
建物の外観を、姿かたちではなく、「質感」として捉えることに関心をもっています。
そのキッカケは、展覧会でジョルジョ・モランディの絵を見たことでした。
モランディは静謐な画風の静物画が有名ですが、風景画も多く、それらは写実的ではなく、印象としての質感のみをキャンパスに描いたような雰囲気です。
輪郭が判然としないけれども、そこにある立体の凹凸がつくりだすリズムや陰影、そして質感。たったそれだけで、街並みの風景がかたちづくられたら。

そんなイメージを脳裏に浮かべながらできあがった、ひとつの住宅。
黄土色の連続した街並みの一断片が、ここに残されている。
そこには古くから残る木が寄り添い、壁に樹影を落としている。
そんなイメージでできあがった朴訥とした家の外観は、どこか懐かしく、そして安心感があります。
どこか、ロマネスクの教会堂のような佇まいになりました。
