一息入れている間に6面の記事を全部読み、もう一つ新しい発見をしました。反日・反政府一辺倒だった共同通信社が、「両論併記」をしていました。
「情報操作失敗記念日」に即「両論併記」の実行ですから、二つ合わせると大きな記念日になります。名前を何とつけるのか咄嗟に浮かびませんが、まず実例を紹介します。
〈 「政治改革と併せ真摯に」「党派超えて連携」 〉
この見出しで書かれた3段組みの記事は、全部岸田首相の言葉を批判なしで伝えています。
・岸田首相はビデオメッセージで、「現行憲法は施行から77年間、一度も改正されていない」と述べ改正の必要性を訴えた。
・自民派閥の裏金問題を改めて陳謝した上で、次を強調した。
・「信頼回復のためにも政治改革と合わせ、憲法改正に取り組む」
・「党派を超えて連携しながら、真摯に議論を行う」
・9月までの総裁任期中の改憲を掲げる首相は次のように述べ、慎重な議論を求める立憲民主党を牽制した。
・いたずらに議論を引き延ばし、選択肢の提示すら行わないと言うことになれば、責任の放棄と言われてもやむを得ない。
・衆参両院の憲法審査会の開催頻度が高まっているとして、
・特に緊急事態条項は論点整理が進み、与野党の枠を超えて活発に議論してきた
・全国各地での対話集会などを通じ、具体的な条文案など分かりやすい資料も活用しながら、国民と共に議論し理解を深めたい。
次は保守・革新の憲法学者二人の意見を、下記見出しをつけ「両論併記」しています。
〈 「緊急事態条項で改正発議を」「平和主義、なし崩し」 〉
松浦一夫・防衛大教授 ( 憲法学 )
・憲法改正をめぐっては、賛成、反対で長い間意見がかみ合っていないが、大災害などに対応する緊急事態条項は、ある程度の党派で意見が一致してきたと思う。
・まずはこの一点に限り、改正を発議すべきだ。
・国民の議論が不十分との指摘もあるが、国会がリーダーシップを取って手続きを進め議論を喚起しなければ、国民の関心も薄れてしまいかねない。
・政府は憲法の平和主義に基づき専守防衛を掲げ、自衛のための最小限度の防衛力を認めている。
・憲法は自衛隊の地位を明記すると同時に、民主的にコントロールできることを盛り込むことも大切だ。
松原幸恵・山口大教授 ( 憲法学 )
・厳しさを増す国際情勢を背景に、自民党が掲げる9条改正の議論に世論が流されやすくなっていると感じる。
・岸田政権はさらに、国会で十分な議論をしないまま、安全保障の大方針である安保関連3文書を閣議決定し、反撃能力 ( 敵基地攻撃能力 ) 保有を明記するに至った。
・このままでは、憲法のうたう平和主義、立憲主義がなし崩し的に揺らいでしまう。
・本来憲法は、権力を縛り、国民の自由を守るためにある。
・権力側が手を入れようとする動きに、国民はもっと敏感であるべきで、本当に改憲が必要なのか議論を尽くさなくてならない。
保守と左系の教授の意見を並べられると、読者に考えるきっかけも与えられます。息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々はどう受け止められるのか。参考のため、「ねこ庭」からの印象を先に紹介します。
〈 松浦一夫・防衛大教授 の意見について 〉
・緊急事態条項一点に限り改正を発議すべきと限定しながら、自衛隊の地位の明記と、民主的なコントロールを盛り込むことが大切と言うのでは意味が伝わらない。
・緊急事態条項のみの改正を目指しているのか、それとも他の条項も同時に「発議」しようとしているのか、肝心の点が曖昧である。
・国民の関心が薄れている原因は国民の側にあるのでなく、リーダーシップのない政治家の方にある。認識が逆ではないのか。
〈 松原幸恵・山口大教授 の意見について 〉
・「憲法は、権力を縛るものである」と言う前提が間違っている。
・共産党と「日本学術会議」所属の左系学者の定説となっているが、この認識が国民を惑わせる間違った解釈である。
・憲法は権力や国民を「縛る」ものでなく、国民と国家 ( 政府を含む ) が互いに守るべき権利と義務を定めた最高の法規である、と言う解釈が正しい。
・国民と国家は敵対したり対立するものでなく、共に和する共同体である。
・対立するものとして考えるのは西洋の歴史からくる考え方であり、日本の歴史からくる考え方と混同してはならない。
・日本の古来からの考え方は、聖徳太子の「第十七条憲法」にある。最後の第十七条で「独断をせず、必ず多くの人と議論をしなさい」とみんなで話し合う大切さを強調している。
政府も反対する党も、「和をもって尊しとなす」という日本古来の憲法の精神に戻る必要があります。無知な国民を啓蒙するのだと、与野党の議員と学者は考えているふうに見えますが、国民を低く見ては間違います。
長くなりましたが、「ねこ庭」の印象です。次回は残りの記事を紹介します。