温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

アイスランド クリースヴィーク(Krysuvik)の野湯Skatalaug

2011年08月16日 | アイスランド
★今回後半に登場する野湯は、日本語サイトでは当ブログが初めて取り上げるのではないかと思います。

アイスランドに初上陸したとき、荒涼な大地のあちこちから地熱の白い蒸気が上がっているのを目にした私は、噴気を見つける度に興奮していたのですが、やがてそれがこの国では当たり前なんだと気付きはじめると、それ以降は噴気を見かけても「あ、あそこにもあるのね」程度にしか気にしなくなってしまいました。それほどこの国は地熱活動が盛んなのですが、首都レイキャヴィクの南西に位置するレイキャネス半島はその典型でして、ユーラシアプレートと北米プレートが分かれてゆくこの地は地熱の活動が非常に活発で、あちこちから白い噴気が上がっています。
レイキャネス半島には世界最大の露天風呂にしてアイスランド屈指の観光名所である「ブルーラグーン」がありますが、今回はその東側にある地熱地帯クリースヴィーク(Krýsuvík)へ行きました。まずは地熱地帯を見学してみます。


●地熱地帯セルトゥーン(Seltún)
 
未舗装の427号線を辿って南部の海岸沿いを走行。黒い溶岩の上にモスグリーンの苔が生えている不思議な地形が広がっています。その苔はあたかも絨毯のようであり、上を歩くとフワフワです。


クリースヴィークに近づくと舗装路面になりました。前方の山からは白い噴気が上がっています。

 
(地図)
界隈でも屈指の地熱地帯であるセルトゥーンに到着。車を降りると、さっそく硫黄の匂いが鼻を刺激してきました。こういうところの硫黄の匂いって、日本もアイスランドも共通なんですね。駐車場からは木道が伸びているので、その上を歩いて探索してみます。

 
あたりは荒涼とした噴気帯となっており、硫黄の匂いとともに、あちこちからフツフツと温泉が煮え滾る音が聞こえてきます。また前方の山からも濛々と白い蒸気が上がっていました。

 
木道には説明プレートが設置されています(が、細かい英語を読むのが面倒だったので、どんな内容が記されているかはわかりません)。プレートの前では灰色の泥がプクプクと泡を立てています。地獄絵に出てきそうな風景ですね。

 
ここはかつて硫黄の採掘が行われていたようで、火山性の灰色の泥が湧出しているのみならず、黄色い硫黄で覆われた鉱床もところどころで露出していました。日本と違って過保護な柵やロープや注意看板が無いため、トレイルから外れなければ、安全にかつ余計な人工物を目にすることなく、地熱地帯の様子を観察することができます。一般的に地獄谷のような場所は、噴気孔から蒸気が噴出するため、その孔の真上で湯気が立ち上りますが、ここは孔のみならず一帯の地表から万遍無く湯気が上っているようでした。

 
日本だったらこれらの源泉に引湯用の黒いホースが何本も敷設され、付近には旅館が建ち並んでしまうのでしょうが、ここではそんな事態には陥らず、自然のままの姿が保たれています。


●野湯Skátalaug



(↑画像はクリックで拡大)
さて、この付近にある温泉ファンが好きそうな或る物を見つけに行きましょう。今回の旅でお世話になった"Enjoy Iceland"にはセルトゥーンの傍に入浴可能な野湯がある(このページ)と紹介されていたのです。是非とも行ってみなくては!
車のGPSの座標をN63°54.236,W22°02.599に設定し、42号線をクレイヴァルヴァトン湖方面に向け北上して走っていると、道は途中で未舗装となり、セルトゥーンから1km程で、道路から左の荒れ地へ車の轍が伸びている箇所を発見しました。その轍をたどって、車で行けるところまで行っちゃっても良いし、スタックが不安ならば路肩の広いところに車をとめて歩いてもOK。私は後者を選択しました。↑画像で小さく車が見えていますが、そこが路肩にあたります。目的地までは私の駐車場所から100~200mくらいです。

 
一帯はフワフワの柔らかな地表に短い草が生えている光景が広がっているのですが、東の山の方へ歩いていると、画像のような小さな沢とその湧出点を発見しました。この沢は流量が少ないため、川を形成できず、途中で地面に浸みこんで消えてしまっていますが、沢の周りは草の生育具合が良好なので、もしやと思って温度を測ってみると…


34.3℃もありました。立派な温泉です。しかし湧出量が少ないので、これでは入浴できませんね。


地図
歩く方向をちょっと南に転じてさらに進んでみると、突如目の前にこのような池が出現しました。池にしてはやけに形状が整っていますね。


池の上流には土管が埋設されており、そこから水が供給されているようです。この池は明らかに人工でしょうね。今回の目的地は、まさにこの池です。これが野湯Skátalaugであります。でも池面からは湯気が立っていないぞ…。しかも底には大きな水草が育っちゃってる…。


それもそのはず、池の温度は28.5℃しかありませんでした。冷たいわけじゃないのですが、入浴にはかなり低い温度です。しかもこの時の気温は12℃でしたから、もし入ったとしても湯上りに風邪をひいちゃいそうな予感がします。

 
土管の先をたどってみると、すぐに源泉にたどり着けました。土管から10mも離れていません。湧きたてのお湯の温度は34.4℃で、この温度なら入浴しても問題ありませんが、湧出地はちょっと浅すぎて、とても体が浸かれるような状態ではありません。


そこで、土管の傍ならギリギリ30℃あるかないかの温度でしたので、土管の脇で足湯を楽しみ、それで妥協することにしました。ご覧のように大自然に囲まれたとっても壮大な野湯です。"Enjoy Iceland"の紹介ページでは湯温が34℃と記されていますが、おそらく気候や地熱のコンディションによって上下するんでしょうね。もし再訪できる機会があれば、次回は晴天で気温の上がっている日を狙いたいと思います。

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