少しだけ One for All

公的病院の勤務医です。新型コロナウイルスをテーマの中心として、医療現場から率直に綴りたいと思います。

消えた第1波  ---戦いの歩み 3 ---

2021-11-18 23:19:05 | 日記

 
 コロナの新規感染者数の波は、日本では第5波までカウントされました。第1波は2020年4月11日がピークだった波で、このときは4月7日に初めての緊急事態宣言が出ました(5月25日まで)。第1波での感染者は17773名で、死亡者は931名でした。
 
 でも当時、この4月7日をピークとした第1波は、「第2波」と呼ばれていました。(思い出した方も?)2020年2月に、春節の休暇とともに大量の中国人旅行客が日本になだれ込んできており、それによる感染者の発生と広がりを「第1波」と称し、2020年3月以降に早々にロックダウンとなったヨーロッパからの帰国者や旅行者による感染者の広がり、それを「第2波」と呼んでいました。
 実際に多くの国で、はじめの中国人の行き来だけで大きな第1波が発生していました。日本でもそうなると思われていたところが、日本では、春節の影響では、思ったほど感染者数は増えませんでした。そのためか、2020年2月の感染者数は思ったより少なくすみ、いつの間にか当初の「第1波」は認識されなくなり、いつの間にか、当初の「第2波」だったものを第1波と称するようになっていました。
  
 言ってみれば、当初確実に発生すると予想されていた第1波は、日本では発生することがありませんでした。中国からの行き来だけでロックダウンに至った国は多々あり、それが各国の第1波ですが、日本はその第1波はありませんでした。
 不思議です。ただの偶然でしょうか?
  
 そもそも、初めのころ、2020年2月のころは、新型コロナウイルスは、日本で感染が爆発的に広がる、と欧米では考えられていました。新型コロナウイルスは、生体のACE受容体を介して感染するとされていて、そのACE受容体を日本人がとくに多く持っているとされていたためです。さらに加えて欧米では、これはアジア人の病気で、欧米人には問題にならない感染症だ、とも思われていたようです。
 この当時、「東京でオリンピックができなかったら、ロンドンで代わりにやってやるから安心して!」という英国人のツイートが話題になったのを憶えている人もいるのではないでしょうか。あれは彼らの当時の新型コロナウイルスへの認識に基づいた正直なツイートだったのです。現実は皮肉なことに欧米で感染爆発は起こり、ロンドンはロックダウンされ、二度と同じようなことは言われなくなりました。
 なぜ日本では、各国のように、中国人の行き来による第1波がおきなかったのでしょう?前回の「WHOの役割とは? 1〜2」で、WHOのように大量検査をしなかったことが感染の広がりを生まなかったと書きました。でも、言うのは易しで、検査しない、というのは実は大変なことです。検査しないでコントロールしようというのですから、実はより高等な、ある種の別のエネルギーが大量に必要です。検査しない分、国民のみなさんも大変だったかもしれませんが、現場も大変でした。言ってみれば、いつも見えない敵に囲まれている気分の中で、どこから飛んでくるかわからない刃に、始終備えていなければなりませんでした。
 
 当初の第1波のとき、2020年2月のこと、実際にどういうことが起きて、医療現場がつくられていったか、自分の周りのことから思い出して書いておきたいと思います。その中に、この第1波がなくなったことや、日本で2020年の間に感染爆発が起きなかったことなどのヒントが隠れているのが見えたら幸いだと思います。あのころの動きを、医療現場を振り返っておきたいと思います。へえ、そんなことがあったんだ、とかって思ってもらえたら、それだけで幸せです。
 
 続きます。

 (閑話休題)
 2020年2月の春節の休暇からの当初の第1波。思えばこのとき、大陸からの旅行客にマスクとアルコールが買い占められ、日本中からマスクとアルコールがなくなりました。なんと医療現場からもなくなり、使い回しをしないといけなくもなりました。危機感のない自治体は、交流だとか、困っている国を助ける、とかと言って、地元で必要なのに、さらにマスクやアルコールを中国に送っていたりしていました。マスクの生産のほとんどが中国でされており、一党独裁国家であるため、生産物資の国内配分のコントロールが容易な国に、せっせと送っているのはばかばかしい光景でした。それを一部のマスコミは安易にほめそやして報道していました。しかもあの国は、送られたマスクに対しては、お返しをしてみせたりして親善を装いましたが、その実、本当は日本に出荷されるべきマスク(日本企業が中国工場で作ったマスク)は止めていました。裏で、日本への輸出の飛行機を止めて、マスクビジネスをしていました。そうしたマスクビジネスは世界相手に展開され、中国の空港でマスクの争奪戦が起き(起こさせ?)、フランスが奪い勝ったマスクを載せた飛行機がフランス軍に守られながらフランスの空港に着陸した映像を見た記憶があります。あれが、あの国がつくる世界だとすると、二度とあんなことはごめんです。中国ではマスクが足りないなんてことはありませんでした。マスクを手に入れたらお金になるという世界を作り上げ、お金にするためにマスクを手に入れていたのだと思います。マスクが足りないというパニックを巻き起こし、そのパニックに乗じてビジネスを展開していました。そして、日本でもマスクとアルコールを買い占めた中国人バイヤーたちによって、思惑通りに価格を釣り上げたマスクやアルコールの裏商売が繰り広げられました。マスクやアルコールの価格は高騰し、数少ない入荷のマスクやアルコールを手に入れようと、とくに高齢の方を中心に、早朝の薬局の前に行列を作っていた光景を私たちは忘れてはいけないでしょう。あんなことは二度とあってはなりません。「鬼滅の刃」の中のセリフで言えば、「生殺与奪の権を他人に握らせるな」であり、他人に渡してしまったのです。まさにあれぞチャイナリスクで、忘れてはならない事実です。生命に関するところでは協力し合う、という常識が全く通用しませんでした。命ですら嘲笑い、ビジネスに利用してはばからない、その魂の醜さを、怒りとともに忘れないようにしようと思っています。閑話休題。


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