温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

今井浜温泉 舟戸の番屋

2015年03月07日 | 静岡県
 
2012年に閉館した河津町営の温泉施設「サンシップ今井浜」跡地に、新たな体験型観光施設「舟戸の番屋」が2014年10月オープンしました。海岸という立地を活かした新鮮な海産物のバーベキューをはじめ、食堂や物販コーナー、干物や塩などを自分で作る体験プログラム、そして温泉入浴など、伊豆ならではの魅力が一箇所に凝縮している、新しい観光スポットです。「サンシップ今井浜」時代の建物はすべて撤去され、その跡地にモダン和風な平屋の建物が新築されました。


 
下河津漁港に隣接しており、海を臨む抜群のロケーションです。以前の「サンシップ今井浜」は船を模した奇抜な建物で、そのサイケデリックな佇まいは周囲の風景から浮き上がっていましたが、新施設は番屋の名前に相応しい控えめな存在で、オープンしてまだ数ヶ月しか経っていないのに、早くも周囲の漁村風景と馴染んでいるように思われました。


  
台数に限りはあるものの、駐車場もしっかり用意されています。私が訪問した日は河津桜のシーズンを迎えており、河津の街には多くの観光客が押し寄せていたのですが、こちらは新しい施設でまだ知名度が低いのか、車が一台もとまっていませんでした。穴場的存在なのかもしれませんね。
建物の海側の軒下には無料の足湯が設けられており、地元の婆様達がシワシワの脚を湯に浸しながら談笑していました。ほのぼのとした良い雰囲気に、見ていたこちらも思わずにっこり。そんな婆様たちに挨拶しながら、建物の中に入って窓口で湯銭を支払います。


 
お風呂は建物からちょっと離れた岩場の上に設けられていますので、案内板が指し示す方向に従って、海へ突き出た崎の方へ階段を上がっていきます。貯湯タンクなどが隠れている木立の中を歩いてゆくと…


 
突き当たりに脱衣小屋がありました。この小屋はサンシップ今井浜時代のものを流用しているのでしょうけど、新装開業に際して木造の室内は改修されたらしく、指摘されなければ前施設の生き残りだと気づかないほど綺麗になっていました。なお脱衣室内に設置されている有料のコインロッカーの利用には何と200円も要してしまいます。もったいないので、私は貴重品を持参した袋に入れて、お風呂まで携行しました。


 
後述するように大変開放的なロケーションで、あたかも海水浴しているような環境なのですが、れっきとしたお風呂ですから水着の着用は不可。また排湯をそのまま海へ流下させているためか、石鹸やシャンプーの使用も不可となっています。



ひゃっほーっ! 素晴らしい! 絶景かな絶景かな。伊豆にはオーシャンビューの開放的な露天風呂がいくつかありますが、それらの中でもこの開放感は最上級かもしれません。


 
露天風呂は相模灘の大海原とすっかり同化していますね。ステンレスの手摺以外に視界を遮るものは無し。素晴らしい眺望です。
サンシップ時代をご存知の方なら、この露天風呂も当時のものをそのまま活用していることにお気づきかと思います。かつては上下段に分かれて2つの浴槽がありましたが、現在上段の浴槽は潰されて、お花のプランターが並ぶウッドデッキに変貌し、海に近接している下段の浴槽のみ活かされています。
スペースいっぱいに浴槽を設けるのも良いのですが、現行のように敢えて浴槽をひとつに絞り、のんびり海を眺められるようなウッドデッキを設ける配置も、開放感がより増して体得できるので、僭越ながら私としてはプラスに評価したいと思います。
なお石鹸やシャンプー類は使用不可ですが、浴槽手前には洗い場となるカランが1基設けられていますから、このお湯で入浴前にしっかり掛け湯しましょう。また「舟戸の番屋」本棟内にはシャワールーム(200円)が設けられていますから、泡立ててしっかり体を洗いたい方はそちらのご利用を。


