温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

関金温泉 関の湯共同温泉

2011年02月18日 | 鳥取県
 
大山の東麓に位置する関金温泉は1200年の歴史を有しているのだそうです。倉吉からのバスを降りると、町並みからは昔ながらの宿場の面影が残る長閑な風情が漂ってきました。


関金温泉では「温清楼」に入ってみたかったのですが、残念なことに最近休業してしまったので、その奥にひっそり佇む共同浴場「関の湯」で湯浴みすることにしました。温泉街の谷戸の一番奥に位置していますが、国道から現地へ向かう道沿いには随所に「関の湯」の幟が立っているので道に迷うことはありませんでした。

 
途中には「延命茶屋」と名づけられた休憩所があり、茶屋という名前のクセに何にも飲食できないのですが、そのかわり足湯が設けられています。

 
「関の湯」一帯は谷頭のようになっているのですが、奥へ行くに従いどんどん寂しくなってゆき、「温清楼」を含め少なくとも2~3軒の旅館が廃業していました。ご多分に漏れず当地の温泉も斜陽まっしぐらなのでしょうか。

 
関の湯の向かいには真言宗の古刹「大滝山地蔵院」があります。関金温泉は行基が開湯したと伝えられていますが(弘法大師説もあり)、この地蔵院も行基が開山したそうなので、当地においてお寺と温泉は密接に関連していたのでしょう。温泉旅館は参詣客にとって門前宿として機能していたのかもしれません。


さて「関の湯」へ伺いましょう。
玄関入って正面の受付で料金を支払います。玄関の左側が浴室で、受付側が女湯、手前側が男湯。


全体的にこじんまりとしており、脱衣所の造りも至って質素で、必要最低限のものしかありません。脱衣所に洗面台は無く、なぜか浴室内に設けられていました。ただしカランはありません。

 
浴槽は木造で、2人入ればいっぱいになってしまいそうな小さなものです。湯船は女湯との境が違い格子になっており、お湯は向こう側とつながっていますが、互い違いになっている格子の重複部分が長いために、向こう側の様子は全く見えないようになっています。

お湯は無色透明。湯口に「飲泉可」と書かれているので飲んでみると、ほとんど無味無臭でアッサリしており、すっきり軽くて飲みやすい口当たりでした。強いて言うならば喉越しに微かなほろ苦さが残る程度でしょうか。

湯温は40℃くらい、スベスベ気持ちよい浴感でとっても柔らかく、いつまでも入っていたくなる上品なお湯です。後を引くのでなかなか出られませんでした。湯上りもさっぱり爽快ですが、じわじわと体の内部から温まっているのがわかります。温泉地の共同浴場らしく、しっかりお湯が掛け流されているのも嬉しいところです。


単純弱放射能温泉 39.5℃ pH7.8 17.9L/min 溶存物質0.432g/kg 成分総計0.436g/kg
(衛生管理のため消毒剤を注入、冬季は加温)

倉吉駅より日本交通バス・関金線で関金温泉下車(約35分)、バス停より徒歩5分(約550m)
鳥取県倉吉市関金町関金宿1227-1  地図
0858-45-3186


6:30~21:00(10月~3月は7:00~21:00) 毎月1日・15日休業
200円
備品類なし

私の好み:★★
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岩井温泉 岩井屋

2011年02月18日 | 鳥取県

岩井温泉の中心部に位置する「日本秘湯を守る会」会員の旅館です。宿泊だといいお値段するので、日帰り入浴をお願いしてきました。

 
老舗らしい上品な館内には掛け軸や骨董のお皿が陳列され、骨董屋さんが見たら「いい仕事してるねぇ」と唸りそうな調度品も置かれています。

 
庭園を見ながら歩けるガラス張りの浴室へのアプローチも素敵。


お風呂は足元湧出の内湯「長寿の湯」、露天「背戸の湯」、内湯「祝いの湯」の3つに分かれており、長寿の湯と背戸の湯はセットになっているらしいのですが、これらの浴室は男女日替わりになっており、運悪くこの日の男湯は「祝いの湯」のみだったので、こちらのお宿が誇るお風呂には入ることが出来ませんでした。従いまして、ここでは「祝いの湯」に関することだけを書かせていただきます。


脱衣所に入るとお香のいい香りが。畳敷きなので裸足でも楽です。どちらかといえば狭い空間ですが、共同浴場のように一度に大人数が使うことはあまりないでしょうから、必要最低限の広さに留めたのかもしれません。さすがに旅館だけあって、脱衣所内のアメニティーは充実しています。


浴室でも御香が焚かれていていい香りが漂っていました。木材と石を多用したシックな和風の造りで、一番奥に秘湯を守る会の提灯がぶら下がっています。床の石もただ敷かれているのではなく、歩くエリアとそうでないエリアを分けて違う石材を配しているところも庭園を思わせてくれます。和風一辺倒かと思いきや、画像左奥に写っている明り採りの窓にはステンドグラスが使われていて、明治や大正期のような和洋折衷っぽさをさりげなく醸し出していました。
室内には竹の湯口から湯船へ注がれるお湯がチョロチョロと立てる音が響くのみで、上品な静寂に支配されていましたが…


いきなり入口付近で「カタン」といい音が響くではありませんか。振り返ると、そこには鹿おどしが置かれていました。ちょろちょろとお湯が鹿おどしの筒に注がれています。


洗い場にはシャワー付き混合栓が3基設置され、カランから出てくるお湯は源泉使用です。

 
浴槽は石板貼り。浴槽の縁から静かながらシッカリとオーバーフローしています。湯口のまわりだけ深くなっており、身長165cmの私ですとへそ上まで沈んでしまうほどです。その部分は底がスノコ敷きになっており、たまに気泡がプクプクと上がってくるのですが、これって足元湧出だったりするんでしょうか(そうだったら嬉しいな)。

お湯はほぼ無色透明ですがやや黄色っぽいようにも見えます。湯口のお湯は飲泉可なので、喜んで口に含んでみると、金気味+石膏味+微芒硝味が感じられるのですが、石膏味にせよ芒硝味にせよ、東日本の硫酸塩泉とはやや毛色が異なるような感じです。湯口で嗅ぐとタマゴらしき匂いと金気の匂いが感じられました。なめらかさの中に引っかかりが混在するような浴感(サラサラとキシキシの混在と表現することもできそう)。黄土色の浮遊物がちらほら見受けられました。ちょうど良い湯加減に調整されているので、いつまでも浸かっていたくなります。後を引く素晴らしいお湯です。

ゆかむり温泉と同じ源泉(第一泉源)のはずですが、こちらの方がはるかにお湯の持つ個性が強く伝わってきました。湯使いに縁るものなんでしょうか、お客さんの出入りが少ないのが良い方向に働いているのでしょうか、あるいは私が雰囲気に呑まれちゃっているだけなんでしょうか。とにもかくにも、お湯にも内部の造りにもうっとりできる、素敵なお風呂でした。


第一泉源
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 47.6℃ pH7.3 797L/min 溶存物質1.729g/kg 成分総計1.735g/kg

JR山陰本線・岩美駅(あるいは鳥取駅)より日本交通バスの岩美・岩井線(蕪島または長谷橋行)で岩井温泉下車、すぐ
鳥取県岩美郡岩美町岩井544  地図
0857-72-1525
ホームページ

日帰り入浴12:00~19:30
750円
貴重品は帳場預かり、シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★


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