今年、岐阜県美術館でやなせたかし展があり、それを鑑賞する機会がありました。そこで私が感じたのは、やなせたかしさんは、「ことば」の人だったということです。
もちろん、「絵」の人でもあるのですが、それ以上に、やなせさんの「ことば」が私のこころの中に、ずしんと入ってきました。
アンパンマンは正義のヒーローです。でも、やなせたかしさんは、アンチヒーローとしてアンパンマンを描きたかった。
戦争を経て、昨日までの正義がいっぺんに逆転してしまう様を体験し、唯一逆転しない正義は「献身と愛」だけだという想いを、アンパンマンに込めたのです。
ご存知のように、アンパンマンは困っているひとに自らの顔を差し出します。
初期のアンパンマンは、今とずいぶん作風も絵も違います。困っている男の子に自分の顔をあげ、顔なしのまま空を飛んでいくのが最後のシーンだったりします。すぐに顔を焼いてくれるジャムおじさんもいません。
「ほんとうの正義というものは、けっしてかっこうのいいものではないし、そして、そのためにかならず自分も深く傷つくものです」
絵本のあとがきの言葉です。
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