旗竿地の魅惑

2021-06-06 23:38:20 | 月見台の家



建築デザインの世界でよく使われる言葉のなかに、「シークエンス」というものがあります。
歩み進めるごとに、目の前の場面が変化していく、という主旨の言葉です。

「月見台の家」は旗竿地に建っています。
建物の広さは全部で30坪に満たない小住宅ですが、道路から玄関に至るまでに旗竿状の通路を通ることになります。

玄関までの道のりをなるべくショートカットするのではなく、なるべく長くとり、変化に富むものにしましょう。
そう、つまり「シークエンス」を活かしたアプローチをつくりましょう。
そんな話をしながら玄関までのアプローチ計画を考えました。

それから10年。大きく育った樹木越しに通路やパーゴラがリズミカルに見え隠れし、奥へ奥へと誘われるような魅力的な雰囲気に。
通路の床の舗装は、工事で設置した部分もあれば、施主が自らレンガを敷き詰めてつくった部分もあり。
その合間を造園家による植栽と下草が茂っています。



いろいろな人の手が関わって共同作業でできたアプローチは、時の流れを味方につけてしっくりと馴染み調和しています。
春にはパーゴラ廻りのモッコウバラの花が華やかに繁茂し、秋にはモミジの紅葉のトンネルを抜けていきます。
今ぐらいの季節は、ジューンベリーの実がいい具合に色づいて、きっとそれを目当てに鳥がやってきているはず。

小さな家に、「シークエンス」は広がりと奥行きをもたらしてくれます。

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