江は干潮で水が思いっきり引いており、しかも濁っていたので、入江の口まで歩いていき、そこから潜ってみることにしました。


 

海中にはサンゴ礁が広がっていますが、すっかり白化している上に泥をかぶっており、決して美しい光景とは言えません。でもそんな海中をたくさんの魚たちが泳いでおり、その様子を私は潜りながら飽きることなく2時間近くも観察し続けてしまいました。

次回に続く…

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トカラ列島 宝島 宝島友の花温泉保養センター

2012年08月19日 | 鹿児島県
 
トカラ列島ではすべての島で熱い温泉が湧出しているわけではなく、島によっては加温してようやく入浴に適するような低温の温泉しか存在していない場合もあります。トカラの有人島で最も南に位置する宝島もそんな島のひとつでして、島内に存在する唯一の共同浴場「宝島友の花温泉保養センター」では湧出温度26度の源泉を加温して利用者に供しています。加温するには燃料が必要ですが、唯一の輸送手段である村営フェリーは週2便しかなく、しかも積載量も限られていますから、毎日ボイラーを運転させるわけにはいかず、週に3日、火曜・木曜・土曜日の夕方から2~3時間のみの営業となっています。ただでさえ訪問が難しいトカラ列島ですが、利用できるタイミングが週3日の数時間のみと限られているため、湯めぐりする者にとってはかなりハードルが高い浴場なのであります。といっても、フェリーの下り便(鹿児島発・宝島方面行き)が宝島へ入港する曜日と、浴場の開設曜日は大抵一致していますから、島へ到着した日の夕方に利用すればいいんですけどね…。



警察官(駐在さん)がいない宝島は極めて高度の信頼関係によってコミュニティーが維持されており、この浴場は開設時間であっても無人です。あたかも公民館のような外観の建物に入ると、下足場には透明アクリルでできた外来者専用の料金箱がありますので、そちらへお金を投入します。お釣りはありませんから、あらかじめフェリー内で買い物をするなどして、小銭を用意しておきましょう。


  
玄関の左側には休憩用のお座敷が広がっていました。浴室は玄関からまっすぐ伸びる通路を進んだ先の左側です。



浴室は男女別の内湯が一室ずつ。共同浴場ですから脱衣所は至ってシンプルな造り。扇風機が設置されているのは、夏の入浴ではとってもありがたいです。


 
浴室はタイル貼りで実用本位な造りです。週3日の限られた時間しかオープンしないのに、室内は手入れがとても行き届いており、とっても綺麗です。室内の左右両側に洗い場があり、一番奥で横幅いっぱいに湯船が据えられています。湯船は意外と大きく8人サイズです。洗い場と並んで水色のタイルが貼られた小さく深い空の槽が設けられているのですが、これは何を目的としているのでしょうか。


 
左右に分かれた洗い場にはシャワー付きの混合水栓が7基設置されています。
浴場は島の共有財産であるという意識が高いのでしょう、利用者によって桶やスツールなどがきちんと整理されており、おかげで外来者でも気持ち良く利用することができました。


 
浴槽上に取り付けられた蛇口からやや熱めに加温された源泉が浴槽へと注がれています。投入量はそれほど多くなく、訪問時にオーバーフローは見られませんでしたが、加温以外の加水・循環・消毒は行われていません。お湯は空気に触れて赤茶色に強く濁り、透明度は15cm程度でしょうか。浴槽や床などお湯に触れる箇所はしっかりと赤く染まっています。ナトリウム-塩化物強塩泉という泉質名や成分総計35465.2mgという数値からも想像できますが、お湯を口にしてみるととんでもなく塩辛く、そして金気の味や匂いもはっきりと確認できます。さらには僅かに油系の硫黄的な匂いも感じられました。

濃い食塩のために湯中で肌をさすると多少ギシギシが混在するもののスベスベ感が優勢に立ちますが、湯上りはかなり火照り、ベタつき、そして体力も奪われます。このため同じタイミングで浴室へ入った常連のお爺さんは、湯船に浸からずシャワーだけ浴びて帰っていってしまいました。
そんな濃いお湯でも、週に3日しか入浴できないためか、夕方18~19時頃には3人ほど続けて来館し、この温泉が島民に愛されていることを窺い知ることができました。私も体力を奪われてヘロヘロになるのを覚悟の上で、トカラ屈指の濃厚なお湯をじっくり堪能し、案の定ボディーブローを何発も食らった後のように、朦朧としながら宿へと戻りました。


宝島1号
ナトリウム-塩化物強塩泉 26.2℃ pH7.2 溶存物質35452.3mg/kg 成分総計35465.2mg/kg
Na+:11330mg(78.50mval%), K+:419.3mg(1.71mval%), Mg++:1201mg(15.74mval%), Ca++:498.0mg(3.96mval%), Fe++:8.0mg(0.05mval%),
Cl-:19040mg(90.00mval%), SO4--:2733mg(9.54mval%),

鹿児島県鹿児島郡十島村宝島東村14  地図

火・木・土曜の18:00~20:30(11月~4月は17:00~)
300円
備品類なし

私の好み:★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする