
4月ですね。ぼくが大学を卒業して企業に就職したのは1999年。建築デザインの潮流にもなんとなく世紀末感が表れていた頃だったと思います。
ぼくが就職したのは組織設計事務所とよばれる大手の設計事務所で、大規模なビルや公共建築などの設計を手掛ける会社でした。
就職してしばらくは新人研修があって、十数名の新入社員のメンバーと過ごすのはなかなか楽しい時間でした。
昼間に会社の重役のレクチャーがあり、社訓についての話もありました。
SPEED, SENSE,・・・あともうひとつ何か の頭文字をとって「3S スリーエス」を意識するように、という話がありました。
研修後、夜に新人メンバーで語らっているときに、誰かが「そうなんですか!すみません!!すぐやります!!!」のスリーエスなんじゃないのーなんて茶化して、みんな大笑い。
そんなことも楽しい思い出です。
それから20年以上経ち、今では会社の中核として奮闘しているメンバーもいるし、会社を去りそれぞれの道に進んだメンバーもいます。
ぼくは、会社の雰囲気はとても好きだったけれども、小さな建築がもつ魅力に惹かれ続け、ここでは成し遂げることができないと覚悟を決めて会社を出たのでした。
その後、小さな建築、すなわち住宅を造り続けてきたことには、ひとつ筋を通したいという思いもありました。
写真は、そんな会社員時代に描いていたスケッチや本です。
「沈黙の世界」だなんて、ずいぶんと内向的な本を読んでいたなあと思いますが、20代に繰り返し読んで影響を受けました。
スケッチはある住宅に花壇を造るとしたら、というイメージで描いたもの。ビルの設計に携わりながら、花壇だなんて(笑)
書いてある文字は、この本に書いてあった文章からの引用でした。
LINGUA FUNDAMENTUM SANCTI SILENTII
言葉は聖なる沈黙にもとづく
そんな言葉に啓発されるような建築や空間への憧れを胸いっぱいに抱えて、過ごしていた時期だったなあと思い返します。
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