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衆議院議員 おおにし健介

「大地の咆哮」

2006年11月11日 | 書評
「大地の咆哮-元上海総領事が見た中国」 杉本信行著、PHP研究所刊

現代中国の実情を平易に網羅した必読の著です。帯の「岡本行夫氏激賞!」もあながち大げさではないと思いました。
よく言われる都市部と農村部の格差の問題はもちろん、中国における水不足の深刻さというのは私には新しい発見でした。
また、私の訪中歴は、上海、蘇州への観光旅行のみですが、上海で見て私が圧倒された超高層ビル群についても、裏には実需と供給の乖離、メンテナンス上の不安等があり、まさに砂上の楼閣のような脆さを抱えたものであることなどは目から鱗の事実でした。

著者は、外務省のいわゆるチャイナスクールの一員として上海総領事にまで上りつめた方です。全編を通して、中国への深い愛情と反対に厳しい目が感じられそのことがこの本を他に類を見ない出来栄えにしていると感じました。
私は、これこそ外交官のあるべき姿だと思います。一つの国を知れば知るほど、その国への愛着も深まると同時に、いやな部分もよく見えてくるはずです。
チャイナスクール=媚中派という批判がありますが、中国の立場に対する理解と同時に、好きな国であるからこそ厳しい目を注ぐことも求められるのだと思います。

チャイナスクールの弊害が指摘されることが多いのですが、私が外務省で感じたのはむしろ逆でした。私の親しくお付き合いをさせてもらったコリアンスクールと呼ばれる朝鮮語選択のノンキャリアの多くはその活躍の場が限定され、対北朝鮮政策や日韓関係の主要な部分をハングルのできない、また朝鮮民族の思考様式の特性等に通じていない非韓国語のキャリアが担っているのには少なからず疑問を感じました。

杉本元上海総領事は自らの余命がいくばくもないというのを知った上で本書を書き上げました。その点、たしかに、なかなか現役の外交官ではいいにくいようなことも書かれています。

しかし、私は地域の専門家として外交官はもっと立場を離れて忌憚のない意見を述べるべきだと思います。杉本元総領事の遺志を引き継ぐ外交官がどんどんと現れることを期待したいと思います。



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