
ぼくが大学1年生のときに、必修科目で物理学の講座がありました。
教授は大槻義彦先生。当時、「火の玉教授」というニックネームでよくテレビにも出演されていた有名人でした。
テレビのなかの先生と同じように、授業も面白くて物理学に関心がわく内容でした。
ですが大槻先生にまつわるウワサがありました。
試験が難しくてほとんどの生徒が落第する。でもオリンピックイヤーには恩赦で試験が簡単になるから、辛うじて卒業できる、はず。
んん~・・・ホントか?
オリンピックは2年後。今年は落第なのか・・・?
そして迎えた前期試験。
問題は全2問。
Q1 天にツバする、という慣用句があるが、天にツバしても自分にツバが落ちてこないようにするための、ツバの初速度を求めよ。
Q2 浦島太郎がカメに乗って竜宮城に行って戻ってきたとき、おじいさんにならないようにするための、カメの速度を求めよ。
こんなの、わかるわけないでしょー となり、結果は当然の0点。
この問題、相対性理論を用いれば解けるといいます。そんなことを講義で解説していただいたのでした。
ツバもカメも、信じられないぐらの猛スピードだと、理論上は成り立つのです。そんなシーンを想像すると笑っちゃいますが・・・
試験は0点だったけど、難解な物理学は、身近なところに潜んでいるという楽しみを教えていただいたのでした。
今年はあきらめるか。そう思いながら迎えた後期試験。
あれ、簡単じゃん・・・?
前期の0点を挽回するような点数を取れて、なんとか単位取得。
気がつけば、その年は冬季オリンピックの年だったのでした。ヤレヤレ恩赦だったか。
大槻義彦先生は、物理学で解明できないもの、科学で証明できないものは、すべてデマである。というような信念を持っておられたようです。
ですが、真正な宗教は別だ、と明言されました。
実体が存在せず、科学的に説明不可能だとしても、人間の心の支えになるものは、科学を超えた存在であると。
上の写真は、ルネサンスの画家ジョットが描いた宗教画。
人の心に直に触れてくるもの。
科学の一方で、人文学もまた、深遠な世界だなと思います。
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