 
磯の岩場上に据えられた石造りの浴槽は、おおよそ7人サイズ。湯口からはお湯が滔々と注がれ、浴槽手前側の切り欠けから溢れ出て、床の目皿を通じて海へと流下しています。お湯は無色透明で、ごくわずかな塩味と弱い芒硝感が得られました。以前から今井浜温泉の各施設では峰温泉の引湯を使用していますが、こちらでも町が管理する峰温泉と谷津温泉の混合泉を引いているようです。しっかり掛け流され、加温も行われていませんが、さすがに早春の海風はまだまだ冷たく、熱いお湯がちゃんと投入されているのに、外気の影響を受けて若干ぬるめの湯加減(40℃くらい)になっていました。これからの時期は暖かくなっていきますから、湯加減の問題は自然と解決されるでしょう。
分析表によれば貯湯や引湯の過程で井水を混合させているらしく、上述のような知覚は得られたものの、同じ泉質を有する近隣の他源泉と比べると、全体的に癖が無くアッサリしているように感じられました。また、お湯を口に含んだ時に弱い塩素臭が含まれていたように思われますので、放流式ですが消毒を実施しているのかもしれません。


 
お風呂から右手の遠方にぼんやり見える海岸は下田の白浜方面かな。空気が澄んでいれば伊豆大島が眺望できるはずですが、春霞のためか晴れていたのに視界が悪く、それらしき島影は全く視認できず…。でもこの絶景と開放感を独り占めしながらの入浴は、私の貧相なボキャブラリーでは表現できないほど、大変ブリリアントな体験でした。


 
お風呂あがりは建物に戻って館内を物色。物販コーナーでは伊豆名産の柑橘類をはじめとした地元の農産物、海苔や干物といった海産物等が並べられている他、生け簀では伊勢海老とサザエの姿も見られました(画像では泡に隠れてほとんどわかりませんが…)。鮮魚として購入できる他、この施設のアピールポイントであるバーベキューでもいただくことができるようです。


 
館内には食堂も併設されていますので、風呂あがりにここでランチをいただくことに。魚介のメニューが中心で、サザエ丼や伊勢海老ラーメンが売りのようですが、この時は「磯魚の煮付け定食」を注文しました。もちろん魚は地元見高港で揚がったもので、この日の磯魚はシクロ(メジナのこと)でした。冬のメジナは生臭さが無く、淡白で癖が少ないので、いろんな料理に使えるんですよね。甘辛に調理されたメジナはとても美味でした。

「サンシップ今井浜」時代は内湯や水着着用の混浴など複数の浴槽がありましたが、現在は男女別の露天が1槽ずつのみで、入浴施設としては規模が縮小された感があります。しかし伊豆という立地にあってこれだけの絶景露天風呂でありながら、300円という入浴料金は破格の安さであり、しかもお湯はしっかり掛け流されてその質もまずまずですから、利用価値は非常に高いのではないかと思われます。まだ知名度が低いので、あまり混雑していないのも嬉しい点。個人的にレコメンドしたい伊豆の穴場的施設でした。


混合泉(浜配湯所内浜混合貯湯槽)(※)
ナトリウム-塩化物温泉 62.1℃ pH8.0 溶存物質1.070g/kg 成分総計1.077g/kg
Na+:279.4mg(80.41mval%), Ca++:45.2mg(14.96mval%),
Cl-:401.7mg(74.93mval%), SO4--:134.5mg(18.52mval%), HCO3-:60.1mg(6.48mval%),
H2SiO3:122.9mg,
(※)分析表に以下のような但書あり
峰温泉(峰1号、2号、20号、28号)は、各源泉から混合配湯槽までの間に合計500L/minの井水を混合し、谷津温泉(谷津6号、38号)は各源泉から混合配湯槽までの間に合計200L/minの井水を混合している。

伊豆急・今井浜海岸駅より徒歩6~7分(500m)
静岡県賀茂郡河津町見高358-2  地図
0558-32-0432
ホームページ

露天風呂の営業時間10:00~16:00(施設の営業時間は9:00~18:00(夏季は19:00まで))
300円
ロッカー有料(200円)、ドライヤーなし、石鹸やシャンプーは使用不可

私の好み:★★★

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