温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

十和田大湯温泉 白山荘

2013年08月01日 | 秋田県

前回取り上げた「荒瀬の湯」のほぼ隣接しているアパート「白山荘」へお邪魔しました。既にご存知の温泉ファンもたくさんいらっしゃるかと存じますが、このアパートには入居者用の共同浴場が併設されているので、そのお風呂で一浴したかったのです。


 
玄関入った正面にある管理人室の小窓の向こうには、料金を納める小さなバスケットが置かれていますので、自分で窓を開けて150円をそこへ入れます。大湯温泉の共同浴場は2012年4月より入浴料金が30円値上げされて180円になりましたが、組合云々とは無関係の当浴場は150円のままのようです。カウンターには今時珍しいピンクの電話が置かれていますが、もしかしてこのアパートっていまだに電話は呼び出し式なのかしら?



玄関すぐのところにある階段を降りて、階下の浴室へと向かいます。浴室は男女別でして、男湯は階段下りてすぐ手前です。


 
脱衣室に入った途端、ペンキの臭いが鼻を突いてきました。どうやら棚にペンキを塗ったばかりの様子です。室内にはこの棚と籠の他には何もありません。


 
浴室も至ってシンプルでして、四角形の浴槽ひとつに、水栓が3組並んだ洗い場があるだけです。
床や浴槽は時代を感じさせる人研ぎ仕上げですが、その上からウグイス色のペンキが塗られており、かなりの部分の塗装が剥げてしまって、ウグイス色と石の色が斑模様になっていました。地味な色合いの室内にあって、浴槽縁に伏せられた真っ青なプラ桶が妙に目立っていますね。



窓下に並んだ洗い場には、鏡と石鹸置き、そして水栓(ペア)が3組取り付けられています。ペアになっている水栓の片方は本来冷たい水が出てくるはずですが、いずれの水栓からもお湯が出てきてしまいました。単に両方共お湯の配管と接続されているのか、あるいは水の配管がお湯の配管と抱き合わさっていることにより、水が温まってしまったか…。余談ですが、ここ大湯温泉では、生活用の水を得ようとして井戸を掘っても温泉が出てしまうので、水は遠くの沢から引いてこないといけない、という地元の方のお話を思い出しました。


 
浴槽は3~4人サイズ。隅っこに水栓があるのですが、それは現在使われておらず、浴室入口付近の水栓から伸びるホースよりお湯が投入されています。湯使いは加水も無い完全な掛け流しでして、ホースから吐き出されたお湯は湯船を満たした後、縁の切掛けから溢れ出て、床に削られた溝を流れて排水溝へと捨てられています。投入量自体はそれほど多くないものの、浴槽の大きさには相応かと思われ、実際に人が湯船から出た後でも溢湯が止まることはありませんでした。

お湯はほぼ無色透明ですが決して澄み切ってはおらず、微かに白く靄掛かっているように見えました。湯船のお湯を掛け湯した瞬間にタマゴ臭が鼻孔をくすぐったので、もしやと思ってホースのお湯を直接テイスティングしたところ、お湯からは微かな臭素臭を伴いながら明瞭なタマゴ臭が放たれており、芳醇なタマゴ味に薄い塩味、そして磯のような風味や何かが焦げたような風味が感じられました。分析表によれば総硫黄は0.9mg(硫化水素イオンが0.3mg、チオ硫酸イオンが0.6mg)ありますので、これが上述の硫黄感をもたらしているのでしょうけど、実感としては数値以上の硫黄を含んでいるように感じられました。体を湯船に沈めると食塩泉らしいしっとり感を伴うツルスベ感がはっきりと肌に伝わり、そこに硫黄の深みが加わってきて、実に味わい深い浴感が楽しめました。ただ加水されていない源泉そのままのお湯ゆえに、かなり熱い湯加減となっていて、長湯してこの浴感をじっくり堪能できないのが残念なところ。大湯温泉は熱いお風呂が多いですね。

十和田大湯温泉には源泉がいくつもあって、それぞれに個性があるのですが、その中でも硫黄感がはっきりと現れているお湯といえば、ここの他には「旅館岡部荘」の「大正風呂」や元旅館のお風呂などが挙げられるでしょう。「荒瀬の湯」の目と鼻の先にある浴場ながら、かなり性格の異なる源泉が楽しめる、質実剛健のお風呂でした。


ナトリウム-塩化物温泉 52.3℃ pH不明 溶存物質1.27g/kg 成分総計1.29g/kg
Na+:365.8mg(83.69mval%), Ca++:51.6mg(13.52mval%),
Cl-:582.0mg(86.88mval%), HS-:0.3mg, S2O3--:0.6mg, SO4--:67.4mg(7.41mval%), HCO3-:61.1mg(5.29mval%),
H2SiO3:84.5mg, HBO2:40.2mg,
源泉温度が高いため加水

花輪線・鹿角花輪駅より秋北バスの大湯温泉行で「大湯温泉」バス停下車、徒歩10分(850m)
(期間運行ですが鹿角花輪駅および十和田南駅から秋北バスの十和田湖行、もしくは鹿角花輪駅から十和田タクシーが運行する路線バス(といってもハイエースで運行)の十和田湖行を利用すれば、「新橋」バス停下車徒歩1~2分)
秋田県鹿角市十和田大湯字荒瀬56

8:00~21:30
150円
備品類なし

私の好み:★★★

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