温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯の児温泉 中村温泉寿湯

2016年06月18日 | 熊本県

前回記事に引き続き湯の児温泉の日帰り入浴専門施設を取り上げます。今回は家族湯を専門とする「中村温泉(寿湯)」です。
利用の際には、まず温泉街の通りに面している食料品店「中村商店」を訪い、アンニュイな感じの方に料金を支払って受付を済ませます。なお事前予約も可能のようです。


 

受付後は商店から数十メートル離れたところにある湯屋へと向かいます。湯屋の脇にはポンプ小屋や貯湯タンクが立っていますから、お風呂のお湯はここから供給されているのでしょう。湯屋には2つの出入口があり、いずれも家族湯として使うことができますが、出入口は湯屋の中心ではなく、かなり右側に寄って設けられていますから、その状況から察するに右側の方が狭いことが予想されますね。


●小浴室

ひとまず右側の浴室から見てゆくことにします。


 
右側のドアを開けると、いきなり及び腰になりそうな光景が目に飛び込んできました。ここって他所者が入って大丈夫なの? 良い表現をすれば家庭的、そうでない表現だと雑然、そんな雰囲気の小部屋なのです。4畳半ほどの室内にはソファーや棚などの家具がが所狭しと置かれ、その上にタオルなどいろんな私物が放置されているではありませんか。しかも先ほどまで近所のおじいさんが利用していたため、その爺さんの湿布の臭いが充満しています。


 
その小部屋を抜けて浴室のドアを開けると、そこにはやはり家庭の浴室みたいな光景が広がっていました。スカイブルーを基調としたタイル張りの浴室にはシャワーが1基と、1.5m×3mほどの浴槽が設けられています。そして腰掛けや桶が複数備え付けられているのですが、それぞれがバラバラな大きさであるため、整頓することができずに洗い場へ放置されるがまま。ハンドレールには何枚ものアカスリタオルがぶら下がっているのですが、これもどれが誰のものだかさっぱりわからない状況です。そんなお風呂ですが、お湯は絶え間なく供給されており、上向きの湯口からトプトプと音を響かせながら注がれ、縁からしっかりと溢れ出ていました。


●大浴室

続いて左側の浴室も覗いてみることにしましょう。


 
家族湯ということは、貸切利用になるわけですから、入室の際はドア脇にぶらさがっている札を裏返しておき、利用中である旨を知らせます。


 

明らかにこちらの方が床面積は広いのですが、室内の雑然さは右側と互角の勝負。ソファーやベビーベッドなどいろんな家具にタオルが幾重にもかけられているのですが、いずれもシワシワでゴワゴワに固くなっており、しかもめくれ上がったままの箇所もあって、その様子を目にすると、泥棒に漁られた後なんじゃないかと警戒したくなります。部屋の隅にはホコリもたまっており、古いままのタオルやホコリの類から何かの胞子が飛んでいないかと心配にもなります。
その一方、室内にはドライヤーが備え付けられているばかりか、なんとエアコンまで完備されているので、湯上がり時のクールダウン対策はバッチリです。尤もエアコンを運転させたら怪しいホコリや胞子などが部屋中に蔓延するんじゃないかと心配を抱きたくなりますが、もし心配なら運転させなければ良いわけで、私は運転させましたけど、いまのところは特に呼吸器系の疾患を患ったようなことはありません。


 
右側のお風呂は水色基調でしたが、こちらの浴室はピンク基調。一人で貸切利用させていただくのが申し訳なくなっちゃうほど大きな浴槽があり、浴室両端にシャワーが1基ずつ(計2基)取り付けられています。画像を見る限りではちゃんと整頓されているように見えますが、それもそのはず、ゴチャゴチャだった浴室を、入浴に際して私が片付けたのでした。


 
洗い場のシャワーから出てくるお湯は温泉です。2つあるカランのうち、一つはシャワーとスパウトの両方を使えますが、もうひとつはシャワーのみです。


 

淡いピンク色タイル張りの浴槽は1.5m×4.5mはありそうな大きなもので、中小規模の旅館でしたら大浴場と名乗ってもおかしくないほどです。バルブ付きの湯口は小さな浴室と同じく上を向いており、しっかりした量のお湯を間断なく浴槽へ注いでいました。そして桶が積み重ねられている湯尻の切り欠けより排湯されていました。湯使いは完全放流式。浴場としての衛生状態には疑問を抱かざるを得ませんが、温泉のお湯はフレッシュそのものでとても綺麗です。
見た目は無色透明でクリアに透き通っており、甘塩味と石灰の味が感じられます。ちなみに、匂いはあまり嗅ぎとれなかったかも。湯口では44℃ほどの湯温ですが、投入量が多いためか湯船でもさほど下がらず、43~44℃ほどというちょっと熱めの湯加減になっていました。一般的に、湯の児温泉のお湯は塩気の他に石灰の析出がうっすらと現れることがありますが、こちらのお風呂ではそれらしきものが見られず、これに関連するのか、土類的なフィーリングが薄い代わりに食塩泉らしさが前面に出ており、引っかかる浴感は弱いものの、ツルスベ感ははっきりと肌に伝わりました。当地の他源泉よりカルシウムが少ないのかもしれませんね。
ちょっと熱めで火照りやすいお湯ですから、長い時間お湯に浸ることはできませんが、いざ湯船から出ようと思っても、気持ちよさに後ろ髪が引かれてしまい、制限時間ギリギリまで湯船を入ったり出たりを繰り返し、着替える時には冷房を最強にして体をクールダウンさせたのでした。
潔癖性の方にはちょっと厳しいかもしれませんが、B級施設に心惹かれる方にはオススメです。


中村温泉泉源
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 46.8℃ pH7.1 170L/min(掘削動力揚湯) 溶存物質1.936g/kg 成分総計2.007g/kg
Na+:477.0mg(80.57mval%), Mg++:16.1mg, Ca++:58.2mg(11.28mval%),
Cl-:345.7mg(38.69mval%), Br-:0.6mg, SO4--:11.4mg, HCO3-:915.2mg(59.53mval%),
H2SiO3:65.1mg, HBO2:16.3mg, CO2:70.6mg,
(平成19年12月22日)

熊本県水俣市大迫湯の児1213  地図
0966-63-2278(中村商店)

10:00~22:00(一応このような時間設定になっていますが、実際はかなり適当です)
500円(50分以内)

私の好み:★★+0.5


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