日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
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今日の朝日朝刊のトップで、食料高・温暖化で遺伝子組み換えへ傾倒、という記事がある。
推進派のアメリカ、イギリスの推進を躍起になってしてる一方、けっこうきなくさいことが世界で起こっているようである。
一ヶ月タイミングは遅れたが、今日の新聞記事をきっかけにぜひ紹介したいと思う。


その動きを取り上げたのが、NHK BSで6月20日に放送されたシリーズ、 地球は訴える・大地
 「アグリビジネスの巨人 “モンサント”の世界戦略」(前・後編)である。

フランスの公共教育放送ARTEが中心となり、ドイツWDR、カナダNFBが出資して制作されたドキュメンタリーなのだが、戦慄の内容になっている。
 
そもそもどのようにして、遺伝子組み換え作物が世界的に流通するようになったのか。
アメリカ食品医薬局FDAが栽培植物の遺伝子組み換えを最初に認可したプロセスを調べると、FDAなど連邦政府機関とモンサント社との間には不透明な人事交流があり米政府の判断に影響を与えたこと、さらにモンサント社のデータが不十分であると指摘した研究者が次々に更迭されてきた事実(!)を明らかにしている。
もともとPCB(!)や、ベトナム戦争で使われた枯葉剤の製造メーカーでもあるモンサント社の影に迫っている。
ここまでが前編。

後半では、一転して世界の農業現場から、モンサント社の暗い影をあぶり出す。
まずは、世界第3位の綿花生産国インド。
モンサント社が1999年に現地の種苗会社を買収し、国の種子流通をほぼ独占し、遺伝子組み替え品種の販売を始めた。価格は約4倍もの値段となり、農民を苦しめる一方、その組み換え品種が特定の害虫にしか効果がなかったために、2006年別の害虫による被害が大打撃を与えたというエピソード。
多くの農家は借金に苦しみ、ここ2、3年、年間500人以上の自殺者を出しているとのこと。

次にメキシコへ。
もともとメキシコはトウモロコシの原産国。
多種多様な種子の宝庫として知られるメキシコでは、認可されていないはずの遺伝子組み換え種子が農地に入り込み、奇形のトウモロコシが見受けられるようになっている。
この結果、太古から受け継がれてきた貴重な原種が壊滅するという農地も出ている。

また怖いことに、カリフォルニア州の研究者が「世界各地の伝統農業が破壊される」という懸念を発表したところ、偽科学者による反発のメールが大量に出回り、発信者はダメージを被った。
ところが、その出元をたどったところモンサントが発信者であることが判明する。

アメリカでも生産農家に脅威が迫っている。
一度契約してモンサント社の品種を使うと、その契約に支配されてしまう農民の姿も取り上げている。

という具合で、「遺伝子組み換え問題」を語る前に観るべき必見のドキュメンタリーであると断言できる。
重い内容だが、考えさせられる内容があまりに多く含まれている。
再放送はないのだろうか?(→NHKさん是非!)

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