温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

金ヶ崎温泉 2011年秋

2011年11月07日 | 秋田県
秋田県男鹿半島の野湯「金ヶ崎温泉」には数年前に訪問したことがあるのですが、その時は長く続いた雨天の影響か、お湯の温度が入浴できるような温度では無かったため、湯あみを断念してあえなく撤退しました。その後再アタックする機会を窺っていたのですが、先日ようやく男鹿へ行けるスケジュールが組めたので、金ヶ崎へ立ち寄ってみることにしました。


 
県道59号線を男鹿の市街から男鹿水族館方面へ向かって走行。風光明媚な海岸をひた走ります。この日は朝から気持ち良い青空が広がり、まさに野湯日和。途中の路傍から望む海岸には、金ヶ崎温泉の姿が小さく確認できます。これから目指すは右(下)画像の赤丸内に見える場所です。


 
金ヶ崎バス停の前にある空き地には4台ほど駐車可能。ここに車を止めて、歩き始めます。

 
駐車スペース右手から伸びる杣道へ。歩き始めて間もなく、足元左側に放置されているトタンの古い看板らしきものを発見。そこには「今は温泉がありません 入浴できません」と書かれていました。この道は以前から温泉入浴を目的とした人たちが踏みしめてきたのでしょう。さすがに今となっては頻繁に人通りがあるわけでもなく、夏になると藪が茂って歩きにくくなってしまい、冬は雪と風で難儀するため、春か秋がベストシーズン。

 
藪を抜けると見晴らしの良い尾根状の岬へと向かって進みます。


途中で左側を望むと、目的地がちゃんと確認できます。といってもこの画像ではわかりにくいかもしれません。

 
なだらかな道が尽きたところで、フィックスロープを頼りにしながら岩場を急降下。この道は磯釣りする太公望たちも利用するためか、ロープが新しく丈夫なものに交換されていました。

 
結構急な岩場ですが、そんなに怖いところではありません。ちょっとでも登山経験があれば、この程度なら朝飯前です。画面右(下)はロープ場の全景を写したものです。画像に写っている一番上から下まで一気に下りるわけです。軍手があると便利です。人によってはロープ無しで上り下りできるかも。なお私は帰路の登りではロープを使いませんでした。


ロープ場を下りきったら海岸を南下。辺りにはゴミが大量に漂着しています。この一帯は行政の管理から見放されているのかしら。夏ではなく、あえて秋を選んだ理由として、上述の通り杣道の藪漕ぎが面倒なことの他、これだけ汚い磯場ですと、夏には間違いなくフナムシが大発生することが挙げられます。全裸という無防備状態でフナムシの大群に包囲された時の恐怖と言ったら、大の男でも号泣すること必至。さすがに秋も深まっていたこの日、フナムシの姿は皆無でした。


磯を歩いていると、途中で不自然な入り江を発見。明らかに人工でしょう。金ヶ崎温泉への海上アクセスとしてこの入り江が使われていたのかも。50年ほど前まで金ヶ崎温泉は湯治宿として存在していましたが、さすがに断崖を上り下りて湯治へ訪れるのは不便ですから、一般的には船でアクセスしていたようです。

 
金ヶ崎温泉で唯一残っている遺構がこの浴室跡の基礎。ロープ場を下りきってから7分で到着です。基礎土台の上には丸い小さな浴槽が口を開けて待っていました。日本海側で波打ち際の露天風呂といえば、青森県深浦町の黄金崎不老不死温泉が有名ですが、こちらの方が遥かに野趣溢れていますね。

 
浴槽というか、源泉湧出孔と表現したほうが宜しいかもしれません。人ひとりが入れば一杯のちいさなもので、底の中央から気泡とともにお湯が湧きあがっています。温度を測ると34℃。海からの冷たい風が吹き続ける当地で入浴するにはちょっとぬるいのですが、たしかこの温泉は底の湧出口を掻き混ぜて、詰まりを除去して湧出の勢いを増してあげれば温度が高くなるはずです。その記憶の通りに作業してみると…

 
うぎゃー!
沈殿物が一気に舞い上がり、槽内に付着した苔みたいな腐敗物も浮遊しはじめ、お湯は俄然強く濁ってどうしようもなく汚れてしまいました。温度も37℃強止まりで大してあがらず…。近くに打ち上げられていた網やカゴの破片で浮遊物を掬ってみますが、奥の方から絶え間なくどんどん上がってくるため、ちっとも減りません。有機物が腐敗したような悪臭もあがってきます。パンドラの箱を開けちゃったのかしら。でもここまで来て入浴しないのは悔しいし、入浴して全身が汚れるのは野湯の定めですから…


ヤケクソになって入浴を決行。三脚を立てて自分撮りしちゃいました。
予想通り、湯上りには全身が汚らしい沈澱浮遊物にまみれ、槽内に触れた肌はオレンジ色に染まってしまいました。肌の着色に関してはタオルで拭えば問題なく取れますが、そのタオルに色が移ってしまい、洗濯しても汚れは落ちません。

 
お湯は丸い槽内のみならず、近くの磯の隙間からも滲み出たり、あるいはピューと小さく噴出していました。そのお湯を手ですくって口にしてみると、想像通り、金気を帯びたしょっぱい味でした。

現在金ヶ崎温泉のお湯はちょっと離れた別の源泉井戸から汲み上げられ、たざわこ芸術村の「劇団わらび座」が運営する「男鹿桜島リゾートきららか」で利用されていますから、わざわざ険しい道を辿って汚いお風呂に入らなくても、きれいで立派なお風呂で金ヶ崎温泉のお湯を堪能することができるのですが、もっとも、私のようにこのお風呂を目指す方は、多少の負傷や汚れなんて厭わないマニアばかりでしょうから、そのような御仁には却って魅力的なのかもしれませんね。


ナトリウム-塩化物温泉(野湯につき温泉分析表なし)

秋田県男鹿市戸賀加茂青砂 (地図による場所の特定は敢えて控えさせていただきます)

野湯につき備品類なし
無料


コメント (2)   この記事についてブログを書く
« 大滝温泉 湯夢湯夢の湯 | トップ | 又口温泉 見張りの湯 »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いいな~ (野暮天)
2011-11-09 18:35:19
こんばんは。
行ってきたんですね~。

いやほんと、素晴らしいフットワークです。
最後はアチカッタ?(笑)
楽しかったです (K-I)
2011-11-10 15:59:53
こんばんは。
10月下旬から11月初旬にかけて、所用があって北東北に毎週通っていたので、無理やり時間を作って温泉めぐりしてました。東北は楽しいですね。ご承知の通り、東北道は12月から半年間、白河以北が無料開放されますが、私は冬タイヤを持っていないので、恩恵にあずかれません。いや、これを機に、スタッドレスを購入してみても良いかもしれませんね(^^)

コメントを投稿