おにゆりの苑

俳句と俳画とエッセー

お 水 取 り

2011-03-12 08:10:45 | Weblog

二月中旬に申し込んでをいたバスツアー「結城神社のしだれ梅と奈良、春日大社東大寺の、お水取り」に行く日が来た。
 三月も九日と言うのにめっぽう寒い。「おしゃれをしてこなくて良いから温かくしておいで」とメールして置いたのに、二人の孫娘は言い合わせてか黒のロング靴下の可愛い格好をしてきた。
 上着は私も共にファーの衿の冬装束である。
集合場所の名駅西の噴水の所を「お父さんはねここで小学校二年生まで育ったのよ、新幹線が出来るからと立ち退きになってしまってね」と話すと興味深く聞いていた。
 バスが出発し、関のサービスエリアで思い思いの昼食の弁当を買った。
 津の結城神社では各々に名前がついた二百五十本の梅が咲き誇り、白やピンクのしだれ梅も本当に美しい。春の陽射しがさんさんと降り注いで梅の香りに包まれた散策は旅行客をおおいに楽しませた。
 重いカメラを持ってきて正解だった。下の孫が報道カメラマンよろしくシャッターを押し、携えていてくれたからである。
 バスは名阪自動車道の奈良への登坂斜線に入り天気予報通りだんだん寒くなって行った。杉の樹林が多くて花粉症の下の孫はさかんに目や鼻を気にしていた。
 春日大社の駐車場につき、
足の早いガイドに伴われて鹿苑を通り鳥居をくぐり立派な社に入ると、上の孫はとりたての車の免許の安全運転の祈願をしていた。
 若草山の前の「永楽」にひとまず入り夕食には間があるので、男性のガイドが二月堂の下見に一行を連れて行った。
 若草山の山焼きは終わっていて、黒い焼け跡の稜線がそれを物語っていた。鹿が沢山いて寄ってくるのだが無表情なのがやるせない。
 四十五段の石段を登り本堂やら大松明やそれの通る廊下の欄干を見て周った。ご利益の火の粉を被ろうと場所取りをしている善男女も沢山いた。
 「永楽」に戻り夕食をして土産物の手配をしてから本命のお水取りを観に出かけた。千二百六十回も続いているというこのお参りは日に何回もお水を捧げるところからついた呼び名と言う事である。
 拝観者は刻刻と増えて四時半から七時までも立って待つ足のつらさと寒さは、殊の外で孫はホカロンを買いに走っていた。
 七時になって火の祭典が始まると何万人もの観衆と共に、大松明が一本ずつ間断なく火の粉を夜空に乱舞して走り、十本が燃え尽きる壮観さを眺めた。
 カメラは夜景モードにしたらしいがフラッシュをたかないでとのお達しなので、どんなふうに撮れたのかカードを孫に持たせてやったので私は未だ見ていない。
 イベントは待つ間が華で期待が大きいほど終わってみれば、これだけのことかと思うものの百聞は一見に如かず、帰りに雪が降りしきっていた所もあったが、大学卒業する孫と大学入学の孫との三人で一緒に行けたのは良かったと十一時過ぎに帰宅した。
 
  俳句 大和路を修二会に詣る旅衣
      梅が香にそぞろ歩きの京言葉

コメント (2)
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